受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

いっぱんしゃだんほうじん みんなのとしょかん

一般社団法人 みんなのとしょかん

(栃木県足利市)
一般社団法人 みんなのとしょかん 理事長 川端秀明
理事長 川端秀明

震災一週間後に支援物資を積んで被災地に入った際、「本が欲しい」というリクエストに応え、『みんなのとしょかん』を立ち上げる。個人や企業などの協力を得て、仮設住宅やコミュニティセンターの中に仮設図書館を設立し、利用者のリクエストに応えて本を送り続けている。

推薦者:株式会社 プランニングインターナショナル

この度はこのような賞をいただくことが出来て、本当にありがたく思っております。自分たちの活動を誰かに知っていただいた上に、評価して頂けることはやはり嬉しいものです。とは言え、活動はまだ道半ばですので、これを励みに更に努力したいと思います。

今回の東日本大震災が起こった際、支援に役立つ技術を持っているわけでもなく、特に資金に余裕があるわけでもない私でしたが、とにかく支援がしたいとの思いだけで、ろくな計画も立てず、預金を引き出し、食料などの支援物資を購入し、被災地に向かいました。

しかしながら、無計画になけなしの預金で購入した物資はものの2分も経たないうちにすべて配り終えてしまい、自分の無力さをただ痛感させられただけでした。

その際に被災者の方から「街を見ていても気が滅入ってしまう。何か気分転換になるものがあれば」との声を聞き、はじめたのが被災地に図書館を作る、このプロジェクトでした。ただ、本を支援するだけではあっという間に無くなってしまいます。

そこで図書館での貸し出し、という形式をとることで限られた数量の本を効率よく支援できる仕組みを構築するとともに、必要となる本棚や管理備品も提供することで避難されている方が無理なく、自分たちで管理できるようにさせて頂きました。

当初は被災者の気分転換ということを主な目的として活動していましたが、時期がたつにつれ仮設住宅に移り住んだものの、隣近所とのコミュニケーションも取りづらい仮設住宅の中で、図書館という公共性のあるツールを使うことで「避難されている地域の皆様のコミュニティを醸成する」ことが加わってきました。

中には、自治会の発足もままならない状況の中、図書館を管理するために結成したチームが、いつしかその仮設住宅エリアの住民の中心的なチームとなり、自主的に住民名簿なども作成し、コミュニケーションの充足を図るだけでなく、そこで暮らす住民が自主的に地域事業を企画し、多くの方に参加していただけるまでに発展した地域もできました。

現在は宮城県石巻市や東松島市、岩手県大船渡市などに計10か所の図書館を設置することが出来ました、また2年目となる3月12日に、石巻の中心市街地に地域のコミュニティの醸成を支援するための図書館も設置することが出来ました。また、東松島市などの図書館では地域の自立支援の推進のため、パソコン教室や創業支援セミナーなども開催しています。

被災地を取り巻く状況は厳しく、地域の活性化もままならない状況ではありますが、今後も地域の方と共に必要とされる場所づくりを進めていきたいと思います。