NPO法人 そらいろプロジェクト京都
京都市伏見区で美容室を営んでいる赤松隆滋さんが、ドライヤーやバリカンの音にパニックを起こしたり、じっと座っていることが苦手だったり、知らないお店に入ることに恐怖や不安を感じる子どもたちが、将来理美容室に座ってカットが出来るように「スマイルカット」の活動をはじめたのが2010年。赤松さんは、児童館で子どもの前髪カット講座に来ていた発達障がいの子どもをもつ親からの相談で、聴覚過敏のある男児にカットをするが、知識の無さから失敗した。それを契機に発達障がいの特性や気質を勉強し、一人一人の歩みに合わせて、無理せずにカットできるように工夫を重ね、これまで8千人以上の発達障がいの子どもたちにヘアカットしてきた。この取り組みを全国の理美容業界に広めようと2014年にそらいろプロジェクト京都を設立。スマイルカット講習会を全国に展開し、2千名以上の美容師が受講、90店舗以上がスマイルカット実施店になった。さらに、美容室好きな子どもを増やそうと、親にハサミの使い方、前髪カットのコツ、子どもの気持ちに寄り添う方法の講座や、発達障がいをもつ子どもや親への理解とスマイルカットの思いを広めるための講演会や絵本の読み聞かせも行っている。理美容師向けの教本に、発達障がい児者対応の記述(2024年4月から事業者に対して障がい者に合理的配慮の提供の義務化)を求める活動にも取り組む。子どもも親も美容師も笑顔になるスマイルカットを通して、優しい社会の実現に貢献している。
この度は素晴らしい賞をいただき誠にありがとうございます。
特定非営利活動法人そらいろプロジェクト京都(以下、そらいろプロジェクト京都)は、発達障害をはじめとするさまざまな困難を抱える子どもやそのご家族に対し、理美容支援を通じて社会とのつながりを広げることを目的に活動してきました。2014年4月に設立された当法人は、特に「スマイルカット」と呼ばれる支援方法の実践と普及に力を注いでいます。
スマイルカットとは、一般的な理美容サービスの利用が難しい子どもたちに向けたヘアカットです。子どもが嫌がるからといって無理に押さえつけて施術するのではなく、感覚の過敏さや見通しの立てにくさ、不安の強さなど、子どもたちがヘアカットを嫌がる背景にある特性を理解し、それに寄り添う対応を大切にしています。心理的援助や応用行動分析(ABA)などの理論も取り入れ、子ども一人ひとりに合わせた施術環境や支援方法を工夫することで、理美容体験そのものを安心できるものにし、「できた」「頑張れた」と感じられる成功体験を提供することを目指しています。
当法人の活動は、子どもたちへの直接的な支援にとどまりません。理美容師の方々に対して、発達障害に関する理解を深めるための講習会や啓発セミナーを開催し、理美容業界全体に合理的配慮の視点を広げることにも取り組んでいます。また、研修を修了した全国の理美容室を「スマイルカット実施店舗」としてネットワーク化し、支援を必要とする子どもや家族が安心して通える場所の拡充を図っています。
近年では、障害者差別解消法に基づく合理的配慮を理美容の現場に浸透させるため、厚生労働省と連携し、「理美容師のための発達障害児・者への接遇マニュアル──障害者差別解消法衛生事業向けガイドラインを踏まえて──」の作成にも取り組みました。このマニュアルは、誰もが安心して理美容サービスを受けられる社会の実現に向けて、全国的な実践の手引きとなることが期待されています。
私たちは「スマイルカット」という名称が必要のない社会を目指しています。全国の理美容室において、自然に、そしてあたりまえに、困りごとを抱える子どもたちに寄り添った対応ができるようになれば、そらいろプロジェクト京都はその役目を終え、解散することが最終目標です。
















