受賞者紹介

第54回 社会貢献者表彰
えぬぴーおーほうじん ふらっとこみゅにてぃ

NPO法人 ふらっとコミュニティ

(山口県)
NPO法人 ふらっとコミュニティ 代表理事 山根 俊恵
代表理事 山根 俊恵

誰もが生きていく中で心が疲れたり、時には心の病になったりする。精神障害は、けっして、自分とは関係の無い別の世界のことではない。心を病むことで生活が困難になったり、社会の偏見から住み慣れた地域で自分らしく暮らしていくことが難しくなったりする現状が、まだまだ日本の社会にはある。
人間関係の中で疲れた心は、人と人との関係の中で癒され回復していく。精神障害者の人たちが、地域社会の中で自分の本来の姿を取り戻していくこと、社会参加の道を模索していくことを支援するために2005年に「ふらっとコミュニティ」を設立し、民家を借りて地域支援を始めた。精神障害を持っていても社会の中で、意義のある人生を送ることが出来るように、さまざまな活動を通して、共に考え、共に歩んでいく。そして、地域住民が精神障害について考え、互いに支えあうことの出来る共生のまちづくりを目指して活動をしている。
現在は、宇部市と協働し、ひきこもり支援体制を構築している。家族の話を聞いて終わりではなく、独自に開発した家族心理教育によって対応方法を学び、家族自身が変わっていくことを支えることで家族関係に変化をもたらしている。さらにアウトリーチ、居場所支援、就労支援を一体的に行うことで、多くの成果を上げており、全国から注目をされている。

授賞式を終えて

誰もが、生きていく中で心が疲れたり、時には心の病になったりします。精神障害は、決して自分と関係のないことではありません。さまざまな生きづらさを抱えた人たちが、住み慣れた地域で自分らしい生き方ができるようにと2005年にNPO法人ふらっとコミュニティを設立し、活動を開始しました。そして、翌年、街中に民家を借りて居場所「ひだまり」を設置することで、「行き場」「活き場」「生き場」としての機能を果たすと同時に共生のまちづくりを行ってきました。病気や障害があるということではなく、「人」として尊重されること、自分たちを丸ごと受け止めて理解してくれる人がいること、苦悩を分かち合える仲間がいることによって、自身を受け入れながらリカバリーをしていく道のりを共に歩んできました。そのプロセスの中で、制度の狭間で誰からも支援されない「ひきこもり者とその家族」の存在を知り、「誰一人として孤立させない社会」を創っていく必要性を感じるようになりました。

現在、ひきこもり者は115万人(15~39歳は54万1000人、40~64歳は61万3000人)と推計され、その長期化や親の高齢化が問題になっています。また、40代~50代のひきこもり者を支える親が70代~80代にさしかかり、精神的・経済的に限界を迎えた、いわゆる「8050問題」が深刻化しています。親が歳を取り、年金生活になってもなお子の面倒を見なければならない状態は、すでに限界を迎えています。相談窓口が存在しても話を聴くだけ、行政の縦割りの弊害で支援体制が十分とは言えない状況の中、親の弱みに付け込み、高額な費用を請求し強引な手口で施設入所させるといった「引き出し業者」の存在も明らかになってきました。私たちは、この実態に目を背けることなく、宇部市と協働でひきこもり支援システムを構築し、実践しながら研究を重ね、エビデンスを明らかにしてきました。このような私たちの活動は、地味で陽の目を浴びることのないものです。しかし、公的な事業では成し遂げられることはない地域に根づいたものだと信じ、頑張ってきました。今回、社会貢献者表彰をいただくことで、活動が評価されたことを本当に嬉しく思います。そして、これからも自分たちの歩みを止めることなく、生きづらさを抱えた人たちのために現在できることをやり続ける覚悟と力をいただいた気がしていますCOVID-19感染予防に対する配慮の中、盛大な授賞式を開催して頂き、ありがとうございました。

代表理事 山根 俊恵

  • たこ焼きパーティーを皆で楽しんでいる場面です。
    たこ焼きパーティーを皆で楽しんでいます
  • ふらっとコミュニティのひきこもり家族心理教室に参加されている家族会の方々です。
    ふらっとコミュニティのひきこもり家族心理教室に参加されている家族会の方々
  • 宇部市ときわ公園の動物園を散策している場面です。
    宇部市ときわ公園の動物園を散策
  • 花見をしながら散歩をしている場面です。
    花見をしながら散歩
  • 地域の事業所が集まる友遊運動会にて事業所対抗綱引きに参加している場面です。
    地域の事業所が集まる友遊運動会にて事業所対抗綱引きに参加