NPO法人 あきた結いネット

秋田県で矯正施設出所者等の相談員をしていた坂下美渉さんが、緊急用のシェルターとして借りたアパートの一室から、触法者の支援を始めたことをきっかけに、2013年に設立した秋田初のホームレス支援団体。「ないなら作ってしまおう」の精神で、自立準備ホームと相談支援付き住宅事業からスタートし、身寄りのない人の身元保証、財産管理などのトータル支援のほか、居住支援、グループホーム運営、障がい者の就労支援も行う。また新しい価値観を育む取り組みとして、セレクトショップ「story cat」を運営。全国70か所の福祉施設が作ったクオリティの高い商品や作品を買い付けて販売し、その売り上げの7割を各事業所に分配している。さらに2023年7月の秋田豪雨・被災直後から復興支援拠点となり、炊き出しを行い、被災者支援を開始。同年12月に休眠預金を活用した緊急用女性シェルターが完成、生活困窮した女性や母子が休める部屋を確保、より多くの困っている人、身寄りのない人を支える取り組みを広げている。
この度は、大変栄誉ある賞を賜りまして、誠にありがとうございます。スタッフ、関係者一同、心より感謝申し上げます。
私たちの活動は罪を犯してしまった高齢者・障がい者のサポートから始まり、ホームレス生活者、生活困窮者、就労の機会を失ってしまった方への社会参加事業など、どんどん拡大して参りました。
人が生きていく上で必要なこと。縦割りではなくトータルにサポートしたい。
私たちがサポートしている方の多くが頼れる身寄りがなく、友人もいません。困ったことがあった時に相談する相手がいないという状況は、孤独を強く感じやすく、生きている意味さえ見失ってしまうくらいの破壊力があります。最初は反発的な言動でコミュニケーションを取っていた方が、スタッフやボランティアとの関わりの中で心がほぐれていき、周囲に優しい言葉がかけられるように変わっていく様は、私たちに勇気を与えてくれます。
そして私たちは今、当事者であった彼らを一緒に働く仲間として迎え入れています。2024年は5名をアルバイトとして雇用する予定です。それぞれの特性に合わせた事業を新たに創り上げ、飲食部門ではお弁当事業、菓子製造、キッチンカーを導入しています。コミュニケーションのサポート体制を整える為、スタッフの研修プログラムにも力を入れています。
人生、山あり谷あり。それは誰しもそうです。
過去の過ちや失敗が原因で人生に希望が持てない社会は寂しすぎます。環境が違えば誰でも共に働ける仲間になっていけること、あきた結いネットが社会に証明していきたいと考えています。
あきた結いネットはスタッフ十数名の小さな団体ですが、まだまだやれることが沢山あります。あれこれやり過ぎている、事業拡大し過ぎ!というご意見も時々いただきますが…、今回共に表彰された皆様の活動に触れ、出る杭は打たれるでは無く、「出すぎた杭は打たれない」のだと改めて感じ、勇気をいただきました。全国に、世界に、社会を良くするために活動する仲間がいて、今回出逢えたことは私の人生にも大きな影響を与えてくれると感じています。
この度は誠にありがとうございました。