受賞者紹介

第56回 社会貢献者表彰
じぇいさっと

J-SAT Co.,Ltd.

(ミャンマー)
J-SAT Co.,Ltd. 代表取締役 西垣 充
代表取締役 西垣 充

1998年からミャンマーのヤンゴンで日本企業の進出を支援する事業として人材派遣を行い、業績を上げるなか、代表取締役の西垣充さんは同国の盲人の社会的地位の向上を目指し、社会福祉省および社会福祉省直轄国立盲学校に協力を依頼し、2009年に盲学校の生徒に向けたマッサージ技術習得コースを 設立。日本式の高度な技術指導をして、日本式健康マッサージ店GENKY(ゲンキー)を開店した。この取り組みは、盲人が行う施術の価値を高め、2012年にはその功績がミャンマー副大統領から表彰されるなど、その活動は国内でも高い評価を受けている。店舗利益は視覚障害者マッサージ支援財団の資金として、毎年ミャンマー政府と共同で成人向け視覚障害者マッサージ講座を行うなどの活動に役立てられる。同国の視覚障がい者には後天的に盲目になった人が多く、次のステップとして、盲目になる前に治療ができるようになる体制を整える医療分野への取り組みを行っている。

2008年5月、死者・行方不明者13万人以上出したサイクロン・ナルギス。多くの人々が仕事や生活でダメージが残る中、J-SAT代表西垣が偶然出会った、チミダイン国立盲学校内にあった視覚障がい者マッサージ。知名度のない視覚障がい者マッサージは1時間500チャット(約40円)と、今では考えられない値段で施術を行っていました。これを盲学校の中だけに置いてはいけない、施術料金を引き上げないといけないと決意し、市内に一号店をオープンさせたのが2009年3月でした。オープン当初は、視覚障がい者についての知識は知らないお客様がほとんどで、中には、視覚障がいは触れると伝染しますか?と、心配する人も少なくありませんでした。

視覚障がい者支援は寄付金を元手というスタイルでは広く普及しないと考え、設立当初から補助金、寄付金に頼らない経営スタイルを追求しました。一般的な健常者のマッサージよりも敢えて高い施術料金をつけ、さらにサクラタワーというヤンゴン最高級のオフィスビルに店舗を構え、サービスでは日本流を取り入れることにおり、一般的なマッサージとは一線を画す「視覚障がい者マッサージ」というブランドを作ることに成功しました。外資系で働くミャンマー人と同等以上の給料を得られたことから、多くの視覚障がい者がマッサージ技術を覚えることを希望し、持続可能なシステム作りのため、ミャンマー政府社会福祉省とともにマッサージ師育成コースを2009年に設立しました。技術を習得した視覚障がい者自身が講師を担当し、その費用は店舗収益の一部が使用されるなど、寄付金や補助金に頼らない持続可能な仕組みにより、「視覚障がい者マッサージ」というブランドはミャンマー市民の間に広がり、2021年現在、全国120店舗以上に拡大、その多くの店のオーナーは視覚障がい者自身が担っています。

日本など先進国では医療技術の進歩により視覚障がい者は減少傾向にありますが、ミャンマーでは、事故や病気などによる後天性の視覚障がい者が多く、根本的な解決が行われていません。正確な数字は発表されていませんが、例えば、弊院の視覚障がい者マッサージ師64名のうち約半分の28名は、後天性視覚障がい者です。視覚障がい者マッサージを整備することは大切ですが、根本的な視覚障がい者を減少させる取り組みが必要と感じており、次のステップとして、盲目になる前に治療ができる体制を整える仕組みを、いかに寄付金や補助金に頼らず構築できるか検討しています。

代表取締役 西垣 充

  • 国立チミダイン盲学校
    国立チミダイン盲学校
  • 訓練センター様子
    訓練センター様子
  • タイ盲人協会からの技術支援
    タイ盲人協会からの技術支援
  • ネパールのマッサージ師との技術講習交流
    ネパールのマッサージ師との技術講習交流
  • 社会福祉省局長出席からの訓練センター卒業証書授与式
    社会福祉省局長出席からの訓練センター卒業証書授与式
  • 老人ホームへの奉仕活動
    老人ホームへの奉仕活動
  • 視覚障害者マラソン大会
    視覚障害者マラソン大会
  • 2009年 開店した店舗前にて
    2009年 開店した店舗前にて
  • 社会福祉相からの表彰
    社会福祉相からの表彰
  • 暖簾分け1号店
    暖簾分け1号店
  • 現地メディアからの取材
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  • 10周年記念式典
    10周年記念式典
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