受賞者紹介

第55回 社会貢献者表彰
いっぱんしゃだんほうじん にほんせっしょくしょうがいきょうかい

一般社団法人 日本摂食障害協会

(東京都)
一般社団法人 日本摂食障害協会 理事長 鈴木 眞理
理事長 鈴木 眞理

摂食障害は、拒食症(神経性やせ症)、過食症(神経性過食症)、過食性障害に大別され、生物学的・心理社会的要因が複雑に絡み合って発症する。主に思春期から青年期女性の心身症で、1980年代から患者数が増加している。欧米には摂食障害だけを包括的に診療するセンターがあるが、日本にはそのような施設はなく、日本摂食障害学会の有志が公的な治療施設の設立を目指して2010年に日本摂食障害協会の前身「摂食障害センター設立準備委員会」を発足、2014年4つの治療支援センターが稼働、2016年一般社団法人日本摂食障害協会となる。医師、心理士、栄養士等専門職のメンバーたちが、自助グループや家族会と連携して当事者や家族などの支援者へ情報提供、治療者の育成支援、啓発・予防活動、調査研究を行っている。
摂食障害は、1つの原因を取り除いて治すような治療ではなく、食生活、生活習慣、体と心を総合的にサポートし、医療機関のほかに自助グループや家族会など、人の力を借りて味方を増やすことが大切。子どもや女性の食と健康に関する正しい情報提供に力を入れている。

推薦者:NABA(日本アノレキシア・ブリミア協会)

第55回社会貢献者表彰「日本財団賞」を受賞して

このたび、歴史ある賞を頂戴し、感謝の気持ちは言葉で尽くせません。安倍昭惠会長をはじめ選考委員や役員の皆様のご尽力にお礼申し上げます。この賞は、初代理事長の生野照子をはじめ多くの先達と仲間に頂戴したと認識しています。

やせることでストレスを回避しようとする拒食症、むちゃ食いや嘔吐でストレスを発散している過食症は若い女性に多い病気で、日本でも1980年代から急速に増加して、有病率はこれらの病気の先進国である米国と同等です。拒食症は成長障害、骨粗鬆症、無月経や不妊症などの合併症があり、精神疾患の中で最も高い死亡率を有するので、心身両面からの治療が必要です。欧米では、若年者の重要な疾患と認知されて、摂食障害センターが設立され、成果を上げています。ところが、日本には1か所もなく、摂食障害を診療できる施設も少ないので、ご家族は診療可能施設に辿り着くことから始める状況でした。

2010年に日本摂食障害学会の私ども有志が、「摂食障害センター設立準備委員会」を設立して、講演会、署名運動、厚生労働省や国会議員への陳情を行い、2014年に念願の厚労省の摂食障害治療支援センター設置運営事業が開始されました。そこで、「摂食障害協会」と名称を変え、約50名の専門職集団として、当事者・家族、心理士・栄養士・歯科医、薬剤師、学校関係者、食品関連業界、マスメディアなどを対象に講習会を16都市30回以上開催して啓発活動を行い、無料メール相談、ガイドブックなどの刊行を行ってきました。また、調査研究を行い、「母子関係が原因」「わざと拒食や過食をしている」などの誤解があること、新型コロナウイルス感染症後に当事者の約8割が悪影響を受けていることを明らかにしました。6月2日はメディアを活用して国境を越えて団結して啓発と支援を行う摂食障害世界アクションディです。当協会はこの活動に第1回から参加し、40以上の省庁や学会の後援を頂戴して講演会、映画上映会、当事者の「私たちの主張」などイベントを開催しています。さらに、経済的に発展すると肥満率が高くなるという世界的潮流に逆行する日本女性のやせ過ぎと健康被害、アスリートの摂食障害、やせ礼賛の文化があるマスメディアへの啓発活動にも力を入れています。キャッチフレーズは「食べる喜びを取り戻そう」です。

授賞式で、他の個人・団体様が人命救助、地域貢献、文化継承、武装解除など様々な場所でご苦労されながら活動されており、尊敬の念を禁じえません。心からエールを送らせていただきます。私どももこの受賞を励みに、さらに尽力してまいります。

一般社団法人日本摂食障害協会 理事長
政策研究大学院大学名誉教授
跡見学園女子大学 心理学部 臨床心理学科 特任教授 鈴木 眞理

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