NPO法人 子育て応援レストラン

3人の子どもをシングルマザーとして育てていた若林優子さんは、周りの人々から手を差し伸べられ、困難を乗り越えられた、そうした感謝の気持ちをいつかお返ししたいと考えていた。そして、人に支えられていることで、子どもに優しくなれた経験から、今困っている子育てしている人を支援したいと、2017年に「たまりば子ども食堂」を始めた。まだ子ども食堂の存在があまり知られていないころで、当初は誰でも利用可能にしていたが、参加希望者が増えたことから会員制にして、本当に支援を必要とする家庭が利用できるようにした。コロナ禍では、困窮する家庭が増え、軒並み子ども食堂が閉鎖されるなかで、今こそ支援が必要とされていると、ドライブスルーで食糧支援を継続。主旨に賛同した企業や個人から支援物資を集め、農家からの余った野菜に加え、購入した食材、手作りのお弁当、日用品を毎回150人に支援した。現在は月2回大分県内で、企業やホテル、商業施設で参加者を抽選で募り、子育て支援として、セミナーやイベントを開催しながら、支援品の配布を行っている。また、ひとり親や障がいがある子をもつ世帯の悩みを聞き、行政や必要な機関に繋げる子育て支援、他団体と共同で、地域共生型農園「坂ノ市オレンジファーム」を運営し、農作業を通じて、子どもから高齢者まで障がいの有無に関わらず、各々が存在意義を実感し、生き生きと活躍できる地域づくり活動も行っている。
自分自身シングルマザーで3人の子どもを育て大変な苦悩を経験しました。
苦悩を感じながらも、温かく手を差し伸べてくれた方々に支えられ、何とか前に進むことが出来、その経験を元に私もそんな方々みたいな温かい手を差し伸べられるような人になりたいとNPO法人子育て応援レストランを立ち上げました。
ひとり親・困窮子育て世帯に特化した子育て支援とし、本当に支援が必要な方にお繋ぎし自立に向け支えることを目標に、地域・企業・団体との連携で、みんなで支える子育て支援を形にして毎月150世帯への支援活動を継続しています。
また子どもの心を育む活動として、地域共生型農園を3法人で立ち上げ、赤ちゃんから高齢者・障がいの有無を問わずみんなで行う食育活動とし、一番大切な食と親子の絆に力を入れています。
健康的な食のあり方を考えるとともに、誰かと一緒に食事や料理したり、農作物の収穫を体験したり、季節や地域の料理を味わったりするなど、食を通じた「実践の環(わ)」を広げることで生涯にわたって健全な心身と豊かな人間性を育むことが出来ると思います。
親子が一緒に自然の中で活動すると、子どもは親の愛情と絶対的な信頼感を受けとり、親は子どもからの信号を受け止めることが出来るようになります。
日々忙しい親子の日常生活に、目を合わせ・共同で作業し、親子で、笑顔で声掛けしながら活動する姿はとても温かく、また子どもの心が一番満たされる瞬間だと思います。
また核家族が増える中、高齢者との触れ合いが減少していますが、高齢者も子どもと一緒に活動することでいきいきと畑仕事を行い、自然と体が動いているようでした。高齢者から昔ながらの知恵を伝授してもらい徐々に仲良くなり、高齢者に優しく対応する子どもの姿からは思いやりと素直な感謝の気持ちを学べたと思います。
特に一緒に行う、クッキング教室では、物忘れが多い高齢者・人づきあいが苦手な障がい者と一緒に料理をすることで、支え愛・学び愛・触れ愛を学び、障がいの有無に関係なく多世代で行う食育活動もお互いに沢山の愛のカタチを知り、子どもたちは温かい愛溢れた大人になって次の世代にもその愛を繋いでくれると思います。
それぞれの強みを活かした地域共生型農園は、単一事業所ではできないことを可能にし、様々な結果を生み出して相乗効果の高い活動が行えていると思います。また地域の方々も巻き込み、人が人を呼び、意義のある活動を行う、このような関わりこそが地域共生社会の一歩となり、未来を担う子どもたちの心の成長に繋がると思いました。
今後も活動を継続し、更に支援の環が広がり、様々な分野を支えるよう頑張りたいと思います。この度は貴重な受賞をありがとうございました。これから自信をもって活動できる力をいただきました。