受賞者紹介

第54回 社会貢献者表彰
こうせいほごほうじん くまもとじえいかい

更生保護法人 熊本自営会

(熊本県)
更生保護法人 熊本自営会 理事長 黒木 康之
理事長 黒木 康之

全国103の更生施設が存在する中で大正2年に熊本県で初めて設立された更生保護施設。その後県内では5つの同様の団体が設立されたが、現在で唯一残っている。身元引受人がいない、元受刑者や、刑の執行猶予処分、少年院を仮退院した人等に対し、自活できるまでの平均3か月ほどの期間、食事や部屋を提供し、仕事や住居を探す間の生活を保護する。また、入所者は滞在中にアパートを借りる為に必要な費用約30万円を、ここで生活し就労する事で貯蓄することができる。就職の際は協力する雇用主の会があり、長年に亘り信頼関係を築いている。それぞれの更生に向けたプログラムもあり、薬物依存で再犯が多い人は、薬物依存のリハビリにこの施設からダルクに通うこともできる。無期刑や長期刑により、長い間実社会から隔絶されて拘束生活を送ってきた人が、円滑に社会復帰できるように特別なプログラムを行う中間処遇施設として指定されている。また、地域の理解を得る為に、定期的に近隣の清掃や地域行事への参加を積極的に行っている。

推薦者:全国更生保護法人連盟

熊本自営会は、大正2年3月、当時の熊本監獄典獄(現在の刑務所長)が発起人となり、刑務所、裁判所検事局の職員及び民間篤志家によって、「熊本自営協会」の名のもとに刑務所出所者等の一時保護事業を開始し、昭和27年に法務大臣の認可を得て「財団法人 熊本自営会」、平成8年には更生保護事業法の施行に伴い「更生保護法人 熊本自営会」として組織変更され、現在に至っています。

収容定員は男性20人(うち2人の少年枠あり)。親族等の身元引受人がいない、刑務所からの仮釈放者を中心に満期釈放者、執行猶予者、少年院仮退院者、保護観察中の少年、労役場出場者などを国(保護観察所)からの委託に基づいて受け入れ、部屋や食事を提供し、協力雇用主の許で就労させるなどして、自立のための貯蓄に励ませるよう援助しています。

最近の年間収容率と収容実人員は、令和元年度97.4%(103人)、平成30年度98.8%(107人)、平成29年度95.4%(96人)と高い水準で推移しており、全国103の更生保護施設の中でも10指に入る収容率を維持しています。

「情を尽くして筋を通す」、これは当会の処遇における基本理念です。犯罪や非行に陥った人の経歴等を見ると、その不遇な家庭環境等に同情を禁じ得ないこともありますが、だからといって犯罪や非行が許される訳ではなく、いずれは自分の力で生きていくことが必要です。ただし、刑事施設を出て、誰からの援助もなく自立することは難しいので、ここに社会への「HALF WAY HOUSE」
(中間施設)としての更生保護施設の役割があります。本人達が抱える問題性は人それぞれですが、個別処遇、集団処遇、各種プログラム等の実施を通じて、認識の変容を図り、二度と犯罪や非行に手を染めないよう、指導や助言を行っています。

今回、このような熊本自営会の活動をお認めいただき、「社会貢献表彰」という栄えある賞をいただきましたことは、当会の役職員一同の誇りとするところであります。また、当会を推薦いただきました全国更生保護法人連盟のご配慮にも深く感謝を申し上げます。

さらに、今回の授賞式では、色々な方々がそれぞれのお立場で正に「世のため、人のため」にご尽力されているお姿を知ることができましたが、これは、私共としても大きな励みになりました。この賞の名に恥じないよう、今後も精進して参ります。ありがとうございました。

施設長 岩﨑 健朗

  • 2019年12月15日 近隣の公園清掃奉仕
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  • 2019年12月22日 ふれあい餅つき
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  • 2020年2月9日 男の料理教室(更生保護女性会指導)
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  • 2019年9月8日 SST生活集会
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  • 2019年10月27日 一日バス旅行
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受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」