受賞者紹介

第52回 社会貢献者表彰
とくていひえいりかつどうほうじん みやざきやせいどうぶつけんきゅうかい

特定非営利活動法人 宮崎野生動物研究会

(宮崎県)
特定非営利活動法人 宮崎野生動物研究会 理事長 岩本 俊孝
理事長 岩本 俊孝

1973年から動物園副園長・宮崎大学職員らのボランティアらが、本土では一番上陸・産卵数が多い宮崎県の一ツ葉海岸周辺の25㎞にわたり、アカウミガメの調査を開始した。活動が報道されたことで、市及び県が天然記念物に指定し、ウミガメの卵の盗掘が徐々に減った。海岸清掃を続けながら、上陸・産卵巣数、ふ化率、親ガメに標識をつける個体調査等を50年近く続け、それらの調査結果を毎年県や市に報告してきた。カメにつけた標識を見た中国人船員からの手紙等が届けられ、そうした情報から、冬にウミガメは東シナ海に生息していることも明らかにした。さらに、ダム・護岸建設の影響や離岸流により、200m程あった砂浜が5m幅に侵食されていく海岸線の現状や原因、及びそれらのウミガメへの影響に関して、国土交通省に報告するなど海洋環境の保護にも尽力している。
ボランティア会員は退職後の人から学生等まで年齢層も幅広く、ニホンカモシカやニホンザル、イノシシなどにも調査依頼が拡大している。このように、発足以来、希少動物や絶滅危惧種の調査や保護を48年に亘って、世代交代をしながら活動を繋いでいる。

推薦者:宮崎県教育委員会

-宮崎野生動物研究会の活動の経緯と今後の抱負-

宮崎野生動物研究会は1973 年から、動物園職員や宮崎大学の職員・学生らのボランティアが、本土では一番上陸・産卵数が多い宮崎県の一ツ葉海岸周辺の 25 ㎞にわたり、アカウミガメの調査を開始しました。その後、今日まで一貫して、宮崎市周辺の海岸を中心としてアカウミガメの調査を続けて参りました。

活動の開始当時、研究会の活動が新聞等で報道されたことで、市及び県が天然記念物に指定し、それを機にウミガメの卵の盗掘が劇的に減り始め、約40年に亘り盗掘はゼロの状態が続いています。また、研究会では海岸清掃や、上陸・産卵巣数、ふ化率、親ガメに標識をつける調査等を続け、それらの調査結果を毎年県や市に報告してきました。市や県では、それらの結果をアカウミガメ産卵地の保全等の施策に活用してきています。

宮崎市周辺の海岸では、ダム・護岸建設による河川からの土砂供給の減少や導流提建設の影響等により、昔は200m程あった砂浜が 現在では5m幅に侵食されています。研究会は、そのような海岸線の現状や、原因、及びそれらのウミガメへの影響に関して、国土交通省にも報告するなどして、海岸環境の保全にも協力しています。

標識調査の一つの成果として、アカウミガメに装着されている標識を見た中国人船員からの手紙等がいくつか届けられ、そうした情報から、冬季にウミガメは東シナ海に滞在していることを突き止めました。またアカウミガメは、大体2年に一回程度宮崎県の海岸に回帰し、約4か月間の繁殖期のうち約2~3週間おきに3回程度産卵上陸すること等も明らかにしました。また、今年度初めて、アオウミガメの上陸・産卵を1件確認し、今後のウミガメの上陸状況の変化についての新たな課題も得たところです。

ボランティア会員は退職後の人から学生等まで年齢層も幅広く、ニホンカモシカやニホンザル、イノシシなどにも調査依頼が拡大しています。このように、本研究会は、発足以来、希少動物や絶滅危惧種の調査や保護を 48 年に亘って、世代交代をしながら活動を繋いできています。

この受賞を機に、活動範囲をさらに広げたり、また現在行っている各種の調査・ボランティア活動を深化させたりすることによって、宮崎県における自然環境保全に尽力していきたいと思います。

理事長 岩本 俊孝

  • アカウミガメ
    アカウミガメ
  • 夜間の調査活動
    夜間の調査活動
  • 夜間の調査活動
    夜間の調査活動
  • アカウミガメ 砂被せ中
    アカウミガメ 砂被せ中
  • 砂辺を迷走して帰海できなくなったカメを救出し海に帰す様子
    砂辺を迷走して帰海できなくなったカメを救出し海に帰す様子
  • 早朝、稚ガメの孵化に遭遇、あっと言うに海へ帰っていった
    早朝、稚ガメの孵化に遭遇、あっと言うに海へ帰っていった
  • 市民グループのビーチクリーン活動に協力
    市民グループのビーチクリーン活動に協力
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」