NPO法人 リバティー・ウィメンズハウス・おりーぶ

精神福祉士の仕事を通じて、女性の依存症者をワンストップで支援する必要性を感じていた山本良子さんが滋賀県で設立した団体。通院している患者は2週間に一度の割合でカウンセリングを受けるが、元の環境に戻れば効果が薄れ、自立に結びつかず、再起の機会が与えられていなかった。そこで大津市内にグループホーム「ステップハウス・おりーぶ」を開設し、生き方を変える決心をした女性を対象に、毎日のプログラムで自分と向き合い、共同生活を通じて社会性を育み、学びあい、応援しあって様々な依存症から回復し、心と体の社会復帰の準備を整える居場所とした。依存症に対する社会的な理解も進まない中、頑張ることのできる人を応援する施設はあるが、今はまだ頑張る気力のない人を応援する施設と位置付けている。現在4棟のグループホームを運営。また通所型の自立訓練施設「デイセンター・おりーぶ」も備えている。利用者は病院や自治体を通じて紹介があり、スタッフが面会して本人の意志を確認し、入所当日は迎えに行く。社会復帰しても、その女性が自分に合った職場環境に身を置けるようになるまで見守ることを忘れず伴走する。
このたびは、思いがけず栄誉ある社会貢献者に選定いただきましたことを、職員・支援者一同深く感謝いたしております。
おりーぶの活動は、生きづらさを抱えた女性「特に各種の依存症に苦しんで行き場のない方」の支援の必要について何かできることはないか?というところから13年前にスタートしました。まず手がけたのは、心と身体の回復には安心できる居場所がある事であると、グループホームの設立に取り掛かりました。自助グループとしての時間を持ちながら医療と福祉両面のお助けが出来るといいなと思いつつ運営を続けて二年目に、自立訓練の取り組みの強化にためデイセンターを開設いたしました。
依存症からの回復プログラムとして、運動、野菜作り、自助グループ、認知行動療法、アロマテラピーなどを取り入れつつ苦しみながら学ぶより、自発的に行動していただく事に焦点を合わせていきたいと思っています。
頑張る人を応援する社会を目指すことの重要性にはこの国も近年理解度が高まっておりますが、依存症がらみで法に触れる行動に及んだ女性に対して、社会復帰の道は依然として暗く、自己責任論が大勢を占めているのが現実です。少年院、刑務所を出所しても受け入れ先のない方の中でグループホームに入り、今までの習慣や環境からの決別をめざす方に対応するべく、自立準備ホームの指定を受けました。
古い習慣を変えていくには、時間もかかりますし、依存対象「アルコール・覚せい剤・処方薬・摂食障害・病的窃盗・ギヤンブル・携帯電話など」に対する過剰な依存からの決別は、決心したからと言って一人で戦うには困難が伴いますし、頭で理解したからと言って改善するものでもないのが現実です。医療の力を借りながら、回復をめざす仲間との暮らしが有効であるというのはやがて、日常の中で実感できるようになるようです。
今、多様性を容認する世の中になりつつあるならば、おりーぶの仲間たちは、依存症により問題を起こしてしまった事実は受け止めつつも、いつからでもやり直せることを実感することを目指す毎日を送ることに重きを置くようにしています。
私たちは、小さな成功体験を積むことで、自分たちが決して劣った存在ではないことを受け取ることも大切です。仲間たちにもいろいろな可能性があること、希望の未来を描くことが出来ること、それぞれの幸せを手に入れることで、同じ悩みを持つ他者に手を差し伸べる存在になりうるというビジョンを掲げつつ歩んでいきたいと存じます。
今回の受賞が、あまり知られることのない私たちの活動にとって大きな励ましを頂いたものと感謝申し上げます。