受賞者紹介

第56回 社会貢献者表彰
さいがいえぬじーおーゆい

災害NGO 結

(沖縄県)
災害NGO 結 代表 前原 土武
代表 前原 土武

2011年の東日本大震災での災害ボランティア活動をきっかけに代表の前原土武さんが設立したNGO。毎年日本各地で、地震・水害・土砂崩れなど、様々な災害が発生するといち早く駆け付け、初めてのことに戸惑う地元組織をサポートし、災害ボランティアセンターの運営支援などを通して、全国から集ったボランティアの善意が最大限、復興に結びつくように、被災者のニーズに沿った総合的な支援調整を行う。これまで10年間全国20か所以上にも及ぶ被災地で培ったノウ八ウを駆使して、行政職員へ法律や制度を解説したり、現地の復旧活動が円滑に進むような仕組みを作り、地元で復旧復興が進められるようにサポートしている。インフラ等の復旧活動が一段落した後も、長くその地域の復興に並走し、地場産業を支えるための農業ボランティアセンター立ち上げに関わったり、避難生活でバラバラになった被災地域を結ぶためのコミュニティづくりを支えるなど、被災者に寄り添い、被災地それぞれにカスタマイズされた未来志向の活動を行っている。災害支援のプロとして活動を続けている。

これまでの活動で感じていること

東日本大震災からこれまで10年以上、自然災害が発生すると全国各地へ駆けつけています。災害発生後の混乱している緊急期から、復興へと一歩ずつ前に歩み続ける被災地に、そっと伴走するイメージで活動しています。

しかし、一つひとつの被災地に丁寧に向き合うのが難しいほど、毎年大きな災害が起きて新しい被災地が生まれています。近年顕著になってきた気候変動の影響を感じると同時に、こうした被災地域の再建が、ボランティア頼りである限界も感じています。

ボランティア元年と言われた阪神淡路大震災(1995)以降、支援活動についての常識やそれにまつわる仕組みや制度も変化してきました。被災した方へどう支援できるのか、と同時に支援側の体制をどう整えるのか、もアップデートしていく必要があります。災害支援、被災者支援を専門で担う人材を育成し、深刻化する自然災害への対応ができる環境を整備していきたい。

災害大国日本だからこそ、無償のボランティアではなく、災害支援のプロを作り上げていく必要があると考えています。

今後の活動の方向性

自然災害の原因の一つは気候変動ですが、それ以外の社会課題によって、自然災害による被害は深刻化しています。

昔は復旧活動ができた人も、高齢化でできなくなっています。森林は、人の手が入らないことで災害が起きやすい状況に。都市化して地域のつながりが弱いと、助け合いも起きにくく、困った人を見つけることに苦労します。

こうした普段からの社会課題の深刻さを、被災地で噛みしめることがとても多いのです。普段から社会問題を抱えている部分が、被災によって大きな穴が開いてしまう、そんな印象があります。災害対応としてこうした穴を塞いでいくことが求められますが、被災地支援だけでは行き届きません。

社会にある課題解決を、災害という切り口にとらわれずに進めていくことが必要だと感じています。

東日本大震災の活動開始から10年がたった今、被災地発の団体として、いろいろな課題解決を提案し、行動できる存在になっていきたいと考えています。

代表 前原 土武

  • 中央省庁と復旧の仕組みを協議
    中央省庁と復旧の仕組みを協議
  • コミュニティ維持のための公民館の応急復旧
    コミュニティ維持のための公民館の応急復旧
  • 農業ボランティアセンター運営のため地元の方や関係者との打ち合わせ
    農業ボランティアセンター運営のため地元の方や関係者との打ち合わせ
  • さつまいも植え、地域の方と畑を通した交流
    さつまいも植え、地域の方と畑を通した交流
  • 被災家屋の復旧活動
    被災家屋の復旧活動
  • 技術支援チームとの打ち合わせ
    技術支援チームとの打ち合わせ
  • 災害ボランティアセンターの運営支援
    災害ボランティアセンターの運営支援
  • 被害状況調査のための訪問活動
    被害状況調査のための訪問活動
「ひとしずく」社会課題に立ち向かう方々を応援するサイト