公益社団法人 ON THE ROAD

前代表の古場英樹さんは、高校時代に上級生から壮絶ないじめに遭い、その記憶は大人になってもトラウマとして残ると実感していたことから、かつての自分と同じ思いをしている子どもたちを救いたいと、2015年「いじめ撲滅」を掲げた実行委員会を設立した。佐賀県内の学校の道徳の時間に、いじめの怖さと心を守る大切さを伝える出張授業を行うと、それが評判となり、佐賀県内の教育委員会、学校、警察と信頼関係を構築していった。現在、365日24時間行う電話、LINE相談、駆けつけ対応では、県内の教育委員会、学校、保護者が、子どもの状況を共有し、いじめを撲滅する体制をとっている。これまで相談を受けた件数は300件で、子どもたちの9割が復学している。また不登校児の学習の遅れを取り戻す学習支援教室の実施、チャリティイベントも開催し、親子の社会的孤立を防いでいるが、これらすべての事業を無料で行っている。2023年に公益社団法人化、更に難病児、きょうだい児を持つ家庭へのサポートも開始した。「すべては子どもたちのために」を理念に、相談支援、復学、進学まで伴走し、子どもたちが主体的に未来を描ける社会を目指して活動している。
はじめに、素晴らしい賞をいただいた事に感謝を申し上げますと共に、丁寧な面談や夢のような表彰式などで祝福くださった財団の皆様や審査に携わっていただいた皆様に心より御礼申し上げます。
私共は2015年秋に、佐賀県から子どものいじめをなくしたいとの願いとともに事業を開始しました。最初は啓発のイベントや学校に赴いての道徳の授業が主たる事業でしたが、コロナ禍を契機に子どもたちからの個別相談が増え始め、その内容も子どもの命にかかわる深刻なものが増えていったことから、24時間の個別相談・駆けつけ伴走支援に取り組むようになりました。
子どもの話を丁寧に聞き、保護者や学校、教育委員会と連携して学校に戻れるようサポートをしています。それだけでは解決に至らない場合は、警察や病院、法律関係者への橋渡しなども行います。
また、勇気を出して学校に戻った児童生徒の中には、勉強の遅れがネックになり、再び学校に通えなくなる子も多いことから、学習支援部を設けて子どもたちの勉強のサポートも毎週2回の定期教室や受験対策、個別指導などで実施しています。
地域の大人にも卒業や子どもたちのことを知ってほしいと願い、様々な体験学習などのイベントも年に数回行って、子どもたちを見守る地域づくりにも取り組んでいます。
さらに、相談者の中には兄弟姉妹に難病や障がいを持つお子さんも少なくなく、病児本人はもとより、難病時の兄弟姉妹たち(当会では「きょうだい児」と呼んでいます)のケアも必要だと考えるようになり、公益法人化した2023年に難病時・きょうだい児支援部門を新設し、サポートできる子どもの裾野を広げるべく奮闘しています。
こういった取り組みを見知ってくださった支援者の方々のお力添えで今回の受賞に至ったことを思いますと、たくさんの方々の志ある支援の賜物であると改めて感謝の念でいっぱいです。今回の受賞を機に、今後も現場から気づく子どもたちのSOSの声に耳を澄ませ、必要があれば変化も恐れずに事業に取り組んで参ります。