受賞者紹介

第49回 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

ひえいりかつどうほうじん TFG(たがわふれあいぎじゅく)

特定非営利活動法人 TFG(田川ふれ愛義塾)

(福岡県)
特定非営利活動法人 TFG(田川ふれ愛義塾)理事長 工藤 良
理事長 工藤 良

2005年に、炭鉱の町として栄えた福岡県田川市で、子どもたちのかけこみ寺として団体を設立。以来引きこもりや、少年院を出院し保護観察中で、更生保護施設の入所を断られたり、親の引き受けが困難な、全国の少年少女の最後の砦として、子どもたちの生き直しを、ボランティアと共に見守り、共同生活をしながら社会性を育み、一人で生きていく力を養うためのサポートを行っている。少年院を出た子どもたちは、元の場所に戻ると再犯の可能性が高く、環境を変えることが必要で、出所後直ちに更生施設で、信頼できる大人に出会い、生き直しの道筋を示す事が、最も再犯を防ぐ上で重要で有効であることを、この団体の卒業生の再犯率の低さが証明している。これまでに150人以上の少年少女と関わり、数年間に亘る共同生活をしながら、生活指導・カウンセリング・学業や就職のサポートを行い、卒業した少年らはボランティアとして団体をサポートする側にまで成長している。また、2016年には全国で唯一となる、女子少年専用更生保護施設を開設し、NPO法人としては全国初の法務大臣の認可を受けた他、知的・精神・発達障害者の福祉施設も共同運営している。

推薦者:特定非営利活動法人ロージーベル
田川ふれあい義塾の外観
田川ふれあい義塾の外観

この度は、社会貢献者に表彰いただき誠にありがとうございます。安倍昭恵会長様をはじめ関係者の皆様方から労いの言葉をいただいたことは身に余る光栄であります。私をはじめ、表彰を頂いた他の方々も、この表彰を頂くためにやってきたわけではありませんが、貴財団より表彰を頂いたことで、私達の活動に対して背中を押していただいたと感じると同時に、これまでの私達の活動をふり返ることができました。

青少年の立ち直り支援事業に携わらせていただいて、今年で12年目となりました。「人は出会いと環境で変わる」をモットーに、私たちは、厳しくも思いやりのある関わりを大切にしています。私自身が非行少年の当事者で、元暴走族総長、覚醒剤使用で逮捕された経験があります。私は、自分が悪の道に引き込んだ仲間を更生させたいという自責の念から、後輩たちを含め暴走族を解散し、ボランティア団体を創設して活動を始めたのが2002年でした。この活動を展開していく中で、同じように非行の道に走った少年少女、その親たちから相談が度々あるようになり、2006年に「田川ふれ愛義塾」という非行少年の居場所づくりをはじめました。そして、2008年にNPOとしての活動をスタート、2009年には法務省より継続保護事業の認可をいただき、少年を対象とした施設を運営してきました。さらに、2016年から、日本で唯一の女子専用施設を開設したところです。継続保護事業というのは、少年院や少女院を仮退院するのですが、保護者が引き受けを拒否したり、保護者がいなかったりした場合に、社会的自立を果たすまでの準備期間として一時的に預かり、自立支援を行うものです。現在、約25名の少年少女たちが共同生活を行いながら、人生の目標を探し、社会的自立に向けて仕事や勉強をしています。

さつま芋収穫
さつま芋収穫

一言に非行少年といっても、その背景は様々です。私自身もそうでしたが、非行少年は寂しさを埋め、自分の力が発揮でき、必要とされる居場所を求めてさまよっている場合がほとんどです。想像を絶するような生い立ちの中で、罪を犯さざるを得ない状況にある少年もたくさんいます。苦しいとき、辛いときに傍にいて支えてくれた大人がどんな立場の人だったかによって、人生は大きく変わります。私も幼少の頃、自分を助けてくれる正義のヒーローが現れないかと本気で思っていました。迷い、苦しんでいる少年が求める正義のヒーローの一人になれたら、一人でも私自身が味わってきたあの苦しみから解放させることができたらと思い活動を続けて参りました。

私にできる精一杯の支援をしてきましたが、全てがうまくいったとは言えません。言葉では言い表せないような辛い思いをしたことも、悔しい思いをしたこともありました。しかしそれ以上に、うれしさもやりがいも感じることができました。携わってきた青年がスタッフとして戻ってきてくれたり、当塾のスタッフが新たに施設を開設したりとこれまでのあゆみが一つの形となって表れてきているのを感じます。

海水浴
海水浴

私たちは、非行少年たちの社会的自立には、本人たちの自己指導能力と一般市民の理解と協力が欠かせないと考えています。また、当事者の発達上の課題等も要因として複雑に絡み合っているため、福祉との連携は欠かせません。非行少年たちの行為の裏にある事実や社会的な背景を知り、関心を持ってもらい、それぞれの立場で、それぞれができる形での支援が必要なのです。

日本にはかつてより、「社会を明るくする運動」という法務省が推進しているすばらしい社会運動があります。しかし、残念なことに地方では認知度も低く、さらに、少年犯罪等に関してはデリケートな問題でもあるためなかなか認知、推進されていません。そこで私たちは本年「社会を明るくする運動」の中でも、その対象を青少年に特化した社会運動を「BLUECROSS運動」と称し、立ち直り支援の拡充と誰もが住みよい安全安心のまちづくりに向けた社会運動を展開していくこととしました。この運動により、関係機関をはじめとする横の連携を強化拡大し、それぞれの活動の深化充実を図るとともに、社会を巻き込んでいく活動へと展開していきたいと考えています。

この度の受賞で「社会への貢献の営みは行政だけでなく、私達一人ひとりの理解と行動によってもたらせる。その原動力は、人の喜びを自分の喜びとする人の心にある。」ことが多くの皆様との出逢いの中で実感できました。特に立ち直り支援に関しては、私たち志を同じくする仲間が全国に多数おられることもわかりました。この受賞に恥じることのない活動をこれからも継続発展させていくことを誓います。

最後になりましたが、この度の栄誉は、地域住民をはじめ皆様方が長年にわたる、ご理解とご支援の賜物と心より感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。

特定非営利活動法人TFG 
理事長 工藤 良

  • 県立大学大学祭
    県立大学大学祭
  • 県立大学大学祭
    県立大学大学祭
  • 掃除
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  • 地域清掃
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  • 餅つき大会
    餅つき大会
  • BLUECROSS運動を開始
    BLUECROSS運動を開始
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」