名護市学習支援教室 ぴゅあ
名桜大学(名護市)の現役大学生により生活困窮世帯の中学生への学習支援を行っている。同大学は沖縄の北部12市町村により、公設民営大学として設立された経緯から、国内初の行政と大学とのコラボによる取組みが実現した。主な活動は、大学構内で行う生活困窮世帯の中学生へ毎週3回2時間の無料学習支援。中学生は自治体が手配する大学発着の巡回バスで通学する。また週1回は大学生が地元の中学校に赴き学習支援が行われている。他には、四季折々のイベントが大学生の主導により行われ、中学生は大学のキャンパスを体験することができて、普段接点のない大学生との交流が良い刺激となっている。一方大学生は、教師になるための練習として、また教育格差について考える良い機会になっている。令和4年度、学習支援を受けた中学生は延べ1,372名、参加したボランティアの大学生は延べ1,371名にも及ぶ。
名護市学習支援教室ぴゅあは、名護市と名桜大学の共同事業として始まりました。大学と行政のコラボによる取り組みは珍しく、ユニークな連携事業として位置づけられるものです。ぴゅあは、名護市内の生活困窮世帯の中学生への学習支援と居場所づくりを目指した活動を展開しています。毎週3回、2時間の無料の学習支援は、大学の教室を活用して行われています。中学生は、大学発着の巡回バスに乗り込み、支援者である学生と共に学んでいます。学習形態は、基本的にマンツーマンです。昨年度からぴゅあの活動と並行して、週1回、市内の中学校へ学生が出向き、アウトリーチ的な支援活動を行っています。今年度の後半からは、市内の別な中学校においても活動を予定しています。ぴゅあの活動は、市役所の支援がなければ継続できるものではありません。年に数回、対面で市役所の生活支援課の職員と学生の合同学習会や情報交換を行っています。
ぴゅあでは、学習支援の他に、七夕、ハロウィン、クリスマス等の四季折々のイベントが学生主体で実施され、中学生は大学のキャンパスでぴゅあ体験を味わっています。コロナ禍前は、「大学生と中学生の平和学習旅行」等の寝食を共にした学外活動がありました。コロナがおさまりつつあるので、今年度は、学生企画の学外活動も実施する予定です。また、支援者である学生相互の関係性の深まりも大切なことから、学生のみの交流イベントも実施しています。
学内には、ぴゅあ室も設置されています。大学の好意でぴゅあ専用教室があることは嬉しいものです。現在のぴゅあに参加している学生は50名を数え、学生の交流の場・居場所ともなっています。ぴゅあ室には、活動計画や日程の他、学習支援に必要な参考書類、高校受験関連資料、文房具、パソコンやプリンター等があります。個々の中学生の学習状況ファイルは大切に保管され、ぴゅあ活動のリフレクションや次時の指導の参考として活かされています。毎回、ぴゅあの活動の様子は、グループLINEで共有されています。
ぴゅあの中学生の高校合格率はほぼ100%であり、また、ドロップアウトする生徒もほとんどいないことも嬉しい。高校を卒業し、大学や専門学校に進学した話を聞くと、ぴゅあの存在意義をあらためて確認できたようで心躍るものでした。今後は、キャリア教育や性教育等についても、限られた学習時間内で実施できるよう、学生とも考えていきたい。