受賞者紹介

第52回 社会貢献者表彰
しゃかいふくしほうじん たきのがわがくえん

社会福祉法人 滝乃川学園

(東京都)
社会福祉法人 滝乃川学園 理事長 山田 晃二
理事長 山田 晃二

1891年当初立教女学校の教頭であった石井亮一氏により、日本で最初の知的障がい児者のための社会福祉施設「孤女学院」として東京都北区滝野川に創立、その後石井氏は職を捨て知的障がい児の教育・福祉に全力を注いだ。
明治期から戦前にかけては、現在のような福祉制度は存在せず、公的な支援の無いなかで、名称を滝野川学園(学園)に改名し、所在地も東京都の豊島区、そして1928年に現在の国立市谷保に土地を取得し移転した。この間、学園は石井氏とともに夫人の筆子氏の献身的な努力により支えられた。
学園は石井夫妻の苦労が結実して公的(東京都)な支援制度が確立される中で、夫妻亡き後もその意志を受け継ぎ、わが国で最初の知的障がい児者のための施設として運営されている。
現在、7,000坪程の敷地内の障がい者支援施設、地域支援部、認知症対応型共同生活介護施設などとともに地域での生活の場である障がい者グループホーム20寮ほどの施設で、入居者120名程が施設内で生活。
通所者150名程とグループホームから80名程が通所で利用。職員約200名、ボランティア延べ500.600名程で運営されている。

この度、社会貢献支援財団より功績表彰を受けたことは、滝乃川学園として大変喜ばしく、学園128年の歴史にまた一つ大きなことを付け加えることができたと思っております。小生としてはたまたまこの時期に理事長という職責を担っていたことを名誉なことと思っておりますが、もとよりこの受賞者は滝乃川学園であり、その歴史を築いてきた歴代の理事、職員、保護者、利用者が一体となって受賞したものと考えております。

滝乃川学園は、1891年(明治24年)に創立者石井亮一により、日本で最初の知的障害児者のための社会福祉施設として、東京都北区滝野川に設立されました。濃尾地震による被災孤児のための「孤女学院」としてスタートしましたが後に知的障害児者の施設として発展しました。1928年(昭和3年)に現在地である国立市に移転いたしました。

現在は、障害者支援施設、地域支援、認知症対応型共同生活介護施設とともに、グループホームを直営、委託含めて20寮を運営し、約350名の方が利用されています。特に、一般社会と接しながら生活することを目標としているグループホームの増設は大きなテーマであり直営グループホームの建設を継続的に行っております。重度の方のグループホーム入居も他施設に先駆けて実施しており、車いすの必要な方が生活できるグループホームも現在建築中です。また入所支援のみでなく、月2、3日お預かりする短期入所支援にも児童、成人ともに力を入れております。 

昨年12月に、当時の天皇・皇后両陛下の行幸啓の栄誉を賜りました。当学園は平成4年にも両陛下のご来臨の栄を賜っており、平成の最初と最後の障害者施設のご訪問先に選ばれております。特に美智子皇后は学園にある筆子愛用の「天使のピアノ」と呼ばれる日本の最古のピアノの一つをこよなく愛してくださり、12月の往訪時にも休憩時に讃美歌を2曲弾いておられました。

3年前に神奈川県相模原市において、知的障害者施設で大量殺人事件が起こりました。同種、同規模の施設として対応に迫られましたが、「地域に開かれた学園」を目指すという創立者の意志を重んじ、各建屋の安全対策は実施するが、創立以来正門に門扉を作らないという学園の伝統を守り、敷地内はむしろ今まで以上に解放しようという方向で取り組んでおります。学園の敷地内には矢川という川が流れ自然環境は抜群ですので、この利点を今後とも生かしていきたいと考えています。

理事長 山田 晃二

  • 児童部若葉寮、常夏寮
    児童部若葉寮、常夏寮
  • 成人部清風棟
    成人部清風棟
  • 正門
    正門
  • 生活介護棟
    生活介護棟
  • 短期入所棟
    短期入所棟
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