受賞者紹介

第62回 社会貢献者表彰

NPO法人 つなげる

(兵庫県)
NPO法人 つなげる 代表理事 中原 美智子
代表理事 中原 美智子

妊婦100人のうち1人が、同時に2人以上を出産しており、喜びの一方で出産や育児に大きな不安を抱える。代表理事の中原美智子さんは双子の母であり、多胎児を育てる中で過酷な育児と周囲の無理解、外出困難などの苦しかった経験から、多胎児を育てる母親たちのカになろうと、2011年から個人で活動を開始。気軽に外出できるよう双子を載せられる自転車「ふたごじてんしゃ」を開発したのち、LINEのオープンチャットやオンラインで、多胎育児中や妊娠中の母親たちが、お互いの悩みや愚痴を吐露し、慰めあい、励ましあい、相談しあう場を提供している。また月に4回開催される、全国初の多胎児に特化した子育てひろば「ふたごハウス」では、母親同士の交流と沐浴、授乳、離乳食、寝かしつけ等のサポートを行いつつ、母親たちの癒しとくつろぎの場となっている。このような”つながり”の場があることで、妊娠や出産前から不安を抱えた人や、出産後の母親も安心して子育てができる。

推薦者:認定NPO法人 女性と子ども支援センター ウィメンズネット・こうべ

日本では、妊婦100人のうち1人が多胎、つまり同時に2人以上を妊娠・出産する。多胎児の母親は、子どもを授かった喜びの一方で、出産時のリスクを知り大きな不安を抱える。無事に出産しても、交互の授乳で睡眠も食事も取れず、気軽に外出できないなど過酷な日々が続く。周囲の理解の希薄さ、多胎家庭の状況に合った支援の欠如もあいまって、多胎ママ(父親や他の養育者の場合もある)は自分が社会から孤立し、存在を忘れられた「透明な」存在になったように感じるという。

当法人代表理事の中原は、自身がふたごの母として過酷な経験をしたことから、多胎ママの力になろうと2011 年から個人で活動を開始し、気軽に外出ができるようにふたごを同時に乗せられる自転車「ふたごじてんしゃ」を開発した。さらに、より幅広い支援を行うために、2018年にNPO法人つなげるを設立した。

多胎ママに対する支援の第一歩は、「多胎ママ同士をつなげる」ことで、同じ問題を抱えた者同士が互いに共感できる場を用意することである。NPO法人つなげるでは、多胎ママが少なく地域でつながれない・情報が得られないという問題に対し、LINE オープンチャットなどのオンラインサービスを使い、全国どこでも多胎妊娠中や育児中のママたちが悩みや思いを吐露し、励まし相談できる場を提供しており、オンラインコミュニティの登録者数は、のべ1万名を越えている。

また、多胎支援に特化した全国初の子育てひろば「ふたごハウス」を兵庫県尼崎市に設置し、リアルな場で多胎ママ同士の交流や沐浴、授乳、離乳食、寝かしつけ等を支援し、多胎ママにとっての癒しとくつろぎの場となっている。

こうしたオンラインとリアルの交流の場は、匿名で気持ちを吐き出すことができる、実際に具体的な支援を受けられる、といったそれぞれの特性を活かした支援を可能にしている。またつなげるでは、特に大きな困難を抱えた多胎ママを、オンライン相談会や行政サービスなどの「支援につなげる」活動、自らも多胎育児を経験した多胎ママを支援者として養成する「つなげるピアサポーター」の養成や多胎に関する調査や周知など、多胎支援に関わる人・団体を増やすための「社会をつなげる」活動も行っている。

こうした活動を通じて「誰もが命の誕生を当たり前に喜べる社会」が実現することを目指し、NPO法人つなげるは「育児をみんなで育てよう」の合言葉のもと、活動を続けている。

  • ふたごハウスのある市営団地内公園遊具をペイントするベント
    ふたごハウスのある市営団地内公園遊具をペイントするベント
  • ふたごハウスのある市営団地内公園遊具をペイントするベント
    ふたごハウスのある市営団地内公園遊具をペイントするベント
  • 毎年開催しているふたごつなげるカーニバルイベント
    毎年開催しているふたごつなげるカーニバルイベント
  • 毎年開催しているふたごつなげるカーニバルイベント
    毎年開催しているふたごつなげるカーニバルイベント
  • 毎年開催しているふたごつなげるカーニバルイベント
    毎年開催しているふたごつなげるカーニバルイベント
  • 神戸大学のゼミに取り上げてもらった際に開催した尼崎城でのイベント
    神戸大学のゼミに取り上げてもらった際に開催した尼崎城でのイベント
  • ふたごハウスの様子
    ふたごハウスの様子
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