受賞者紹介

第61回 社会貢献者表彰
ぜんこくぽりおかいれんらくかい

全国ポリオ会連絡会

(兵庫県)
全国ポリオ会連絡会 共同代表 森山 幸恵
共同代表 森山 幸恵

ポリオ(脊髄性小児麻痺)は国内では昭和30年代まで断続的に流行し、当時罹患した人は平均71歳となった。昭和36年に始まったワクチン接種により発症は激減し、生ワクチンによる被害が少数あったものの、不活化ワクチンの導入で発症がなくなり、現在国内では過去の病と考えられている。しかしポリオにより手足に麻痺が残った人は、ポストポリオ症候群という二次障害に見舞われることが明らかになってきた。ポストポリオの正しい情報をポリオ経験者へ伝えるため、国内各地に相次いでポリオ罹患者の会ができた。相互に連絡を密にとりあい、助け合うことを目的として2001年に全国ポリオ会連絡会を発足した。全国ポリオ会連絡会は、全国各地の会員のために、ポストポリオの情報の発信と伝達を行ってきた。リハビリテーション学会にシンポジストとして出席、パネル展示も行って、医療関係者へ協力を要請。また、カーボン装具の周知、生活の工夫の情報の共有等、様々な活動を行っている。さらに、障害を抱えて生きる者が暮らしやすい社会となるよう、社会にも働きかけてきた。また、これまでに5冊の本を出版し、会報は年三回発行。ホームページでも情報を発信している。現在は、会員の人生を記録として残し、後世に伝えるために、新たな本『ポリオの軌跡』の出版を予定している。

推薦者:認定NPO法人 女性と子ども支援センター ウィメンズネット・こうべ

この度は社会貢献支援財団から、全国ポリオ会連絡会を貢献者として選んでいただき、表彰していただきましたこと、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

全国ポリオ会連絡会はポリオり患者の患者会です。今までポリオによる障害は固定され重度化するとは思っていなかったのですが、50~60歳代でポストポリオを発症し身体機能が低下して、生活のしづらさが出てきました。自分の体の変化に不安があっても、全国ポリオ会連絡会発足当初はポストポリオを診ることのできる医師が少なく、医療機関や医師探しから始まりました。見つかったら会で共有し情報提供するという状況でした。補装具も同様。体への負担が少ないカーボン素材の補装具の制作の協力と推進活動に取り組みました。カーボン装具が障害サービスでの給付の対象になるように、義肢装具士協会の役員さんと一緒に厚生労働省へお願いに行き、結果次の年度から認められたこともありました。

ポリオり患者の平均年齢は70歳を超えました。加齢も加わり体の動きが徐々に悪くなっています。体にあまり負担をかけずに生活していくためには介護保険や障害サービス等をうまく利用する必要があり、当事者同士の情報交換はとても役に立ちます。

ただ当事者が支援者になることは、ピアサポーターとしてとても精神的サポートも含めて有用ではありますが、クローズの世界におちいってしまう危険性もあります。私たち自身で解決できる課題は生活の工夫程度です。今後より高齢化していく中でいろいろな分野の関係者の協力がますます必要になってきます。そのために今まで何冊か本を出版し、当事者だけではなく、医療や福祉、介護保険の関係者へ配布しました。またリハビリテーション医学会のシンポジウムにシンポジストとして参加し、私たちの現状について発信し、ポストポリオについてや私たちの生活等について周知を図ってきました。これからもより外部への働きかけに取り組み、私たちのことを知ってもらいたいと思っています。

ポリオは世界的にはまだまだ流行している国がありますが、幸いなことに日本ではワクチン接種で予防できる病気になりました。当然私たちはどんどん高齢化の一途をたどっています。いつまで活動できるかわかりませんが、私たちの経験をまとめ、親やいろいろな人の支援や協力を得て、私たちが一生懸命生きてきた軌跡も残したいと思います。

  • 第7回全国ポリオ会連絡会総会
    第7回全国ポリオ会連絡会総会
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  • 2001年第一回全国ポリオ会連絡会総会
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  • 2012年日本リハビリテーション学会の展示ブースでポストポリオの啓発
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  • これまでに発行した会報の一部
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  • これまでに発刊した書籍
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  • 共同代表 5名
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  • 豪州・アジア地区ポストポリオ国際会議に参加 シドニー
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