年度別受賞者一覧

第54回 社会貢献者表彰 受賞者一覧
(敬称略)
【功績の内容】
  • 海難・水難、交通事故、遭難等に際し、身命の危険を冒して救助・救援に尽くされた功績
  • 犯罪等の発生に際し、身命の危険を冒してその解決に協力された功績
  • 災害・事故・犯罪の発生を未然に防いだ功績
  • 精神的・肉体的に著しい苦労、危険、劣悪な状況に耐え、他に尽くされた功績
  • 困難な状況の中で黙々と努力し、社会と人間の安寧・幸福のために尽くされた功績
  • 先駆性、独自性、模範性などを備えた活動により、社会に尽くされた功績
  • 海の安全や環境保全、山や川などの自然環境や絶滅危惧種などの希少動物の保護に尽くされた功績
淵脇 次男(奈良県)
淵脇 佳子(奈良県)
淵脇 次男、淵脇 佳子
2019年4月15日午後5時50分頃、「子どもが溺れている!助けて!」という女性の声を自宅の1階で聞いた佳子さんが自宅前の池を見に行くと、子ども(男児7歳)が溺れていた。佳子さんはすぐに引き返し、2階にいた次男さんに助けを求めた。
次男さんが池に向かうと、子どもは沈んで見えなくなっていたため、高さ1.3mの柵を乗り越え、そのまま池に飛び込んだ。水は濁っていて子どもがどこにいるのかわからなかったが、周囲で見ていた人の声を頼りに手探りで池の中を探し、子どもを発見。そのまま抱きかかえ水面から1.3m離れている縁まで子どもを抱え上げて、柵を乗り越え池の縁で待っていた佳子さんに子どもを引き上げてもらった。そのまま子どもを抱えて自宅へ戻り、ショックのあまり声も出ずガタガタ震えている子どもを毛布等でくるみ、救急車が来るまで温め抱きかかえていた。救急搬送された後、子どもは肺気腫と発熱を患い数日入院したが、無事に回復し元の生活に戻っている。  >>詳細・手記
推薦者/公益財団法人 警察協会
藤島 海琴(福岡県)
草野 寧彩(福岡県)
本田 悠(福岡県)
藤島 海琴、草野 寧彩、本田 悠
福岡の神湊から7キロ、世界遺産沖ノ島と関連遺産群の大島に暮らしバレーボール部に所属する3人は、2019年8月31日の16:30分頃、1年ぶりに大島で行われた合同練習を終えてフェリーで帰る他校生を見送った。その直後「子どもが溺れた!」という声を聴き、波止場の先端の灯台に3人で駆け付けると、茫然とする父親と小さな男児、海には溺れている女児の姿を見つけた。バレー部副キャプテンの藤島海琴さんは、足の速い草野寧彩さんに部活帰りの荷物からペットボトルを持ってくることと、フェリー乗り場への連絡を、本田悠さんには動揺している男児に付添うように指示。さらに藤島さんはパニックになっている父親に救助させるのは危険と判断し、「私が飛び込むので、助け上げて」と伝えて海に飛び込んだ。溺れている女児にペットボトルを抱えさせ「これを持っていればお父さんの所に帰れるからね」と声を掛け、女児を抱えて50m程の距離を泳ぎ無事救出した。藤島さんの冷静な判断と3人の連携プレーが女児の命を救った。  >>詳細・手記
浅口市寄島町アッケシソウを守る会
本州唯一の自生地であり浅口市天然記念物に指定されている「アッケシソウ」の保護のため、自生地および周辺の清掃及び環境整備を行っている。アッケシソウは別名サンゴソウと呼ばれる塩湿地に生息する一年草の植物であり、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。毎年秋には見事な真紅の美しい群落が広がり、県内外から多くの人が訪れる。浅口市寄島町の寄島干拓地で2003年にアッケシソウが初めて確認され、地域住民が中心となって、この守る会が発足され保護されてきた。
アッケシソウは異常気象の影響を受けやすく、2010年の異常気象により発生した毒性ラン藻類の浸食による大量枯死や、2013年に日本で初めて確認されたヨリシマアッケシソウキバガの幼虫による食害など、甚大な被害がもたらされる苦難もあったが、土壌整備や、生育条件の研究、清掃などの本会や地域住民の地道な保護活動の甲斐あって、自生地は当初460㎡であったが現在では2,500㎡と5倍以上にも拡大している。近年では、地元小学校への出前講座や、小中高校や地元企業のボランティアを募り、草刈り清掃を実施し、瀬戸内海が育んできたアッケシソウを貴重な文化財として次世代に継承し、子どもたちの郷土愛を育てている。  >>詳細・手記
推薦者/浅口市教育委員会 教育長 中野 留美
京都府立綾部高等学校 由良川キャンパス 分析化学部
京都府立綾部高等学校東分校(由良川キャンパス)は、農業科・園芸科・農芸化学科の専門学科が設置されている。校舎は由良川沿いに位置している。由良川はサケが遡上する最南端の大河であり、またアユが生育する100選に数えられる1級河川。課外活動で分析化学部の生徒たちは、川の素晴らしさと河川敷周辺のゴミ等の問題を多くの人に伝えるため、2009年から化学的水質検査、環境指標生物による生物的水質調査を行い、環境保全のため定期的な清掃活動、ゴミの調査などを実施している。
環境問題への意識を高めてもらうために、地元小中学校や保育園への環境出前授業を行っている。印象的な授業になるように「環境戦隊由良川レンジャー」として衣装を身にまとい児童参加型の環境劇を実施。河川敷のゴミは生徒たちでゴミ拾い等をしているが、年に一度市民に呼びかけての清掃活動「由良川クリーン作戦」を実施している。京都環境フェスティバル等地域での発表の場を利用し啓発活動にも取り組み、SDGsの「海の豊かさを守ろう」の達成を目指し、河川と海洋の保全に取り組んでいる。  >>詳細・手記
推薦者/京都府教育庁指導部高校教育課
ながさきホタルの会
1982年長崎では河川の氾濫による大水害がもたらされ、護岸の強化工事などによりホタルや魚などの生育域の多くが失われた。こうした中、ホタルの保護観察を通して人と自然が共生できる自然環境を作ろうと、自治体や市民の環境活動団体等のネットワーク構築のため、平成10年「ながさきホタルの会」が発足した。ホタルの生息環境の保全や水環境を考えることで、地域の生態系や自然環境保護に寄与することを目的に活動している。
主な活動としては、小中学校の総合学習等で出前講座を行い、ホタルの生態・習性、保護について学んだり、全国ホタル研究大会、親子環境教室、川の生き物観察会の開催、こども自然サミットなどのイベントを実施し、人と自然がふれあい、ホタルだけでなく生命の尊さや、自然環境、生態系を守ることの大切さを教えている。ホタル飼育を一から学び、遺伝子のかく乱が起きないよう生息地ごとの個体数の増加にも努めている。環境の美化のための清掃活動にも取り組み、きれいな川を取り戻し、その地域に合った自然環境づくりを進められるよう活動している。  >>詳細・手記
推薦者/長崎市長 田上 富久
株式会社 豊生(広島県)
株式会社 豊生
矯正施設を出所した人たちの就労を支援する求人誌「NEXT」を発行する株式会社豊生は、2012年に松江刑務所を出所し、就職先に困っている中、広島県尾道市の建設会社社長に雇用してもらい、慣れない中必死で働いた後、建設足場業の会社を起業した山本晃さんによって2015年に設立された。元受刑者で保護観察終了後に職に就いた人の再犯率は7.5%、反対に職に就いていない人の再犯率は72%といわれる。
「NEXT」を発行するきっかけは、当時現場作業をしていた山本さんが、社長から「足場工事の人員を連れてきてもらいたい」と営業職を任されたこと。人脈もない広島県でどうしたらいいか考えていたときに、自身が就労に苦労した経験から、受刑者に声をかけてみようと思い、地域の保護司、協力してくれる雇用主、広島県就労支援事業者機構などにコンタクトを取り、必要な事について調べを進めた。最初は依頼された人員確保が中心だったが、数多くの受刑者とやり取りする中で、足場や建設業以外の仕事を望む人も大勢いることを知り、広く就労支援ができる活動をしたいと、全国的に求人誌を発行する事業も開始した。  >>詳細・手記
更生保護法人 熊本自営会
全国103の更生施設が存在する中で大正2年に熊本県で初めて設立された更生保護施設。その後県内では5つの同様の団体が設立されたが、現在で唯一残っている。身元引受人がいない、元受刑者や、刑の執行猶予処分、少年院を仮退院した人等に対し、自活できるまでの平均3か月ほどの期間、食事や部屋を提供し、仕事や住居を探す間の生活を保護する。また、入所者は滞在中にアパートを借りる為に必要な費用約30万円を、ここで生活し就労する事で貯蓄することができる。就職の際は協力する雇用主の会があり、長年に亘り信頼関係を築いている。それぞれの更生に向けたプログラムもあり、薬物依存で再犯が多い人は、薬物依存のリハビリにこの施設からダルクに通うこともできる。無期刑や長期刑により、長い間実社会から隔絶されて拘束生活を送ってきた人が、円滑に社会復帰できるように特別なプログラムを行う中間処遇施設として指定されている。また、地域の理解を得る為に、定期的に近隣の清掃や地域行事への参加を積極的に行っている。  >>詳細・手記
推薦者/全国更生保護法人連盟
NPO法人 サン・ワールド・ビジョン
大阪市で株式会社を運営する山野一義さんは会社の収益から毎年数百万の寄附を日本赤十字やユニセフを通じて行っていたが、ネパールの支援を行っている人と知り合ったことで、2007年に自ら直接支援を行おうと同年にサン・ワールド・ビジョンを設立した。
毎年約2千万円の支援をしている。その結果、ネパールに4校、カンボジアに2校の小学校、ブルキナファソに5校の小学校建設とポンプ式深井戸12基を設置している。建設前に現地を確認し、落成式にも参加する。学校運営は現地の人や、協力してくれるNPO団体と行っている。日本国内においては、災害等が起きた地域に対して寄付を行っている。  >>詳細・手記
推薦者/認定NPO法人 日本ブルキナファソ友好協会
西垣 敬子(兵庫県)
西垣 敬子
1993年夏、偶然に見たアフガニスタンへのソ連軍侵攻の写真展で、生々しい戦場の光景に衝撃を受けたことが運命的な出会いとなり、1994年1月に「宝塚・アフガニスタン友好協会」を結成。日本で講演会や写真展、バザールなどのイベントで資金集めをしては、アフガニスタンで①内戦中の赤ちゃんのミルク代支援、②子どもの学校用の大型テントの調達③難民テントで生活する女性たちや収入のない母子家庭のために、日本からミシン購入代金を調達して洋裁や刺しゅうを教え、完成品を買い取って日本で売る、④爆撃で足を失った子どもに義足をプレゼント、⑤タリバーンが女性への教育を禁じたため、隠れ学校の存在があったが、そこで教える教師への給料の支援を行う、⑥女子学生の寄宿舎を建設するために4年がかりで資金集めを行うなど、数多くの献身的な支援を行ってきた。
普通の主婦だった女性が危険も顧みずにこれまでの26年間で40回以上も現地を訪れ、「アフガンを第2の故郷」と思うまで心を寄せ、現地の人たちも彼女の訪問を心待ちにしている。現在は治安の悪化から現地入りが困難だが、今後も日本にいてできる限りの支援を行い、渡航できるようになれば現地の土を踏むつもりだという。  >>詳細・手記
推薦者/瀧谷 昇
社会福祉法人 地蔵会
25年前に現理事長の大野待子さんと施設長を務める奥野満さんが始めた社会福祉法人。千葉県船橋市で運営する工房「空と海」では障がいのある人とともに身体づくり、ものづくりに取り組んでいる。利用者は木工や紙漉き、針仕事などの作品の製作に励む。作品は有名百貨店で取り扱われるようになり、工房にも買い求める人が増えてきたことから、カフェを併設することとなり「らんどね」空と海のレストランを開店した。無農薬の食材を使用したメニューを提供し、利用者はスタッフとして勤務している。
次のステップとして利用者の高齢化も伴い、グループホームを2020年4月に開設。  >>詳細・手記
ウグナヤンの会(京都府)
ウグナヤンの会
38年前友人とフィリピン旅行へ行った西村龍雄さんは橋の下で物乞いをする子どもたちに心を痛め、同国で貧困ゆえに義務教育さえ受けることのできない家庭の子どもたちに、何の見返りも期待しない奉仕の精神と、「教育は貧困を救う」との信念のもと、現地の西本至神父、山本雅子氏の協力を得て2002年にウグナヤンの会を設立。学資支援を「教育里親運動」と名づけて今日に至る。スポンサーとなる会員は一対一の関係で同じ子どもを支援する。子どもたちと手紙や写真のやり取りをし、1年に1度、希望するスポンサーとフィリピンへ行き、子どもやその家族との交流会も行っている。 これまでに延べ2,800人以上の子どもたちを支援してきた。途中でドロップアウトしてしまう子、大学まで支援したがなかなか職に就けず苦労する子、就職して大成功する子などまちまちだが、身に着けた教育は力になり、教育を受けたことで貧困から脱出してみな一人前の大人になることができている。立身出世ではなく、子どもたちに少しでも明るい未来があるよう今後も支援活動は続けられる。  >>詳細・手記
推薦者/香月 武
認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会
1990年に国際連合本部で開催された「子供のための世界サミット」で、ワクチンが足りないために多くの子どもたちが命を落としていることが議論された。そして、1993年に京都で開催された「子供ワクチン世界会議」において、先進国は発展途上国の子どもたちのために必要なワクチンを供給しなければならない、という「京都宣言」が採択されたことを受け、1994年1月に細川佳代子さん(細川護煕元首相夫人)が代表となり団体を創設した。
主な活動は途上国へのワクチン支援と国内での啓発活動。日本全国の個人と法人から預かった寄付を、国際連合児童基金(UNICEF)を通じてワクチンに換え、ミャンマー、ラオス、ブータン、バヌアツの4力国(2019年実績)へ贈っている。
プロ野球福岡ソフトバンクホークスの和田毅選手は、試合で1球投げるごとにワクチン10本、勝利投手になったら20本など、自身の活躍が支援につながる「僕のルール」を通じ、2005年より支援を継続、 AC広告を通じて多くの人が社会貢献に参加するきっかけとなる。これまで活動した26年間で、ワクチンで予防できる感染症で命を落とす子どもたちの数を、1日8,000人から4,000人へ半減させることに寄与した。  >>詳細・手記
NPO法人 チャイルドドクター・ジャパン
2000年にNPO法人として、途上国で暮らす人々に医療支援を実施するために設立された団体。これまでに、主にケニアの貧困地域・孤児院に暮らす子どもや、障がいを持った子ども、心臓等に疾患を持った子ども、HIVに感染した子どもなど延べ10万人以上の患者に無償で医療を提供してきた。ケニアでは医者は収入の良い海外に出て行ってしまうことが多く、医療従事者が不足している。
団体の設立当初、ケニアの乳幼児の死亡率は12.1%で、1,000人中121人の子どもが5歳までに亡くなっていた。病気の子どもを持つ母親に聞取りをすると、医療費が払えない、病院への交通費がないという回答が多かったことから、現地に診療所を開設し、無償で医療サービスを提供するとともに、スラムへの患者送迎サービスを開始した結果、支援地域内の乳幼児死亡率が劇的に改善していった。しかし、現地スタッフとのトラブルが相次いだ事から、診療所や現地事務所を閉鎖し、既存の医療機関を利用し、ITを駆使して支援する活動にシフトした。ケニアの人も10人に一人はスマートフォンを持つことから、様々な決裁を携帯で行ったり、薬配送アプリを利用し、1万キロ離れた約572人の孤児や障がい者をサポートしている。具体的にはキャッシュレスで子どもたちが近隣の医療機関を受診しその決裁を遠く日本で決裁する。また、タクシーアプリを利用して現地のお母さん方が乗り合いでタクシーを手配し、病院に行き、その費用も日本で決裁している。
このような仕組みで、日本でもケニアでも自前の事務所を構える必要もなく、警備員を雇う費用も不要になり、シェアオフィスで大幅に経費を節約。またタクシーアプリや薬配達アプリの利用により、より安価に、より良質な医療サービスの提供が可能になった。  >>詳細・手記
認定NPO法人 JHP・学校をつくる会
1993年から主にカンボジアでの学校建設、教育支援、ボランティア派遣、国内での啓発活動、災害救援活動を行っている。これまでに360棟の学校を建設している。建設は現地の教育局からの要請に基づき調査を実施。教室の不足、校舎の老朽化や倒壊の危険性、全学年が収容できない、校舎以外の設備が必要など、各学校が抱える状況をスタッフが直接確認し、優先度の高い学校から建設する。
校舎の建設のみならず、トイレや井戸など、衛生施設の支援も一緒に行う。その際、衛生教本を使って、教員、生徒、コミュニティの人々に衛生指導も行う。これにより清掃する習慣がつき、生徒たち自ら学校をきれいに保とうとする成果があり、保護者も安心して学校に通わせられるようになる。
同国では正式な教科として後回しにされていた美術や音楽の芸術科目を教えられるように「初等科芸術教育支援事業」を2016年に開始し、生徒用の教科書や教員用の指導書づくりが本格的に開始された。教育のバリエーションを増やし、子どもたちが音楽や美術を通して豊かな感性や心の情操を育めるよう期待される。成人の識字教育の実施や、児童養護施設「幸せのこどもの家」の設立、日本の若者のボランティア派遣などを実施している。  >>詳細・手記
砂川 元(沖縄県)
砂川 元
口腔外科専門医の砂川元さんは、1999年と2000年にベトナムでのこの支援ミッションに参加した。これがきっかけとなり、2001年から当初まだ手つかずだったラオスでも口唇口蓋裂の無償手術活動を始めた。口唇口蓋裂の東南アジアでの発症比率はどこもあまり変わらず500人に1人の割合だが、手術できる技術者がいないことと、手術を受ける経済力がないなどの理由で、大人になるまで放置し生活をしている人もいる。これまで約400名の手術を行い、多い時には2週間弱の滞在で36名の手術を行った時期もあるが、現在は一度に15~16名程度。発症率が減っているわけではなく、他国の治療ミッションも入ってきていることや少子化の影響で必然的に人数は減ってきている。しかし、他国のチームは若手のトレーニングで行われることが多く、患者家族は、ベテラン医師が施術してくれる日本人医師を信頼していて希望する人が多い。若手を連れていくときには砂川さんも必ず一緒について手術を行うことにしている。現在では、現地の医師も技術的には十分手術は可能だが、治療費も入院費も払えない人々は、治療費や交通費まで負担する砂川さんの医療チームを頼る。また歯みがき指導や歯科検診なども行っている。  >>詳細・手記
今泉記念ビルマ奨学会
埼玉県鶴ヶ島市在住の今泉清司さんは先の大戦でインパール作戦に従軍し、ビルマの人々から受けた恩を返したいという気持ちと、戦友に対する慰霊も込めて、1989年から私財を投じて奨学会を設立し、日本へ留学するミャンマーの学生に奨学金を贈る活動を始めた。学生一人につき返済不要の月4万円を2年間、19年間で178人に支給した。奨学生は母国や日本国内、世界各地で活躍する人材となった。
2010年からは、奨学会の卒業生が会を運営し、ミャンマー国内の寺子屋や大学生に奨学金を贈っている。また、ミャンマーに2つの図書館を建設し、書籍を贈呈したほか、鶴ヶ島市国際交流協会と連携して、市民から集めた文具を現地に送る活動も行っている。鶴ヶ島市は2020年東京オリンピック・パラリンピックホストタウンにいち早く登録されているが、奨学会が日本とミャンマーの架け橋となり、両国の友好親善が盛んに行われていることの証といえる。  >>詳細・手記
推薦者/埼玉県県民生活部国際課
ICTサポート福岡(福岡県)
ICTサポート福岡
①2004年から一部の会員が福岡県で、障害者のパソコン及びインターネットの利用の支援活動を通して、情報・通信のバリアーフリーを実現し、社会参加と自立の促進に寄与すべく活動 ②2010年の著作権法改正を機に、PC技術の必要なマルチメディアDAISY図書の編集と普及活動に置くボランティアグループとして登録 ③マルチメディアDAISY図書は、全盲・弱視、LD、ADHD、自閉症などの発達障害、寝たきり、上肢障害など 様々な理由で紙の図書が読めない人に適応 ④特別支援学級で、発達障害、学習障害、ディスレクシア(文字を認識できない障害)の生徒たちも受け入れ ⑤マルチメディアDAISYは、画像、音声、テキストが一体化されたデジタル図書で、画像が表示されるとともに、読み上げ中のテキスト部分がハイライト ⑥読み上げは合成音声ではなく、質の高い朗読座「おおむた」のボランティアに依頼 ⑦今までは再生するのにPCを使うことが多かったが、最近は「VOD5」や「いーリーダー」という再生ソフトが出てきたので、タブレットやスマートフォンも使用される ⑧制作は、絵本を解体してスキャン 文字をテキストからHTML化 画像を編集し適度なサイズに 文字に合わせてナレーションの挿入 ビルトブック後に iPadにインストール ⑨資金が乏しいボランティア団体としては、制作ソフトはほとんどがフリーソフト 使い易いソフトは高価で手が出ないが、最近出たPLEXTALK Producerというのを使っている ⑩会員が集まるのは月に2回だけで、制作作業の他、情報交換など行う 自宅で作業することが多い ⑪「ざんねんないきもの事典」の制作には12人がかりで1年もかかった そんな中、これまでに完成させた絵本は約150冊 ⑫障害者への窓口であった公立図書館や特別支援学校(級)などに働きかけてきたが、遅々として普及が進まない ⑬その原因の一つに、学校のPCなどにソフトのインストールを禁じていることがある そのため絵本を内蔵したiPadの貸し付けも行ってきた ⑭2018年改正著作権法の下、直接身障者にそのニーズに合ったマルチメディアDAISY図書の制作を続け、絵本を内蔵したiPadの貸し付けも行っていく ⑮マルチメディアDAISY図書を制作する無償ボランティア団体として、これからも活動を続ける。  >>詳細・手記
推薦者/社会福祉法人 福岡市社会福祉協議会ボランティアセンター
NPO法人 バリアフリーネットワーク会議
健常者、障がい者を区別することなく誰もが自分のやりたいことに積極的に挑戦し、社会参加できる“真のバリアフリー社会”の実現を目指して介助や補助を包括的に支援する事業を行っている。
福祉施設を運営する一方、そこに通う障がいを持つ子どもたちや家族が外で活動するための問題解決のため、「障がい者・高齢者観光案内所(那覇空港)」を開設し、バリアフリー観光に関する情報提供や、県内商業施設の障がい者のための設備情報を紹介するフリーペーパーも発行している。こうした印刷物やHP、広告、お土産物なども子どもたちが作業所で得意分野ごとに役割担当し制作していて、子どもたちの収入や自信にもつながっている。また観光都市沖縄県の障がい者や外国人のためのハザードマップの情報収集やマップデザインに至るまで全て施設に通う子どもたちがそれぞれの能力を発揮し制作している。
近年は、災害時の障がい者の安全確保のために、バス乗車中、陸上競技場、ホテルなどで、災害が発生した場合や混雑状況、障がいの種類、誘導の有無、昼夜の違いなど、あらゆる場面を想定した避難の実証実験を行い、避難完了までの所要時間や問題点、最も適した避難経路、必要な対応などの洗い出しを行い、報告書にまとめて関係各所へ配布している。こうした「逃げるためのバリアフリー」の取り組みに今後も力を入れていく。  >>詳細・手記
推薦者/NPO法人 エンカレッジ
社会福祉法人 野の花学園
障害の子を持つ5人の母親は、親亡き後の心配から、昭和34年野の花学園を設立した。資金作りに、タオルや石鹸、靴下をリヤカーに積み行商して回った。この5人の母親の活動がNHKから「5つの灯」と題して全国放映され、日本の障がい者福祉の実態が初めて世に知らされた。全国から激励と感動の寄附が寄せられた。当時一世を風靡した俳優伴淳三郎(故人)、森繁久彌(故人)、昭和を代表する写真家秋山庄太郎(故人)をはじめ地元福岡のロータリークラブなどの慈善団体へ支援の輪は広がり昭和40年社会福祉法人に認可され新生野の花学園が誕生した。
創立から60年間、5人の母親が望んだ「多くの不幸な子どもを受け入れたい」とする思いは今なお引き継がれ、現在では25か所の施設等を運営し利用者は1,100名を超えている。規模と実績は目覚ましい発展を遂げているが真に問われるのは支援力と経営力にある。国県市の指定管理者事業7か所と5件の委託事業に選定されていることは支援力と経営力に高い評価が与えられた証左である。福田量理事長以下約400名の職員が「ずっともっと福祉に」をモットーにこれまでも今後も障がい者支援に適進する姿勢は大いに称賛されるものである。  >>詳細・手記
推薦者/社会福祉法人 福岡市社会福祉協議会
認定NPO法人 Ocean's Love
ハワイ在住の日本人モデル、アンジェラ“磨紀”バーノンさんが、障がいのある兄が日本在住の頃いじめにあい、知的障がい者はチャレンジする機会を与えて貰えない環境の日本社会に悔しさを抱いていた。モデルやプロサーファーとして活躍する中、カリフォルニアの団体が行った、自閉症の子どもたちのサーフィンスクールにボランティアで参加したことをきっかけに、日本の知的障がいを持つ子どもたちにも同じような経験をさせてあげたいと、2005年より日本で任意団体Ocean’s Love を設立し、知的障がい・発達障がいを持つ子どもにサーフィンを教える活動を開始した。
2012年に同団体はNPO法人格を取得し、サーフィン指導の活動拠点を全国9カ所に広げ、現在スクール生300名とボランティア1,200名が登録している。5月から9月末まで毎週末サーフィンスクールを開催。障がい児のみならず、その兄弟にも参加を促している。これはバーノンさん自身が障がいをもった兄弟として感じた寂しさから発案されたもの。サーフィン等海のスポーツができない期間には、活動に共感してくれる企業の協力で、中学1年生以上の知的障がい・発達障がい児がお仕事体験・職業訓練、農業体験等を行ったり、ビーチクリーン、ボランティアを育てる為の講習会の開催、障がいの特性やチームマネージメントを学ぶ勉強会の開催や、活動への理解を深めるため、サーフィン等の写真を飾って展覧会を開催している。また、2年に一度、ハワイでのサーフィンスクールを開催。海外旅行がしたくても難しい障がい児入所施設の子どもたちを伴って、みんなでハワイの海でサーフィンを楽しむ。  >>詳細・手記
NPO法人 ふらっとコミュニティ
誰もが生きていく中で心が疲れたり、時には心の病になったりする。精神障害は、けっして、自分とは関係の無い別の世界のことではない。心を病むことで生活が困難になったり、社会の偏見から住み慣れた地域で自分らしく暮らしていくことが難しくなったりする現状が、まだまだ日本の社会にはある。
人間関係の中で疲れた心は、人と人との関係の中で癒され回復していく。精神障害者の人たちが、地域社会の中で自分の本来の姿を取り戻していくこと、社会参加の道を模索していくことを支援するために2005年に「ふらっとコミュニティ」を設立し、民家を借りて地域支援を始めた。精神障害を持っていても社会の中で、意義のある人生を送ることが出来るように、さまざまな活動を通して、共に考え、共に歩んでいく。そして、地域住民が精神障害について考え、互いに支えあうことの出来る共生のまちづくりを目指して活動をしている。
現在は、宇部市と協働し、ひきこもり支援体制を構築している。家族の話を聞いて終わりではなく、独自に開発した家族心理教育によって対応方法を学び、家族自身が変わっていくことを支えることで家族関係に変化をもたらしている。さらにアウトリーチ、居場所支援、就労支援を一体的に行うことで、多くの成果を上げており、全国から注目をされている。  >>詳細・手記
子育て応援し隊 まきのはらパピー
共働きの娘夫婦のため、3年間自分の仕事を休んで孫の子育てを手伝った紅林美江さんは、もっと人の役に立ちたいと思うようになり、牧之原市の市・民共同事業の1つである子育て支援事業に参加。親が楽しんで子育てできる環境を考え、少子化対策にもなるよう、親の緊急時に直接子育てを助けられるような支援をと、2005年に乳幼児の一時預かりをする「子育て応援し隊『まきのはらパピー』」を結成した。 近くに身寄りのいない母親、鬱を抱えた母親、持病で入院中の母親と子どもを抱えた父親、父親が夜勤で双子が生まれた母親、育児放棄の母親、さまざまな問題を抱えた親からの依頼に、15名のスタッフから適任者を選び、寄り添った支援を行っている。市と共同して各地区の公民館で移動子育て支援センターを開設し、ベビーマッサージを教えたり、子育てに悩む親には優しく根気よく寄り添い、親御さんが市の行事や会議に参加する際は集団託児を行ったり、緊急時の当日の一時預かりなど、どんなケースにも対応できる強みを生かして、時代に即した支援に取り組んでいる。  >>詳細・手記
推薦者/牧之原市 福祉こども部 子ども子育て課
NPO法人 西成チャイルド・ケア・センター
大阪市西成区で2012年から子ども食堂を運営し、貧困・ネグレクト・不登校、果ては役所も居場所を特定できない未就学の子ども、精神疾患や貧困の大人に週3回の食事を、団地の1階でボランティアと共に、居場所づくりと家庭の雰囲気を味わう場、そして社会性を育てる場を提供している。また子どもたちだけではなく、親や家庭とのつながりも持ちながら、彼らの抱える問題の背景(本質)を理解して地域の人々と一緒に伴走支援することを大切にしている。
昨年1年間で小学生4800人、中学生960人、成人1440人の延べ7200人が利用し、ボランティア1200人、スタッフ480人の延べ1680人により運営。食事を提供するのは、つながりの手段でもあり、関わり合いの中で見えてくる子どもや家族の困りごとを、日常の関りの中で発見する仕組みを作ると同時に、子どもや親のやりたいこと、やってみたいことを応援している。食事の提供以外でも、こどもを郊外に連れていく自然体験・農業体験、キャンプや、ボランティアの大学生による学習支援などを行っている。  >>詳細・手記
NPO法人 ギャンブル依存ファミリーセンター ホープヒル
ギャンブル依存症は「意志の力を働かせることができなくなっている病気」であり、アメリカの精神医学会などでは病的賭博という進行性の病気である。診断基準は、「借金をしてまでギャンブルをしたりすることで自身を苦しめたり、家族など周りの人を苦しめること」。町田政明さんは、2000年に横浜で嗜癖問題相談室を開設したが、ギャンブルで困った家族の相談が多く、全国から相談者が来るようになったので、2005年「ギャンブル依存症ファミリーセンターホープヒル」を設立。2年後には、依存症本人の回復施設「ハウスホープヒル」の運営もはじめる。
他にアルコール、薬物、ゲームなどのアディクション問題の相談にものる。相談者自身が「回復する力」を持っているとの気づきが大切。自助グループへの参加やデイケア施設の利用、必要に応じて医療機関と連携して回復の手助けをしている。①社会にギャンブル依存症の正しい知識と情報を広める。②家族が本人に正しい対応ができるようにする。③本人が依存症から回復できるように手助けする。④家族がそれぞれ自分らしく生きくことができるようにする。これらを目標に活動している。  >>詳細・手記
認定NPO法人 ひこばえ
DV・虐待・性被害等で、傷つけられた女性や子どもが心と身体の尊厳を回復するための安全・安心な場を提供し、自立に向けての新たな人生を歩んでいけるように総合的な支援活動を行って今年で10周年を迎えた団体。理事長の茂木直子さんは、2002年から東京でカウンセリングセンターを設立しボランティア活動を始めた。縁あって故郷の群馬県で相談活動に関わった時、群馬県内の女性問題・DV相談・保護施設等に関して支援が必要だと実感し、2009年NPO法人ひこばえを創設。フォーカシング指向心理療法研修会、DV被害者サポーター養成講座、デートDV研修会など始め、2011年から女性専用の「無料相談電話」を開設しDV・デートDV・家庭や子どもの悩み等の相談の他、被害を受けた人が避難できるシェルターをつくる。
2014年から北関東で初めてのDV加害者更生プログラムも始めた。母子家庭や諸事情で学校や塾へ行けない小学生を対象に無料学習支援を毎週土曜日に行っている。DV一般公開講座、護身術、出前講座など啓蒙活動も行い、暴力・虐待などの被害から女性や子どもを守るために支援活動続けている。  >>詳細・手記
NPO法人 World Open Heart
海外では犯罪加害者家族への支援が進んでいるが、日本は2004年犯罪被害者基本法の成立により、司法制度が大きく変わる一方、今も加害者家族にはほとんど焦点が当たっていない。厳しい社会の目にさらされ、引越、転校、転職、退職に追い込まれる加害者家族を支える団体を、代表の阿部恭子さんは、2008年日本で初めて設立した。
加害者家族は突然逮捕が知らされ、メディアスクラム、近所や親せきからの冷たい目にさらされ、学校や職場、家も追いやられる。同団体では、相談の電話を24時間体制で受け、これまでの相談件数はおよそ1,800件。殺人・放火・性犯罪等の重罪の場合が多く、その内4割が家族内での犯罪の為、家族は時に被害者であり加害者となる。逮捕された加害者に接見し、家族の現状や思いを伝えたり、加害者が家族にどんな感情を抱いているのかを伝えたりもする。
また、加害者家族だけではハードルの高い、被害者やご遺族への接触のアドバイスや謝罪に同行したり、退去を余儀なくされた住まいの転居先を探し、平均600万円といわれる賠償金や裁判費用等の為にも、家族が仕事を続けられるようにサポートし、その支援は加害者家族の気が済むまで続く。刑期を終えた際に迎える家族側の体制を整える事は、加害者に反省を促し、ひいては再犯を防ぎ、被害者へ償いを続ける環境を作ることに繋がると、団体は活動への理解を求める。  >>詳細・手記
点字楽譜利用連絡会
日本においては、点字の楽譜は個人の依頼でボランティアのグループなどが制作している。楽譜の点訳は点字の知識に加え楽譜の知識、楽器ごとに表記に工夫が求められ、非常に手間のかかるもの。それを個人の所有物で終わらせるのではなく、共通の財産として残し、後に必要としている人が利用できるシステムを作ることを最大の目的に、ヴァイオリニスト和波たかよしさんを代表として2005年に会として発足した。主な19の楽譜点訳ボランティアグループや点字図書館などの11施設、ユーザーの個人が入会している。
会の運営委員や会員の間にはメーリングリストを設け、常に点字楽譜への希望や情報の交換を行っている。各グループから点訳楽譜の目録の提供を受け、それをわかりやすく分類してホームページで公開。内容は随時更新され、現在約7,600曲がリストアップされている。年に2回の「集い」は東京と東京以外の都市で開催し、点字楽譜ユーザーなどを招いて話を聴くとともに、幅広く意見交換を行う。2017年には美智子上皇后も出席された。
また点訳者のスキルアップのための研究会を定期的に開催し、多くの参加者を得て活発な議論が行われている。  >>詳細・手記
推薦者/社会福祉法人 日本点字図書館 理事長 田中 徹二
NPO法人 日本アニマルセラピー普及協議会
アニマルセラピーとは動物介在療法といい、本来は身体や心の障がいの治療を目的として行う療法。動物とふれあうことにより“癒しの効果”があり、その効果も広い意味で“アニマルセラピー”と考え、2002年に任意団体、2004年に特定非営利活動法人として犬介在のセラピー活動を行っている団体。
これまでに大学、小学校、幼稚園、保育園、特別支援学校、高齢者施設、障がい者施設、病院等の他、少年院や刑務所等の矯正・更生施設でアニマルセラピーやセミナー等の講演会を行っている。年間120件程実施し、これまでに2,000人以上に提供。刑務所においては、2008年から日本初のアニマルセラピーを実施している。これは単に西洋のプログラムに従うのではなく、日本の文化等を考慮した犬介在プログラムを研究者と共に開発し、受刑者の身体、心理、社会関係等に効果があること、参加犬や実施側もプログラム参加によりストレス等も軽減することを科学的に証明し学会や学術雑誌で世界に発信した。
その他に、犬のしつけ方教室、犬のための食育(食事指導)、犬とふれあいながら絵本を読み聞かせる「犬の絵本文庫」なども行っている。  >>詳細・手記
推薦者/社会福祉法人 稲美町社会福祉協議会
石原 晃(神奈川県)
石原 晃
1980年代のマダガスカル共和国で、多くの人が実現すると信じなかった海洋漁業開発と、冷凍海産物の流通及び販売網の構築を日本の援助によって成功させ、更に近隣国への輸出を主導した。四方を海に囲まれながら殆ど未利用だった海洋水産資源を貴重な蛋白源として国民に提供し、同時に雇用機会の創出や外貨獲得という偉業を石原さんは達成した。そして概ね20年の後、在マダガスカル日本大使館に勤務した際には、期待通り発展していた水産業の更なる成長のために「海の恋人」と呼ばれる森林の育成が、そして世界でも貴重な同国の固有種動植物の保護のためにも自然林復原が不可欠であることを痛切に感じた。
石原さんは大使館勤務の激務の中で、 NPO法人アジア母子福祉協会(AMCWA)の協力を得て2008年から植林活動を開始した。2009年から同国の中央高地一帯に植えた桜は、今では毎年春になると満開の美しい花を咲かせ、同国の人々に「サクラ」が親しまれるようになった。2011年から開始したアンバトランピ市の児童養護施設への文房具、衣類、食料などの継続的支援を契機に、施設の敷地内で苗木作りや植林を行うこととなり、子どもたちに接ぎ木や植林の仕方を教えるようになった。同国の固有種動植物が共生できない外来種のユーカリとカリビヤ松を引き抜き、自ら育てた固有種樹木や桜の苗木を植林する。
植林は成果が見られるまでに長い年月と膨大な労力を必要とする地道な活動だが、同国の子どもたちの将来を見据えた活動を継続して来た。また、同国に近いモーリシャスに於いても桜の植樹を続け、沿岸漁業開発に対する技術協力を要望されていた。 (石原晃さんは日本に帰国中の2020年3月14日に急逝されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。)  >>詳細・手記
推薦者/大谷 光弘
細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会
代表を務める田中美紀さんは、自身のご子息が生後5か月で細菌性髄膜炎に感染し、肢体・知的障がいとなったことから、その原因を調べていく中で、予防接種を受けていればこの病気にはかからなかったこと、そして欧米では既に定期摂取の対象だが、日本では承認されていないことを知った。防げる病気ならば、これ以上患者を増やしてほしくないと、小児科医ら医療従事者と共に、署名運動を行い訴え続けた結果、2008年にヒブワクチン、2010年に肺炎球菌ワクチンが発売、公費助成がなされ、2013年4月からついに定期摂取化が実現した。
しかし現在も、これらの菌以外の髄膜炎は海外では珍しくない事から、それらの予防接種への普及活動に尽力している。また、髄膜炎で子どもを亡くされた家族や後遺症を抱える方の支援を行っている。  >>詳細・手記
推薦者/佛教大学 社会福祉学部教授 武内 一
社会福祉法人 光の園 広島マック
1999年にアルコール依存から立ち直るための施設として中国四国地方で初めて設立された。現在は薬物・ギャンブル・摂食障害や複合的依存症からの回復リハビリセンターとして、グループホームや作業所を運営する。
スタッフの多くはこの施設の回復者で構成されていて、利用者は生活のリズムを取り戻しながら、毎日午前午後にミーティングを行い、回復の為のAAの12ステップの実践を回復支援の柱として、自分自身に正面から向き合い、生き方と考え方を変えて行く事を共有する。刑務所や拘置所を釈放された依存症の人が、そのまま社会に出ることは、再び犯罪に繋がる事例が多いが、このような中間施設におけるリハビリと回復者の支援によって、社会復帰を成功させることができる。
“飲まない事はスタートに過ぎない”生き方を変える事を続け、依存にもどらず社会生活に戻れることをふまえ、365日根気強く利用者に寄り添い、社会からの孤立を防ぐため日々、活動している。  >>詳細・手記
推薦者/NPO法人 食べて語ろう会/カトリック広島司教区 司祭 原田 豊己
NPO法人 女性・人権支援センター ステップ
2001年DV被害者女性を保護するシェルターを開設。活動する中で、加害者が変わらなければ新たな被害者が出てしまう、保護するだけでは根本的な問題解決にならないと感じて、2011年にDV加害者更生プログラムを始めた。加害者を更生するためのプログラムとして、アメリカの精神科医グラッサー博士の選択理論を用いた。更生プログラムは1年間で52回受講する。52回受講することで、約8割はDV思考・怒りから解放され、家族関係を修復している。被害者でもあるパートナーが変化を認めている。
また、傷ついた被害者の心をどのように回復していくかを学ぶ被害者プログラムや、壊れた家庭の修復のために夫婦塾や個人やカップル、親子塾など、個別カウンセリングも行っている。年間100名を対象にプログラムを実施。現時点で約720名とその家族が更生を実感している。過去と相手は変わらない、自分の思考と行為と未来は変えられる、「加害者は変われる」ことを目指す輪を広げ、DV等の被害者と加害者、その家族が暴力のない平等で尊重される人生を送るための活動を続けている。  >>詳細・手記
おばあちゃんのパソコン教室 このゆびとまれ
埼玉県新座市の公民館で20年にわたり続けられている高齢女性たちが主体のパソコン教室。市内の大学が開講するシニア向けのパソコン教室は受講希望者が多く、なかなか受講することができなかった高齢女性たちが大学教授や学生の助けを借りて2000年に開講した。「のんびり、やさしく、楽しく、行きつ戻りつ学ぶ」がモットーの教室では専門用語は殆ど使われない。最大の特徴は教わりながら、教える技術も身に付け、パソコン学習ボランティアになることを目指すところ。毎月2回、第2・4火曜日に開かれる教室では、学習してきた人が順番に講師となり、自ら用意したテキストを使って、ワープロソフトや表計算ソフトの使い方を教える。わからなければ直ぐに隣に座った人同士も教え合って、図形描画でブックカバーや年賀状のイラストを描いたり、表を作って計算式を用い、医療費計算や覚え書きを作ったりできるようになる。身に付けた技術で、市内の認知症予防グループのパソコンボランティアとして活躍する人もおり、今後の教室の更なる発展が期待される。  >>詳細・手記
推薦者/角田 真二
認定NPO法人 レット症候群支援機構
罹患者の殆どが女児で、1歳前後から発育に障がいが現れる難治性疾患「レット症候群」の啓発活動を2011年から行っている。同病は診断がつくまでに時間がかかるうえ、根本的な治療法がなく対処療法しかない。患者側から行動し、この病気のことを知ってもらおうと、家族や関係者と情報交換や啓発活動を行うとともに、研究者らと共に患者の詳細な症状や成長過程をまとめたデータベースの構築に取り組み、今後の研究の発展につながる活動も行っている。また治療薬の開発につながるよう、研究費の支援も行っている。  >>詳細・手記
推薦者/一般社団法人 和歌山環境エコアクションポイント協会
井口 彰(兵庫県)
井口 彰
兵庫県加古郡稲美町の天満東小学校や稲美中学校の通学路で、毎日天候に関係なく集団登下校する子どもたちを、愛犬と共に見守る活動を40年間続けている。子どもたちからは「おはようおじさん」と親しみを込めて呼ばれている。
当時小学生だった娘さんが登校する通学路の交通量の多さや道の狭さに不安を感じ、車の通りが多い交差点で立ち番(見守り)を始めた。今でこそ子どもたちの見守り活動は一般的だが、当時は子どもたちに関わる犯罪も報道も少なく、地域では理解されずに一部では誤解もあった。しかし、学校関係者や自治会などとの会話で少しずつ毎朝の立ち番の必要性を理解してもらった。子どもたちも慣れてきて挨拶もするようになった。
15年程前から、愛犬も一緒に立ち番を始めたところ、今まで以上に子どもたちの笑顔と元気なあいさつが返って来るようになった。愛犬の効果は抜群で、警察主催の交通安全教室等で引っ張りだこになり「交通安全啓発犬」の委託を受け、地域の交通安全、防犯広報にも役立っている。  >>詳細・手記
推薦者/永嶺 静昭
伊藤 美代子(宮城県)
伊藤 美代子
東日本大震災後、仮設住宅の集会所などで、未就学児を持つ母親たちのために託児をしながら、母親たちに息抜きの時間を提供する活動を石巻市と亘理町で実施した。その活動を続けながら、2012年に仙台市泉区の自宅を事務所とし「親のような愛情と気持を持って、大切な子どもを預かる」ことをモットーに「NPO法人子育てアシスト・エフワン」を設立した。
母子や父子などの個人、行事開催時や災害時などの団体からの託児、病院の受信代行や付き添い、妊娠から出産までの家事支援、障がい児やひきもり児の託児、支援センター間の送迎などを「こんな支援があったらいいな」の声に耳を傾け15人の保育士とともに行っている。  >>詳細・手記
推薦者/NPO法人 亘理いちごっこ 代表理事 馬場 照子
アイランダーサミット学生チーム
2019年10月のアイランダーサミット石垣の開催をきっかけに、石垣市役所が実施している人材育成プロジェクト「Chura★I(チュラアイ)」に参加している地元の沖縄県立八重山高等学校の生徒と、石垣市公営塾に通う、沖縄県立八重山商工高等学校・沖縄県立八重山農林高等学校の生徒等が、持続可能な島の発展と環境維持の為に、島特有の様々な課題に取り組んでいる。
カウアイ島・バリ島・サルディーニャ島が参加した同サミットで、学生らは、島共通の問題である、漂着ごみについて、ビーチクリーンを通じて回収したごみが、その後どのような経緯を辿るのか調査し、プレシャスプラスチックの利用について検討するなど、プレゼンテーションを通じて今後の課題と大きな成果を残した。また、次なるテーマとして、島の公共交通機関を使っての観光パンフレットの作成を行ったほか、環境共生型ツーリズムの研究にも取り組む予定である。  >>詳細・手記
ユース・エンディング・ハンガー
ユース・エンディング・ハンガー(YEH)は、飢餓のない世界をつくるために活動する国際協力NGO、ハンガー・フリー・ワールド(HFW)の青少年組織。「飢餓が若者の命を終わらすのではなく、若者が飢餓を終わらせよう」を合言葉に日本を含めたアジア、アフリカの5ヵ国で行動を起こしている。日本のYEHの主な活動は、飢餓や食料問題についての啓発活動。
世界ではすべての人たちが十分に食べられるだけの食べ物は生産されているのに、9人に1人が飢餓に苦しみ、一方では多くの食料が捨てられている。こうした問題を多くの人に知ってもらうため、愛知、東京、山梨の大学生、また「伝えるボランティア」という高校生ボランティアの約80名が中心となって活動をしている。食料問題を学び、より効果的に伝えるための工夫点を考えながら、啓発イベントを学生自身で企画する。企画書やPPTなどのプレゼン資料を作成し、小学校で出張授業を行ったり、学内やHFWの事務所でワークショップを開催したりしている。
10月16日の「世界食料デー」が近づくころは活動が最も活発になる。さらに、年に1度は国内メンバーが一堂に会する機会として合同合宿を開催。勉強会や情報交換をしながら活動の創作を行う。また、2~3年に1度、他国のYEHメンバーとの交流や活動の方向性を話し合うグローバル・ユース・カンファレンス(GYC)も実施している。  >>詳細・手記
動物介在活動 ぷらす
静岡県御殿場市にあるハンセン病施設(国立駿河療養所・私立神山復生病院)に犬を連れて、入所者たちとのふれあい活動及び交流を続けている。2016年11月発足。連れて行く犬は、家庭で飼われている犬だが、飼育者はそれぞれ専門的な資格を持ち、行政ボランティアに長年参加していた犬、盲導犬の訓練施設からキャリアチェンジした犬、殺処分寸前であった犬もいる。活動時間は毎回約30分程度で、簡単な自己紹介のあとそれぞれ芸などを披露、入所者のみなさんとリハビリ体操などを行い、犬たちとの触れ合いタイムに入る。楽器を手にしながら季節にあった唱歌や童謡を2曲歌い終了となるが、毎回プログラムは工夫をしている。長年強制隔離され、過酷な人生を強いられてきた入所者のみなさんに楽しい時間を過ごしてもらう。
訪問活動以外では、行政、国立ハンセン病資料館の協力を得ながら、各地の市役所、公共施設などでハンセン病企画展を開催している。勉強会を重ね学ぶうちに、多くの人々にハンセン病企画展を通じてハンセン病を知り、関心を持ってもらうことが必要と社会啓発活動に力を入れている。  >>詳細・手記
推薦者/大阪大学COデザインセンター教授・副センター長 池田 光穂/社会福祉法人 三島市社会福祉協議会
奨励賞の贈呈
  • 顕著な活動の発展や拡大を継続中の過去の受賞者に奨励賞を贈呈しています。