受賞者紹介

第52回 社会貢献者表彰
にんていえぬぴーおーほうじん なんみんしえんきょうかい

認定NPO法人 難民支援協会

(東京都)
認定NPO法人 難民支援協会 代表理事 石川 えり
代表理事 石川 えり

母国の迫害から逃れて来日する難民に対し、来日直後から自立に至るまでの道のりに寄り添い、総合的支援を行うために1999年に設立した認定NPO法人。一人ひとりへの支援とともに、難民を受け入れる社会を作ることも目指している。
具体的な活動内容は、①法的支援難民申請手続きに関する情報提供およびサポート②生活支援:カウンセリングを通じた医食住の確保、緊急支援金の支給③就労支援:就労資格のある方への日本語やビジネスマナーを学ぶプログラムの提供と企業とのマッチング④コミュニティ支援:難民と難民が暮らす地域がともに暮らせるための取り組み⑤政策提言/広報活動:NGOや政府との関係構築や政策提言、社会に向けて認知を広げて理解を深める活動に取り組む。難民への直接的な支援と同時に、難民を受け入れる社会を目指している。これまでに70か国・6,000人以上の方々を支援してきた。

この度は、社会貢献支援財団様より社会貢献者表彰を賜りまして、心より感謝申し上げます。さまざまな分野でご活躍の方々とともに表彰いただけたことは、たいへん光栄であると同時に、皆さまの活動内容の一端に触れることができたのはとても有意義で貴重な機会でした。当日の式典には、長年当会を支えてくださっている支援者やボランティアの方も出席し、多くの方々に支えられていただいた賞であることを実感しながら、ともに表彰の喜びをわかちあいました。

難民支援協会は、紛争や迫害から日本に逃れてきた難民を支援している団体です。ちょうど20年前、自力で日本に逃れて難民申請をする人たちが約300名にのぼったことが国会で取り上げられ、16人が難民としての認定を受けるなど、国内の難民問題に対して関心が高まり始めました。しかし、迫害を逃れて、やっとの思いで日本にたどり着いた難民の方々を待ち受けていたのは、受入れに対して日本の消極的な姿勢でした。難民として認定されるあても乏しく、就労許可もなく、多くの人は家族からも離れて暮らすことを余儀なくされ、迫害の待つ母国へ送還されかねない恐怖に怯えながら過ごさなければならない状況でした。その状況を傍観するに耐えず、同じ人間として支援したい。そんな思いから、難民支援協会は難民への総合的な支援を行う日本初の団体として発足しました。

2018年の難民申請者は10,493人、難民認定を受けたのはわずか42人。残念ながら、難民が直面する困難は20年前と全く変わっていない、と言ってもよい状況です。それでも、以前に比べて認知も少しずつ拡がり、支援の手を差し伸べてくださる方が増えたおかげで、難見支援協会の支援活動の幅も拡がりを見せています。法的支援や生活支援のカウンセリングに加え、自立に向けたプログラムやコミュニティへの定住に向けた取り組みも行っています。

私たちの事務所には、年間約700人の難民の方々が訪れます。来訪される難民の半数はアフリカの方々で、アフリカの国々にある紛争や人権侵害と日本が地続きでつながっていることを感じます。来日直後の人、就労許可を得て働き始めた人、難民として政府からは認定されず苦しい思いをしている人、認定されて新しい人生を歩みだした人などさまざまな局面にいる難民の人たちがいます。難民の方たちは支援されるだけではなく、社会に貢献したいという気持ちを強く持っています。難民が安心して社会の一員として受け入れられ、ともに生きられる社会を目指し、今後も活動を続けて参ります。社会貢献者表彰を通じて、日本における難民の方々に光を当ててくださったことは、とてもありがたく心より感謝申し上げます。

代表理事 石川 えり

  • 就労を目指し日本語を学ぶ難民の方たちの様子
    就労を目指し日本語を学ぶ難民の方たちの様子
  • 多言語のゆびさしメディカルカード
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  • カウンセリングを通じた個別支援
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  • 事務所で過ごす難民の様子
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  • 事務所で提供する食料品
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受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」