受賞者紹介

第63回 社会貢献者表彰
※ 掲載内容(名称、活動内容、代表者名、肩書き等)は受賞当時のものです。

NPO法人 AlonAlon

(千葉県)
NPO法人 AlonAlon 理事長 那部 智史
理事長 那部 智史

「障がいのある人たちの一生を国任せにしない」という信念の下、2013年に那部智史さんが設立し、胡蝶蘭などの栽培を行う就労継続支援事業所などを運営するNPO法人。①親兄弟が毎週遊びに来るような知的障がい者施設にする②障がい者も楽しめるイベントをどんどん開催する③障がい者所得倍増計画を実行するという3つのミッションを掲げ子どもも親類も尊厳を守れる施設づくりを行っている。那部さんには知的障がいのある息子がおり、親としてせめて息子のためにお金の不安をなくそうと、勤務していた会社から独立してIT企業を興し成長させた。当時は息子の存在を隠そうとしていたが、やがて息子が生きづらい世の中が変だと気付き、息子の特別支援学校の卒業に合わせるように事業構想を考えだし、会社を売却して2017年に現在の活動を始めた。60工程に及ぶ胡蝶蘭栽培の作業をサポートするスマートアグリシステムを導入することで、障がいのある人の就労を可能にしている。利用者の月額工賃の最高は10万円以上、企業への就職率は60%を超えている。那部さんは「テクノロジーの進化は、障がい者をビジネスの戦力にする。AIやロボット技術は今まで就職できないとされていた障がい者の強力なパートナーとなって彼らの就職を叶えてくれる。“就職できないもの”として日本の貴重な労働力を労働市場に送り出さなかった障がい者福祉業界のゲームチェンジは間近に迫っており、それは多くの人の共感を伴い、受け入れられることであろう」と障がい者福祉施設の在り方に一石を投じた。

私には29歳になる最重度知的障害者として生まれてきた息子がおります。それまで「障害者」とは無縁の人生を歩んできた者にとって我が子の障害を知った衝撃は言葉に表すことはできません。日々同世代の子との「できる」ことの差が広がり、息子との将来への絶望のあまり一家心中を考えたことも1度や2度ではありません。
「親亡き後、息子は人として尊厳のある人生を歩めるのか?」これがNPO法人AlonAlonを設立した大きな動機です。

初めて心が折れたのは息子の保育園探しでした。当時は待機児童という言葉もなく「健常者でも受入れが難しいのに障害者なんて」と全ての保育園から受入れを拒絶されました。最後に「お父さんかお母さんが保育園内で待機していれば受入れます」という理不尽な条件で入園が許されました。そんな悔しい記憶がオーキッド千束台保育園を開園させました。同園は障害の有無に関わらず引受ける保育園として開園、今では外国人籍の園児も分け隔てなく保育をしております。

息子が特別支援学校を卒業して近所の就労継続支援B型事業所で働くことになりました。工賃は0円、事業者からは「居場所の提供」と言われ、将来の経済的自立は絶望的な状況でした。そんな不安感がAlonAlonオーキッドガーデン(就B)AlonAlonビジョン(定着支援事業)AlonAlonワークス(無料職業紹介所)を開所するきっかけになりました。

AlonAlonオーキッドガーデンの月額平均工賃は6万円となり一般企業への就職率が60%を超える状況で、しだいに県外からの利用希望者が増えてきました。遠くは北海道、昨年は英国ロンドンからも利用者を迎えました。そんな利用者のためにAlonAlonベース(グループホーム)があります。AlonAlonでは経済面の自立と生活面の自立の双方を実現することを「自活」と呼び、利用者の自活の実現を法人の存在意義としております。

障害者福祉事業においては「農福連携」として胡蝶蘭栽培やマンゴー栽培の他、観葉植物、野菜、稲育苗などを行い、「観福連携」ではホテルや貸別荘のハウスキーピングを行うなど仕事は多岐にわたり利用者の適性に応じて分担しております。

引き続き「農業人口の減少」や「観光業従事者の不足」等の社会課題を福祉で解決する事業モデルを今後も作り出していきたいと考えております。

NPO法人AlonAlon
那部 智史

  • 胡蝶蘭仕立ての様子
    胡蝶蘭仕立ての様子
  • 胡蝶蘭花並び矯正
    胡蝶蘭花並び矯正
  • 稲の育苗
    稲の育苗
  • 稲の育苗
    稲の育苗
  • マンゴーの収穫
    マンゴーの収穫
  • マンゴーの収穫
    マンゴーの収穫
  • ホテルベッドメイキング
    ホテルベッドメイキング
  • ホテル清掃
    ホテル清掃
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