受賞者紹介

第61回 社会貢献者表彰
イーボード

NPO法人 eboard

(兵庫県)
NPO法人 eboard 代表理事 中村 孝一
代表理事 中村 孝一

2013年「インターネットで自由に学べる場所があれば、多くの子どもたち、先生方にとって大きな力になれる」との考えから、NPO法人eboardを立ち上げた。「誰でも、どんな環境にあっても学ぶことをあきらめてほしくない」という思いから、義務教育課程を網羅したICT教材「eboard」を、公立学校や個人に無料で提供している。インターネット上での学びの場所だけでは限界があることから、学びの困りごとを抱える子どもを支える活動や、子どもの学びを支える大人をサポートする活動も行っている。障害や認知の特性、日本語能力などの要因で、学びづらさを抱えた子の学びを保障するため、ボランティアの力を借りて約2,000本の映像授業に字幕をつける「やさしい字幕プロジェクト」を実施。また主に不登校の子と関わる教育・学習支援現場のスタッフの方を対象とした研修プログラム「eDojo(イー道場)」にも取り組んでいる。現在ICT教材eboardを使って、11,000校以上の教育現場で、毎月約20-30万人の子が学んでいる。この次の時代の「学びのセーフティネット」をつくり、支えるため、今後も活動を続ける。

この度は、長い歴史と栄誉のある賞を賜り、誠にありがとうございます。

NPO法人eboardは、「学びをあきらめない社会」をミッションとする団体で、2023年12月に法人化から10年の節目を迎えました。公立学校およびご家庭でのご利用には無料で提供するICT教材eboardは、私自身が当時勉強をサポートしていた子のために動画を撮り始めたことからスタートしたものです。当時はまだスマートフォンやYoutubeが本格的に普及し始めたころで、映像授業やデジタルドリル等は全く一般的ではなく、「動画なんかで、まともに学べるわけがない」「誰もがパソコンで学ぶ時代なんて、来るはずがない」と言われていました。

事業としても赤字続きで、自分たちが作っているものの価値を、子どもたちの声だけを頼りに続けてきた活動ではありましたが、eboardを利用してくれる全国の子ども達、先生方の声に支えられ、ご利用いただく現場は、全国の学校や地域へと、少しずつ広がっていきました。その結果、現在では全国10,000カ所以上の学校・教育現場、そしてご家庭に届くようになり、新型コロナにより日本全国の学校がストップした際には、約100万人の子どもたちに学びを届けることができました。

その一方、多くの現場で利用してもらうことにより、障害や言語、様々な障壁から学びにアクセスできない子どもたちの存在を改めて認識することになりました。2,000本の映像授業に、分かりやすく編集された「やさしい字幕」をつける取り組みは、このような課題感から始まり、コロナ禍において、1,000人以上の方の力をお借りして実現することができました。義務教育課程を広く扱った映像授業としては、日本で唯一、字幕による学習機会を保障するものです。

しかし、こうした学びの機会保障は、まだまだ十分なものとは言えません。この10年間で、不登校の小中学生は約2.5倍、特別支援学級に在籍する子は約2倍に増加しています。様々な要因からくる学びづらさ、貧困、不登校、地理的要因などによって、こぼれ落ちてしまう子を支える「学びのセーフティネット」を目指し、引き続き活動を継続していきます。

最後となりますが、今回の受賞は、日頃から活動を支援してくださる皆さま、そして全国の子ども達と学校関係者の皆さまのお陰であると心より感謝しております。本当に、ありがとうございました。

  • 学校での利用
    学校での利用
  • 学校での利用
    学校での利用
  • 学校での利用
    学校での利用
  • 家庭での利用
    家庭での利用
  • 支援現場での利用
    支援現場での利用
  • やさしい字幕
    やさしい字幕
  • やさしい字幕
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  • 学校での研修
    学校での研修
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