受賞者紹介

第50回 社会貢献者表彰

人命救助の功績

さくらだ ひろし

櫻田 洋

(東京都)
櫻田 洋

2017年2月6日午前0時20分頃、東急東横線多摩川駅で終電を逃すまいとしていた櫻田さんは、エスカレーターに乗りホームに差し掛かったときに女性の叫び声を聞いた。何事かと声の方向をみると、男性がホームから線路に落ちる瞬間だった。「ああもう電車が来てしまう!」と櫻田さんが救助に向かおうとすると、叫び声をあげたらしき女性から「待って!非常停止ボタン押すから!」と声がかかった。それでも間に合わないと思った櫻田さんは咄嗟に線路に飛び降り、正体無く横たわる男性の体を抱えて回転させ、ホーム下のスペースに何とか移動させた。列車の警笛が鳴り、ライトが光ったので身を縮めていると、ホーム上から「もう大丈夫ですよ」と声が掛かった。櫻田さんは安堵し、「大丈夫ですか?」と男性に声をかけたが、男性は何が起こっていたか理解していない様子だった。列車は数メートル手前で停止していた。

推薦者:公益財団法人 警察協会
警察と消防から感謝状を授与されました
警察と消防から感謝状を授与されました

平成29年2月5日から6日に日付が変わったばかりの深夜0時過ぎ私は東急多摩川線矢口渡駅から当時住まいの在った東急東横線学芸大学駅に帰宅する為東急多摩川線多摩川駅での東横線への最終乗り継ぎを経て家路を急いで居りました。

事故が起ったのは多摩川駅の東横線(地上階)ホーム上での事、最終乗り継ぎに間に合うようにと小走りで多摩川線(地下階)からエスカレーターで東横線のホームへ急ぎエスカレータ上で次発掲示板の「電車がまいります」の文字を確認し一安心してホームに着こうとしていた時女性の「アッ」という叫びが聞こえ周囲に目を向けた瞬間一人の男性がまるで夢遊病者のようにホーム下へ転落する時でした。

とっさにこれから電車が入ってくるであろう方へ目を向けまだ電車が来てないことを確認し線路上へ飛び降りようとした私に「待ってください!今非常ボタンを押しますから」と女性の声がしましたが「それじゃ間に合わない」「電車が来てないからまだ間に合う」と思いホームに飛び降りホーム下の避難場所へ引っ張り避難させようと男性の体を引っ張りました。

しかし細身の男性ではあるものの無意識で脱力した男性を動かすのは困難を極め四苦八苦している矢先ホームに突入してくる電車が。

このままじゃダメだと思い横たわる男性の背後に回り羽交い絞めの様な形で線路上を転がるように回転し避難場所へ転がり込みましたが、私も男性も体は収まったものの男性の片足だけは収まりきれず線路上に出ている状況で私も羽交い絞めにしている状態の中だった為動かせるのは片足のみ必死に男性の足に自分の足を絡めて引っ張り込もうともがいて居りました。

毎日新聞2017年3月14日
毎日新聞 2017年3月14日

その時電車のヘッドライトがハイビームの様なものすごい光が此方を照らし同時にに警笛の様な音が鳴り響きここまでかと思い勢いをつけ最後の一回と思い男性の足に今一度自分の足を伸ばし身を縮めていると暫く経った後ホーム上から「もう大丈夫ですよ」との声が、安心して線路上へ戻った時電車をみると僅か約5メートル手前に停車しておりました。

ホーム上を見上げると恐らく非常停止ボタンを押してくれたであろう女性が私のかばんを抱えて立っており、今振り返ってみるとその女性の冷静な判断により男性も私も命が救われたんだなぁと実感しております。

今回の事故に関し各方面の方々からお褒めのお言葉を頂いたり、表彰をして下さったり致しましたが本来は私ではなくその女性の方こそ表彰に値するべきではないかと考え一度はお断りしたのですが、皆様の説得もあり微力ながら自分の行動も人命救助に値するのだなぁと考え身の余る思いではありますが受賞させて頂こうと決心致しました。

最後になりますが、この度はこの様な盛大な式典・祝賀会に列席させて頂き心より御礼申し上げます。

今回の事故後取材を受けたりした際「今後また同じ事が起った場合同じ行動をとりますか?」「同じ状況が起った際その方へ一言」と言った投げかけが在りました。

この言葉には私はこう答え様と思います。

私がまた同じ状況に遭遇したなら同じ行動をとると思いますがしかし、他の方への言葉であればやめた方がよいと思います。

と言うのも人命救助は確かに素晴らしい事だとは思いますがそれは救えたから、救助に入った人間も助かったからそう言えるのではないでしょうか?

今回の表彰者の中にも大切な命を落とされた方がいらっしゃいました。

今回は代理でお母様が御出席されておりましたが式典前日の懇親会の際息子さんのお話・お母様の思いを伺い胸が締め付けられる気持ちになりました。

事故当日の5メートル手前に緊急停車していた電車を思い出すとゾッとする思いで自分の身に置き換えてみましたが、やはり死んじゃだめです。

私にも私が死んだら悲しむ人がいると思います、だからこそ皆さんにお伝えしたいのは「出来る範囲で出来ることで行動をとっていただきたい」と言うことです。

 

受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」