受賞者紹介

第50回 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

とくていひえいりかつどうほうじん あんとひろしま

特定非営利活動法人 ANT-Hiroshima

(広島県)
特定非営利活動法人 ANT-Hiroshima 理事長 渡部 朋子
理事長 渡部 朋子

広島を訪れる留学生へのボランティアグループを前身として1989年に設立。
その後、パキスタンのアフガン難民キャンプへの医療支援に取り組んだことをきっかけに、活動領域や人的ネットワークが広島から世界へ広がり、現在の団体名に改称、その後NPO法人となる。「一人ひとりの力はアリのように小さくても、世界各国の人々や団体・諸機関等と協働することで、平和構築を実現できる」と信じ、被爆地・広島を拠点に、国際協力・平和教育活動・平和文化交流などを行っている。
中でも、広島で被爆し、白血病を発症しながら希望を捨てずに千羽鶴を折り続け、12歳の生涯を閉じた佐々木禎子さんを描いた絵本、「おりづるの旅」の多言語への翻訳と世界各国へ届ける活動は、ANT-Hiroshimaを象徴するプロジェクトとなっている。そのきっかけとなったのは、2004年に来日し、広島を訪れたアフガニスタンの少女だった。紛争で片足を失った少女を、ANTが広島の平和記念公園にある「原爆の子の像」に案内し、絵本「おりづるの旅」を読み聞かせた際、彼女が深い感銘を受け、自国の子どもたちにぜひ読ませたいと願ったことが、その後の翻訳活動へとつながった。現在までに翻訳されたのは24言語、これまでに66力国へ2600冊を届けてきた。
その他、フィリピン、アフガニスタン、ネパールなど、被災した国や紛争地域への国際協力プロジエクトも多数手がけている。すべての活動のエネルギー源は「破壊から再生へ、絶望を希望に変えてきたヒロシマの力」だ。

推薦者:特定非営利活動法人 食べて語ろう会

このたびは第50回社会貢献者表彰をいただき、厚く御礼申し上げます。また受賞式において、まさに「地の塩」と呼ぶにふさわしい素晴らしい受賞者の団体、個人の皆様の存在を知り、深く感動いたしました。このような貴重な出会いをいただいたこと、そして、これまでとこれからを考える、またとない機会を得たことに心より感謝申し上げます。

1945年8月6日、人類史上初の原子爆弾が広島に投下されました。それから8年後の1953年、私は被爆者の両親のもとに生まれました。20歳の時、祖父を亡くしたことをきっかけに、死の意味、生の意味を深く考えるようになり、それから「自分が広島に生まれた意味は何なのか?」と自身に問いかけるようになりました。当時大学生だった私は、復興途上にあった広島の街を歩き回り、多くの被爆者の方々やその支援者に出会い、その言葉を心に刻みながら、「ヒロシマとは何なのか、何を意味するのか」を探し回りました。(カタカナで書くヒロシマは、原爆の被害を受けた広島を意味します)そして卒業時に分かったことは、私は何も知らない、であれば自分の生涯を通して「ヒロシマ」の意味を理解していくしかない、ということでした。

その想いから、平成元年、私は「アジアの友と手をつなぐ広島市民の会」を設立し、小さな草の根の平和活動をスタートさせました。その後、特定非営利活動法人「ANT-Hiroshima」に改称し、多くの市民の皆様のご協力のもと、30年間変わらずこつこつと活動を続けてきました。活動の幅は国外へも広がり、国内外で4つの事業、12のプロジェクトを展開するまでになりました。

〇広島で被爆し、生きる望みを折り鶴に託しながら、12歳でその生涯を閉じた佐々木禎子さんの物語「おりづるの旅(うみのしほ著)」「Sadako’s Prayer(ファウジア・ミナラ著)」を多言語に翻訳して世界中へ広める活動 〇被爆樹木を守り育て、その意味を伝える活動〇ルワンダの子どもたちへの奨学金支援 〇国内外の平和活動家や研修生の受け入れとサポート 〇教育現場での平和や国際貢献についての出張授業 など、その他にも様々な活動を実践しています。

「絶望を希望に変える」というヒロシマの願いを実現すべく、ANTはこれからも一人一人との出会いと信頼関係を大切に、平和のために行動する人や団体と協働していきます。「仲間と共に大地を這う」をモットーに、これからも変わらず働き続けるアリ(蟻=ANT)でありたいと思っております。ありがとうございました。

  • 2004年アフィファさん来広(絵本プロジェクトのきっかけ)
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  • 2006サダコの絵本プロジェクト@パキスタン
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  • 2008パキスタンでのsadako絵本の読み聞かせ
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  • 2008ブルキナファソ訪問
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  • 2016ネパール復興支援(市民からの義援金で仮設テント設営)
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  • 2017サダコの絵本プロジェクト@ネパール
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  • 海外からの研修生へ広島の実相とANT活動をレクチャー
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  • 絵本プロジェクト見本(現在25言語)おりづるの旅
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  • 学生ボランティアによる翻訳シール版の絵本製作
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受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」