受賞者紹介

第51回 社会貢献者表彰

人命救助の功績

ひはら たくや

日原 拓哉

(山梨県)
日原 拓哉

2017年11月29日午後8時頃、山梨県甲府市後屋町の後屋団地の1階で火災が発生した。管理人から火災が発生した、と助けを求められた日原さんは、消火器を持って火元である真下の男性宅へ駆け下りた。男性は一人暮らしだったが、足が不自由で車椅子を利用していた。
日原さんは消火器を噴射して煙を払うと、男性を背負って屋外へ救出した。その後、上階の住人が階段を下りてきたが、炎と煙に阻まれて取り残されており、4階踊り場にもまだ数人の姿が見えた。日原さんは、外壁の排水管パイプをよじ登って、上階の住人を避難誘導し、2階踊り場からは、排水パイプにつかまりながら一人ずつ抱えて、下にいる家族と連携して計8名を救出した。消防車が到着したときには住人の救出は完了していた。
火の勢いはかなり激しく、現場が団地であったため、多くの犠牲者が出る可能性があり、一人のけが人も出さずに救出できたことは驚きであり、警察官から見ても勇気が必要な行動であり模範としたいという言葉があり、県警や消防署、警察庁長官、総理大臣からも表彰され、春には紅綬褒章も授与された。

推薦者:山梨県教育委員会

今回の受賞は、私のような者が受けて良かったのか、今でも疑っています。ただ人を助けるという、人として当たり前のことをしただけで受賞してよいものなのかと、毎日のように思っています。しかし、あの火事で私が行ったことで間違っていると思った日は一日たりともありません。今では、自分にしか出来なかったことなのかもしれない、そう思うようになりました。

私の行動がひとつでも違っていたら、皆助からなかったかもしれないのと、私の命もあったのかどうかと、考えたりしました。

無我夢中で駆け抜けたあの瞬間は、今でも覚えているし、私の人生に大きな影響を与え続けています。私ひとりの力では到底成し得なかったことだと思います。

あのとき助けを求められていなかったら、あのとき家に帰っていなかったら…全てが偶然のようだけど必然だったような気もします。

そして今日の受賞で私を推薦してくださった方々や家族に感謝しています。

  • 山梨日日新聞の記事
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