受賞者紹介

第52回 社会貢献者表彰
おおおか こうじ

大岡 康治

(兵庫県)
あたか こうへい

安宅 光平

(兵庫県)
大岡康治
大岡 康治
安宅光平
安宅 光平

2018年1月5日午前10時35分頃、兵庫県宝塚市の住宅街で、「殺してやる」などと奇声をあげながら出刃包丁とハンマーを手に持った男が男性を襲っているところに遭遇した大岡さんは、自宅で騒ぎを聞きつけ駆けつけた安宅さんとともに、自らの危険を顧みず、出刃包丁とハンマーを男から取り上げ、押さえつけて制圧し、警察官に引き渡した。襲われた男性は頭部や左頸部などに9カ所に及ぶ傷害を負わされていた。後の取り調べで、男は「コンピュータから、近くの住民をすべて殺せとの指令が来た」などと意味不明の供述をしており、大岡さん、安宅さんが男を取り押さえなければ大惨事が起きている可能性があった。

推薦者:公益財団法人 警察協会

安宅光平

まず何より、今回表彰していただいたのは私にとって身に余る光栄でした。安倍会長をはじめ、選考委員の方々や兵庫県警察の方々など今回私の選考に関わってくださった多くの方に深く感謝申し上げます。

事件が起きたのは、私が高校二年の時の正月でした。両親が外出している時にヤクルトさんが配達にきたので、私が外に出て応対していました。その時、家の通りの下の方で男性の怒声が聞こえ、はじめは特に気にかけていませんでしたが、その声がしばらく続いていたので何事だろうと思い声のする方へ走って行きました。すると、二人の男性が重なって地面でもみ合いになっている光景が目に飛び込んできました。被害者の方が半分上に乗り、「誰か助けてください」と叫んでいました。助けに行こうかと思いかけましたが、加害者は手に包丁と金槌を持っており、少しためらいました。しかし、ご近所さんの大岡さんと目が合い、次の瞬間には二人で足を踏み出していました。犯人の手から血のついた包丁と金槌を奪い、被害者の方と大岡さんと私の三人で犯人を押さえつけ、警察を待ちました。

被害者の男性は頭部などを切られており、出血していました。そのため、途中何度か男性の意識が薄れることもあり、そのたびに「頑張ってください」と声かけしながら取り押さえていました。あの時ほど警察の到着に安心したことはなかったと思います。

人は「自分が動かなければ」というとき、本当に何も考えずに勝手に体が動くのだと実感しました。切りつけられる危険や「犯人を取り押さえられたら自分はヒーローだ」というような利己的な考えはまったく頭になく、無意識に行動していました。ただただ必死だったことだけ記憶しています。

今回受賞式に参加しようと思った理由の一つは、自分より大人の方に「若者もやるときはやるのだ」ということを知ってほしかったからです。「最近の若者は助け合いの精神もないし、周りに関心を持たない」といったような言葉をよく耳にしますが、そう思っている大人に私は「助けを求めれば若者も手を差し伸べてくれるから、困ったときは私たち若者に助けを求めてほしい」と伝えたいです。

今回は、本当に素晴らしい経験ができました。ありがとうございました。

大岡康治

この度は、公益財団法人社会貢献支援財団の人命救助の功績の決定及び、表彰式典に御招待頂き誠にありがとうございました。

今回の表彰式に参加させて頂き感じたことは、受賞者の方々の社会貢献活動功績内容が行動力、実践力にあふれ、その凄さに驚くとともに感服するものばかりでした。そのような方々と肩を並べて受賞できたことに感謝しています。心よりお礼申し上げます。

受賞の事案は、昨年1月5日午前10時半頃、自宅前の道路で発生しました。大きな怒鳴り声が聞こえ、何事かと家を出たところ、被害者と犯人が組み合っているところでした。被害者はすでに数箇所包丁による傷を負っている状態でした。このまま警察が来るのを待つか助けに行くか迷っていたところ、近所の安宅君と目が合った瞬間、二人とも被害者を助ける行動をとっていました。このような状況に直面すると身体がすくむものと思っていましたが、助けなければと思う一心での行動であったと思います。自分自身でも今振り返ると不思議な感じです。犯人を取り押さえてから、警察がくるまで4分~5分位の時間がとても長く感じられました。犯人は無事警察に引き渡され、後日被害者の方も命に別状は無いことを聞き、大きな事態にならずに済んだことを良かったと思っています。

最後になりますが、式典に参加して様々な貢献活動を肌で感じたことを活かし、今後も社会に頁献できる活動が出来ればと思っています。

  • 傷害事件のあった現場
    傷害事件のあった現場
  • 揉み合い、ふたりの後方の突き当たりの道まで行き、犯人を確保した
    揉み合い、ふたりの後方の突き当たりの道まで行き、犯人を確保した
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」