受賞者紹介

第64回 社会貢献者表彰
※ 掲載内容(名称、活動内容、代表者名、肩書き等)は受賞当時のものです。

札幌おやこ面会交流の会(あやの会)

(北海道)
札幌おやこ面会交流の会(あやの会)代表 内田 信也
代表 内田 信也

札幌おやこ面会交流の会、通称「あやの会」は、札幌市で弁護士や家事調停委員らが2007年に設立し、離婚などが理由で別れて暮らす親子の面会交流を、親たちの力だけでは実施できない場合に支援している。一般に面会交流は、離婚をめぐる夫婦の紛争のなかで、子どもの立場が希薄なまま決められることが少なくない。あやの会では子どもの権利と成長を最も大事に、子どもが「また会いたいな」と思うような面会を目指し、面会の積み重ねにより、良い関係が形成され、子どもの心身の安定を育むことを目的としている。具体的には、支援員が親子双方の日程を調整し、面会の日取りを決め、交流のために用意した専用の支援室で親子の様子を見守る。寄り添い続ける支援員の存在で、離婚後頑なだった親たちの心にも変化が現れ、親がお互いの立場や状況、子どもの将来を冷静に考える時間が生まれ、子どもの学費や生活費の支援も継続して行われるようになり、進路の選択肢が増えるといった効果がゆっくりと現れてくる。親が支援員を介さなくても自分たちの手で面会交流ができるようになっていくことを目指しているが、あくまでも子どもの視点に立って、子どもに寄り添い、子どもの声に耳を傾けながら、面会交流のサポートを行っていく。

推薦者:札幌後見支援の会 顧問 半藤 政一

私たちは、これまで20年間にわたり、「子どものため」の面会交流実現へ向けて支援活動を続けてきました。実際に担当するのは、家庭裁判所調査官や調停委員の「元職」で、平均年齢70歳。みなさん、高齢ではありますがなかなかのスペシャリストなんです。

早く会いたい父親と、できるだけそうしたくない母親との心の綱引きは、今も昔も変わりません。そんな中でも子どもは日々成長しますから、面会交流は限りなく個別的にして流動的で、親が子どもの成長を信じて待つ、という時間軸を意識した対応がことのほか重要です。この時間軸を意識せずに終始攻撃的な姿勢を貫いた父親に対して、20歳を過ぎても面会を拒絶し続けた事案がありました。一方で、母親が要求する理不尽な条件をのんで限定的な面会交流を10年間続け、子どもの成長をじっと待った父親が、子どもとの信頼関係を回復させ、お互いになくてはならないパートナーになった事案もありました。もちろん、私たちが10年、20年びっしり関わるわけではなく、せいぜい、子どもが小さいうちの2~3年のお付き合いなのですが、子どもの意思を尊重し、親が自分たちの力で親子関係を再構築していけるまでの「程よい」支援をするのが勘どころです。早い解決が望ましいのは言うまでもありませんが、私たちが扱う事案のほとんどは、家庭裁判所の調停手続を経て、二人だけでは実施できないので、「あやの会」を利用するという合意をしてやって来ます。ですから、あやの会に来るまでに結構な時間がかかっているわけです。私たちは、これまでの経過、実績を踏まえて、子どものための面会交流を模索します。面会交流は、たった一度だけのイベントではなく、その後も継続しなければ意味がありません。面会を続けるためには、父や母の成熟や気長な努力、また、子の成長を待つ心がとても大事です。これはいくら法制度が変わっても代替えができません。時間がかかるかもしれませんが、親たちを自分たちのカで「子どものための面会交流」をやり切れるようなレベルまで「お導き」するというのが、面会交流支援の「肝」です。

ところが、今の時代、多くの親たちは、待つことができません。すぐに成果や結果を求めたがります。子育ては、工場での物作りとは違うのですが、なかなか腹の据わった親たちが少なくなりました。その狭間を埋めながら、少しだけ、子どもたちのための「お役に立ちたい」そんな控え目な気持ちで、これからも気長に続けたいと思います。

 

  • 総会で挨拶される内田代表
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  • 定期総会後の記念講演会
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  • 運営委員会のメンバー
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  • 年一回発行の会報
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  • 支援室
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