受賞者紹介

第59回 社会貢献者表彰
えぬぴーおーほうじん あんだんて じょせいさぽーとせんたーいんだー

NPO法人 あんだんて 女性サポートセンターIndah

(神奈川県)
NPO法人 あんだんて 女性サポートセンターIndah 代表 小嶋 洋子
代表 小嶋 洋子

NPO法人あんだんてが運営する「女性サポートセンターIndah(インダー)」は、幼少期の家庭環境の複雑さや、男性からのDV被害の経験などで、アルコールや薬物、摂食障害等の問題を抱える依存症の女性を対象に、回復プログラムや居場所の提供を通して、心の痛みに寄り添い、支援する団体である。依存症になる経緯は、男性の場合、社会に出てからのお酒の付き合いやストレスからが多く、女性の場合は、幼少期の親の虐待や、男性からのDVなど複雑な背景があると言われる。代表の小嶋洋子さんも薬物とアルコール依存症回復者であり、男女ともに受け入れる依存症回復支援施設で職員としてかかわった際、女性特有の回復の難しさに直面。そこで、女性に合った支援のあり方を考えて、2012年にNPO法人あんだんてを設立し、神奈川県ではじめての女性専用依存症回復施設 Indahを設立した。グループミーティングをはじめ、個別相談、生活支援、創作、農作業、季節ごとのイベントの開催や家族会を通して、回復支援を行っている。2022年時点で延べ20,000名の当事者女性と家族を支えている。

推薦者:NABA(日本アノレキシア・ブリミア協会)

この度は、大変光栄なご表彰をいただき、誠にありがとうございます。

私たちIndah(インダー)は、女性専用の依存症回復施設として、プログラムや居場所を提供することで、女性の回復を支援する活動を行ってきました。

私自身も依存症回復者であり、同時に依存症の家族です。依存症の当事者として私自身が施設につながったのは1993年。99年から男女を対象とした支援施設で職員として働くようになりました。当初は「依存症という病気に、男も女も関係ない」と思っていた私も、いざ現場でスタッフとして働く中で、すぐ壁にぶつかることになりました。

まず従来の依存症回復プログラムでは、修了のために必要なミーティング回数が多く、家事や育児を担う女性がそのすべてに参加することが難しい。しかも性暴力被害の経験がある女性の中には、男性と同じ場に参加することに恐怖を感じる方もいました。また女性の依存症の場合、処方薬依存や摂食障害を併発するなど「クロスアディクション」と呼ばれる状況に陥りやすいこともわかってきました。お酒や薬物への依存をやめても、その先に女性たちが安心できる環境がなければいけない。女性には女性に合わせた支援が必要だ。そう実感するようになりました。

そうして2012年に、神奈川県ではじめての女性専用施設Indahを立ち上げます。

Indahのモットーは、「仲間と楽しむこと」です。女性だけの場所で、長い時間をかけて安心感を育んでほしい。そして、女性たちのそれぞれの生活の事情に合わせた支援をし、地域で彼女たちが安心して暮らすための安心な居場所をつくりたい。そんな思いで活動を続けています。

依存症は世代間で連鎖する問題も深刻で、子どもたちへの包括的な支援が必要です。現状の制度内だと、依存症当事者である母親向けのプログラムはありますが、母子で楽しめるものは充分とは言えません。今後はこうした子供向けのプログラムの充実も目標にしております。

Indahの立ち上げは容易ではなく、地元住民から施設への反対の声が上がるなど、依存症へのスティグマの根深さにも苦労しました。今回、このような光栄な賞をいただき、私たちの取り組みが評価されたのだと、大変嬉しく思っております。

最後に、この賞を受けるにあたり、Indahのスタッフ、支援者に深く感謝いたします。

  • 作業療法(切り絵)
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  • アクセサリー作り(レジン)
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  • 江ノ島合宿
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  • 芋ほり
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  • 10周年セミナー
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  • 教会バザー
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  • 軽体操(ペタンク)
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  • 研修旅行
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