受賞者紹介

第55回 社会貢献者表彰
いっぱんしゃだんほうじん ちいさないのちのどあ

一般社団法人 小さないのちのドア

(兵庫県)
一般社団法人 小さないのちのドア 代表 永原 郁子
代表 永原 郁子

代表理事を務める永原郁子さんは1993年に母子の健康のために神戸市北区にて「マナ助産院」を開業後、2,100人以上の赤ちゃんを取り上げながら、産後のママの育児支援も行っている。「神戸連続児童殺傷事件」等の少年犯罪や人工中絶の性の問題も多発する中で、「自分として生きることの大切さ」を伝えようと2000年には助産師仲間と「いのち語り隊」を発足し、幼稚園、小中高等学校、保護者、教職員に年間150か所余りでいのちの大切さを語っている。しかしながら、変わらず新生児遺棄事件等が起きる現実に、予期せぬ妊娠に悩む妊婦のために直接的な支援が必要だと感じ、2018年9月に24時間相談でき、来所も可能な「小さないのちのドア」を助産院の一室に併設した。
開所以降2年が経ち、約1万件、千人程の相談があり、その中には妊娠後期で病院未受診の女性からの相談も100件ほどあった。一方で民間団体と連携し、36人の赤ちゃんに「特別養子縁組」によって新しい家族が誕生した。この活動を通じて、相談だけではなく、居場所のない妊婦に出会い、継続的な支援の必要性を感じ、5人ほどの入居が可能な安全で安心できる「マタニティホーム」を助産院の隣に建設中。2017年度の厚生労働省の発表によるとゼロ歳児の虐待による死亡数が66人とあり、その全員が病院未受診である。その母親を非難することは容易いが、そうならない仕組みを考え、女性と赤ちゃんを救う活動を続けている。

推薦者:公益社団法人 家庭養護促進協会 橋本 明

この度は私共の働きに目をとめて頂き表彰を賜りましたこと厚くお礼申し上げます

どんなに気丈な女性でも妊娠、出産、産後の子育てを一人で乗り越えることはできません。にも拘わらず、小さないのちのドアの相談の中には、パートナーや実家に頼ることができず、孤立して途方に暮れている妊婦さんからの相談が少くありません。妊娠したことで職を失い住む所も失ってしまった妊婦さんにも多く出会ってきました。2020年5月頃からは新型コロナウイルス感染拡大の影響で職を失ったという妊婦さんからの相談が増えております。

友だちに頼るにも限界がありますし、行政に相談に行っても「産んでから来てください」と言われます。日本には妊婦の生活支援に特化した制度がありません。

小さないのちのドアでは開所以来、賃貸住宅やマナ助産院に滞在して頂いてそのような妊婦さんのお世話をさせて頂いてきました。妊娠に気づかず、妊娠後期になってしまっていた方や、中絶を迷っていた方、若年妊婦さんなど様々な事情を抱えた方が、私たちがサポートをさせて頂くことで、無事妊娠出産を乗り越えて、笑顔で新たな出発をされます。

このような働きをさせて頂く中で私たちが気付いたことがあります。それは頼る人がいない、住む所がないと言った状況はそれ自体大変なことなのですが、もっと大変なことは、そこに至るまでにどれほどの傷を負い、裏切られ、愛されることが少なかったかということです。相談される多くの方は悲しく、苦痛の成育歴を持っておられます。

ですから頼る人がいない孤立した妊婦さんのサポートはただ衣食住を満たすだけはいけないのです。妊娠という自分の力ではどうすることもできない時だからこそ、人の温かさに触れてほしいのです。

2020年12月に完成したマタニティホーム「Musubi」はまさに妊婦さんが愛に包まれる場所であります。人生の中でも一番つらい時に訪れる場所かもしれません。しかしその人生で一番つらい時が幸せの人生へのターニングポイントとなるほどのよい経験となる場所にして頂きたと願っています。

今回の受賞を励みに致しまして、これからも困難な状況にある妊婦、そして胎児や乳児のために精一杯勤めて参ります。

代表 永原 郁子

  • ドア入口
    ドア入口
  • マタニティホーム外観
    マタニティホーム外観
  • 開所式
    開所式
  • 小さないのちのドアの電話相談は24時間365日体制
    小さないのちのドアの電話相談は24時間365日体制
  • 妊婦健診の様子。エコーで赤ちゃんの状態を確認
    妊婦健診の様子。エコーで赤ちゃんの状態を確認
  • 命の教室、幼稚園での公演
    命の教室、幼稚園での公演