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受賞者

平成25年度

東日本大震災における救難活動の功績

みやぎけんわたりちくオストメイトしえんチーム

宮城県亘理地区オストメイト支援チーム

(宮城県)

宮城県亘理地区で、震災直後から避難所で困窮していると思われるオストメイト(人工肛門・人口膀胱保有者)のサポートを、皮膚・排泄ケア認定看護師と地域の保健師、行政担当者がチームを組んで行った。支援が必要と思われるオストメイトを各避難所からリストアップしてもらい、人数や避難先の情報を亘理役場保健福祉課で集約し、そこから随時情報提供を受け巡回してオストメイト一人一人に対応した。避難時に自分の装具を持ち出せなかったり、避難所で装具の交換場所がない、トイレを占有してしまう、そもそもストーマ(人口肛門)について知る人が少なく理解されにくい、ゆえに集団生活が困難で非常にストレスを抱えるオストメイトの支えとなった。

推薦者:宮城社会保険病院 病院長 石井 元康
宮城県亘理地区オストメイト支援チーム 大網さおり
大網さおり

はじめに「オストメイト」とは、大腸等の病気により腹部に腸を露出させ新たな排泄経路を形成する人工肛門(ストーマ)造設術をうけたストーマ保有者の事であり、排泄物を受けるために専用の装具が必要な方である。

2011年3月11日東日本大震災発生。当院(宮城社会保険病院)は仙台市太白区にあり、海岸線より直進で約5Kmに位置している。診療圏は仙台市太白区・若林区・名取市・亘理町等海岸線を含んでおり、津波により装具を持ち出せない困窮したオストメイトが多くいると考え、亘理町役場保健福祉課と協働して『亘理地区オストメイト支援チーム』を立ち上げ、避難所にいるオストメイトに対して巡回診療を行った。

具体的には避難所のオストメイトを保健師がリストアップし、保健福祉課で情報を集約。随時情報提供を貰いながら、担当者が巡回した。担当者である皮膚・排泄ケア認定看護師(以下WOCN)は、各避難所でのオストメイト人数・名前を確認し1人1人に対し装具保有数、現在のストーマトラブルの有無、体調、精神的不安の有無、避難所で困っている事、装具交換時の占有場所の有無を確認。ケア主体者不在の場合は装具無料提供の情報、代用装具の使い方や注意点を記したメモを残した。各避難所に在中している保健師に対しては相談窓口としてWOCNの連絡先を配布した。

巡回診療新聞記事(朝日新聞)
朝日新聞
巡回診療新聞記事

避難所という限られた空間の中で、交換時の占有場所がなくプライバシーが保たれない状況で、精神的不安が限界なオストメイトもいた。そのため占有場所の確保交渉を行う等、面談は1人2時間に及ぶ事もあった。10日間に及ぶ避難所巡回で13名に対応し、その内容の一部は朝日新聞に掲載された。DMATや自衛隊等による巡回診療は行われていたが、オストメイトのみを対象とした巡回診療はなく、避難所に配置されていたスタッフは殆ど『ストーマ』を見た事がないため、オストメイトの精神的不安や津波による装具紛失等で困窮した状況への支援は皆無であった。WOCNが巡回診療をした事で、オストメイトは「わかってくれる人がいる」と感じ、避難所での集団生活を送ることができ、さらに現場の保健師や看護師への支援もできたのではないかと思う。

現在、震災の経験を元に多くの人に『ストーマ』『オストメイト』を知ってもらうため、地域の介護担当者を対象としたストーマケア研修会を開催している。今回このように栄誉ある賞をいただけた事は、光栄な事であり今後もオストメイトのため啓蒙活動を行いながら、オストメイトの尊厳を守れるよう努力していきたい。

宮城県亘理地区オストメイト支援チーム
大網 さおり