NPO法人 いのちのミュージアム

「生命(いのち)のメッセージ展」というアートを通じて、交通事故などで理不尽に奪われた命を「いのちの大切さを伝えるメッセンジャー」と呼ばれるパネルを展示して、亡くなられた被害者とその遺族の想いを伝えることで、法律の見直しやドライバーの注意意識の向上に貢献している。展示会は2023年だけで全国150カ所、常設展示場所もあり、延べ日数で1,000日開催され、多くの人が目にする機会となった。被害者の顔写真が貼られた等身大のパネルには、命を奪われた状況の説明と、遺族の切なる思いが記され、その足元には故人が履いていた靴が置かれる。展示会は全国の矯正施設でも開催され、これまでに各施設を2回以上巡った他、国会議員会館や、駅のコンコース、企業や学校などでも行われている。交通事故の被害者が8割ではあるが、いじめや医療過誤、過去には自死などで命を落とした方々の遺族も参加している。2023年8月からは国土交通省の委託を受け、交通事故被害者遺族の相談業務も行っている。遺族にとってどれほど大切な愛おしい存在だったのか、故人の生きた証であるパネルを通して伝えることは、このような辛い経験をする人がいなくなること。被害者も加害者も生まない社会づくりに大きく寄与している。
この度は、貴財団の社会貢献表彰を頂きまして、心より感謝申し上げます。
NPO法人「いのちのミュージアム」の根幹をなす活動が「生命のメッセージ展」です。2001年にスタートしました。メッセンジャーと呼ばれる、理不尽な事件や事故で命を奪われた人たちの等身大パネルには、胸元に故人の写真や事件事故の概要、また遺族の思いが綴られたボードが貼られています。そしてその足元には生きた証である遺品の靴を置き、事件や事故は他人事ではないこと、そして何より「命はかけがえのないものだ」ということを伝えているのです。
16命のメッセンジャーでスタートした「生命のメッセージ展」ですが、現在148命のメ
ッセンジャーとなり、道徳や人権教育、犯罪被害者等支援や、交通安全の啓発活動、さらには被害者の視点を取り入れた矯正・更生教育などと様々な領域とつながってきております。全国各地で巡回展示をしており。小規模開催を含めると、年間の開催回数は100回を超えています。
啓発活動の役割が顕著な「生命のメッセージ展」は、並行して理不尽に命を奪われた人が「メッセンジャーとして第二の人生を歩む」という物語を紡ぐことで、遺族にとっての「グリーフケア」となっているのです。
「誰も被害者にも加害者にもしない」という決意を誓いとして、安心安全な社会の実現を夢見て、肥沃な地だけでなく、不毛な地にも、メッセンジャーたちと共にこれからも
「生命の種」を蒔いていく所存です。
「死者は無力ではない」というアメリカインデアンの長老の言葉があるそうです。
まさにそのことをメッセンジャーたちが証明していると思えてなりません。
なぜなら、「生命のメッセージ展」を開催していくなかで、「メッセンジャー」の存在そのものが力となって、人々に様々な気づきの機会を提供し、意識改革へとつなげていると、開催していくなかで私たちの実感としてあるからです。
この度授与した「社会貢献者表彰」は、メッセンジャーひとりひとりがしっかりと受け取りました。ありがとうございます。
「いなくなっても いなくならない」
その姿を見ることも
その声を聴くことも
出来なくなってしまった 大切な人たち
心の中で 共にあると 慰めにするが
揺れてしまうその想い
いなくなってしまった 大切な人たち
会いたい 抱きしめたい
その時 おぼろげに見えた
涙の向こうに 人型パネル
「いなくなっても いなくならない」
そんな声が 聴こえた
大切な人が 新たな「いのち」を
生きるかたちなのか
たかが人型パネル されど人型パネル
一度止まってしまった 彼らの時間が
今再び 動き出す
本当の存在は
「いなくなっても いなくならない」
大切な人たちは 「ここ」にいる
「贈り物」
無限の彼方の地であり
振り向けば すぐそこでもある
時空を超えた世界で
メッセンジャーたちは
魂となって
穏やかに生きている
地上での
ひとつの「いのち」を 終えた今
新たなる使命を 果たそうと
たくさんの 仲間たちと共に
愛する者たちの 傍らに立つ
時に 爽やかな風となって
あなたの頬に そっと触れるだろう
時に 夜空の星となり
あなただけに 合図を送るだろう
時に 光となって
あなたの心に 虹をかけ
失くした夢を 蘇らせるだろう
時に 懐かしい香りとなって
幸せな頃の余韻は
ずっと残りゆくことを 伝えるだろう
愚かな地上の 怒りが 憎しみが
引き起こす悲劇のなかで
精いっぱい 生きようとしている
あなたに
魂となったメッセンジャーたちからの
贈り物を 届けよう