市川 晋一

桧木内診療所所長
兵庫県姫路市出身の市川晋一医師は、高校生の頃から地域医療を志し、秋田大学医学部を卒業後、県内の大病院で泌尿器科の医師として勤務。その後、山手線内の4倍の面積、人口4,000人、高齢化率47%の仙北市西木町で、たった一人の診療所の所長となり、これまで23年間365日24時間体制で、地域住民の心と体の健康を支えてきた。2024年2月には行政との連携で、移動手段がなく医療機関に通えない高齢者のために、医療器械と看護師を乗せてオンラインで診察できる医療MaaS(モビリティ アズ ア サービス)車 ”せんぼく医心電診丸”を同県でいち早く導入し、医師と患者双方の移動の負担を軽減することに成功した。また、学ぶ機会が少なく、看護師が不得意とする泌尿器科疾患の排泄ケアを指導したり、正しい温泉療養普及のため「温泉浴マイスター」制度を創設。訪問診療では、在宅での腹膜透析や尿道カテーテルの管理、末期がん患者の緩和ケアなど、農村地域での医療に注力している。農村地域が抱える特有の医療問題に着目し、行政と手を携えて最先端医療を導入し、住民のために柔軟な医療体制を具現化している。
この度は、名誉ある表彰を受け、これまでご支援いただいた多くの皆様に感謝申し上げます。個人の受賞ですが、私は仙北市の公務員で、地域の皆様、診療所のスタッフ、仙北市と共に「チーム仙北」としていただきました。式典には田口知明仙北市長も同席しました。
高校生のころから地域医療、特に農村医療を志し、秋田大学医学部卒業後、大病院勤務後、2020年より、山手線内の約4倍、豪雪地帯、人口約4000人、高齢化率49%(2024年⒓月現在)の仙北市西木町(旧西木村)の西明寺診療所・桧木内診療所にたった一人の医師として勤務しています。へき地の住民が十分な治療を受けられず不利益を被らせないという信念の下、農村地域が抱える特有の医療問題に着目し、診療所で行える医療の質の向上を目指しています。
これまで、診療所の外来・訪問診療のほか、健診、園医、産業医、老人ホームの嘱託医、健康講演、地域包括ケア、在宅での腹膜透析や尿道カテ―テルの管理、末期がんの緩和ケア・終末期の看取り、社会的処方等最新の医療を24時間365日体制で行っています。
地域包括ケアシステム制度が始まり以前より、地域、医師会、行政、福祉関係者に理解と協力を働きかけ、地域住民への包括的な支援・サービス供給体制を構築しました。泌尿器科医として、医療だけでは解決しない排泄の困りごとを援助するため、多職種と「秋田コンチネンス研究会」を創設し、看護師、介護士などに、排泄ケア指導しています。温泉が豊富な仙北市で、温泉療養研究会会長として入浴事故を研究する傍ら、正しい温泉療法普及のため「温泉浴マイスター」制度を創設し、地域おこしにも貢献し、入浴死を減少させています。 臨床研修病院の地域医療研修に協力し、全国からの研修医・医学生に在宅医療を指導するなど、後進の育成にも積極的に取り組んでいます。
公共交通機関が乏しい中山間地域での、移動手段がなく医療機関に通院できない高齢者のため、2024年より行政と連携し、日本最先端の車内設備(電子聴診器、超音波機器、心電図、電子カルテなど)が充実した医療MaaS(モビリティ アズ ア サービス)車両「せんぼく医信伝診丸」に看護師を載せて患者宅まで行き、オンライン診療を運用し患者と医師の負担軽減を成功させています。
地元では「ちんちん先生」と親しまれ、医療だけではなく生活を支えるために、行政と共に、最先端医療を導入し、住民のための柔軟な医療体制を具現化しています。