受賞者紹介

第50回 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

がっこうほうじん かんてぃーにょがくえん にじのかけはしきょうしつ

学校法人 カンティーニョ学園 虹の架け橋教室

(愛知県)
学校法人 カンティーニョ学園 虹の架け橋教室 理事長 辻村 浩子
理事長 辻村 浩子

愛知県豊橋市のブラジル人学校「カンティーニョ学園」が学校運営と共に行っている事業が「虹の架け橋教室」で、日本に定住しながらも、日本の学校になじめず不登校になってしまったり、経済的な理由等で不就学となってしまった外国籍児童に日本語教育を行い公立の学校へ転入させている。日本語のわからない外国人の子どもの公立学校転入に深刻な問題が発生し、2009年に文科省の予算で虹の架け橋教室事業(定住外国人の子どもの就学支援事業)が全国各地で始まったが、2015年にこの事業の運営が地方自治体に委ねられてから、多くの団体が自治体の支援を受けられずに事業継続を断念した。しかし豊橋市では事業の継続を決め、これまでに約400名の生徒が在籍し、約300名が公立の学校へ転入、外国人学校への復帰など、何らかの形で学びの場へ戻っている。

推薦者:笹原 留似子
生徒集合写真(2014年)
生徒集合写真(2014年)

この度は、社会貢献者表彰という大変名誉ある賞をいただき、スタッフ一同心から感謝しております。

表彰式前の懇談会では、今回同じ賞を受賞された方々ともお話できる機会をいただき、ご自身の人生、または命をかけ、社会貢献に尽力されている方がこんなにもたくさんいらっしゃることに感動いたしました。そんな皆様と肩を並べてこの場に立たせていただいたことは、大変光栄なことと嬉しく思いますが、これまで以上に私たちが行っている活動を大切に育てていかなければならないと強く思いました。

私たちの「虹の架け橋教室」は、日本へ働きに来る外国人の親御さんを持った子どもたちが、言葉や習慣の違いで学校へ行けなかったり、経済的な理由でインターナショナルスクールへ行けなくなってしまったときに、日本語や日本の学校の習慣を教え、市役所と連携してスムーズに日本の公立学校へ転入させるのが主な役割です。

私たちの拠点である愛知県豊橋市は、20年以上前から日系南米人(主にブラジル)が多く在住しています。彼らはおもに自動車関連の工場に勤務しており、今や企業にとってはなくてはならない大切な働き手となっています。その日系人の親御さんを持つ子どもたちも当然ながらたくさんいて、この地域ではたくさんのブラジル人学校が存在しており、私共「カンティーニョ学園」もそのひとつです。

授業風景
授業風景

しかし、2008年のリーマンショック以降、大勢の外国人が職をなくし、私立で学費の高いブラジル人学校への月謝が払えず学校へ行けなくなってしまった子どもたちがたくさんおりました。大勢の生徒をなくしたブラジル人学校は次々と廃業に追われ、私共カンティーニョ学園も一時は生徒が半分以下になり、いつ倒れてもおかしくない状況に陥りましたが、義務教育期間中にも関わらず学校に行っていない外国籍の子どもがたくさんいる事態を重く見た行政は、2009年に「外国人の子供のための就学支援事業」という事業を立ち上げました。これは文科省がIOM(国際移住機関)に委託して開始したプロジェクトで、いまの虹の架け橋教室の基になっている事業です。

この事業に私共が採択されたおかげで、当時ブラジル人学校を辞めなければならなかった子どもたちに無料で教育の場を与え、日本の公立学校へ行くという新しい選択肢を作ってあげることができたことは、教育現場のスタッフにとって大変喜ばしいことでした。

昔から外国人がたくさん住んでいる土地柄か、自治体も企業も大変協力的で、ランドセルの寄付、教室の運営のための設備の寄付もたくさんしていただき、地域の皆様にささえられこれまで300人以上の子どもたちが公立学校に転入することができました。

そして今回、このような大きな賞を頂けましたが、これはひとえに、虹の架け橋教室を支えてくださった豊橋市多文化共生国際課のみなさま、教育委員会、企業様、そして苦しいときも一緒にがんばってくれた学校スタッフ全員のおかげと強く思います。本当にありがとうございました。

学校法人カンティーニョ学園「虹の架け橋教室」
理事長 辻村 浩子

  • 警察署訪問
    警察署訪問
  • 薬物乱用防止講座
    薬物乱用防止講座
  • ランドセル寄贈
    ランドセル寄贈
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」