一般社団法人 障がい者アート協会

様々な障がいを持ちながらも創作活動に取り組む人々のアート作品を発信できる場所を作りたい。そしてそれらの人々が創作活動を通じて経済的対価を得られ、社会に認知される仕組みを作りたいと、障がいを持つ息子の父親である熊本豊敏さんが2015年に設立した協会。「誰一人、取り残さない」自立支援を活動の軸とし、障がい者が創作活動を通じて自然に社会に参加できる基盤作りをしている。熊本さんは、片手間では活動できないと、仕事をやめ退路を断って全力投球している。障がい者のアートを知ってもらうため、オンラインギャラリー「アートの輪」を開設。現在1,700人の障がいを持つアーティストの約57,000件を超える作品が登録されている。作品が企業などの多様な事業活動に二次利用されると、登録者へ著作権使用料が支払われる。また創作活動応援費という独自の経済支援の仕組みを使い、直近の3か月に作品を公開した人に作品採用の有無や作品の優劣に関係なく、協会が得た事業収入の一部を公平に分配している。また、障がい者支援組織としては国内唯一の著作権当管理事業者として文化庁に登録されている。
この度は、「社会貢献者表彰」という大変栄誉ある賞を賜りまして、誠にありがとうございます。これまでなにもないところから今日まで粛々と活動を続けてまいりましたが、このような表彰をしていただきとても光栄であるとともに改めて身の引き締まる思いです。
私たちは障がいがありながらも創作活動を続ける人々が、その活動から生まれた作品を通じて「自然に」「簡単に」「楽しく」社会参加できる仕組み作りに取り組んでいます。
具体的には、まずその作品を広く知ってもらうためにインターネット上にオンラインギャラリーを開設し、日々多くの人に自身の作品を見てもらっています。これにより参加者みなさんが社会とのつながりを実感されています。
次に、企業の方々がそのギャラリーの中の様々な作品を自社事業活動の中で活用し、その対価が当協会経由で作者に支払われています。また活用されなかった人々に対しても、創作活動を続けていればその対価として企業から一定額の経済的支援を受けられる制度も実行されています。これら経済支援の枠組みの中にいることで、つまり対価を得ると言う体験を通じて参加者はみな社会参加を実感されています。
この活動を通じて、これまで参加者や企業の方々から多くの喜びの声を耳にしてきました。参加者におかれましては、「絵を描くことで初めて収入を得られて本当に嬉しい」「収入を得ることでもっと頑張ろうと思えた」「初めて人に認めてもらえた」といった声が、企業の方々からは「活用してよかった」「社内の雰囲気が良くなった」「対外的にも評価してもらえた」等の声をそれぞれ頂戴しています。そしてこれらの声が背中を押してくれたことにより、私たちは団体設立以来9年間にわたって活動を続けてこられたのだと感じています。
私たちの活動は「障がい者支援」という括りではありますが、それは障がい者に対する一方的な「施し」ではありません。あくまでも前に進もうとする人々に対する「機会提供」であり、そのような人たちが自然に社会に参加できる「社会インフラ作り」と認識しています。
奇しくも授賞式の前夜12月1日は当協会にとって10年目のスタートでありました。今回受賞できたこの喜びをしっかりと胸に刻み、気持ち新たに「一人でも多くの人が笑顔になれる」ように今の取り組みをさらに進化させていきたいと強く思っています。
このたびはありがとうございました。