受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

ひさいしょうがいしゃそうごうしえんほんぶ
みやぎしえんセンター にほんしょうがいフォーラム

被災障害者総合支援本部 JDF みやぎ支援センター 日本障害フォーラム JDF

(宮城県仙台市青葉区)
被災障害者総合支援本部 JDF みやぎ支援センター 日本障害フォーラム JDF 責任者 株木孝尚<
責任者 株木孝尚

震災後、被災障害者を支援する「みやぎ支援センター」を設立。石巻に近い涌谷町と登米市にそれぞれ支援センターを開設し、5万人以上が住む沿岸部に入り、約800人以上の支援員が安否確認とニーズ調査やそれに伴う支援に取り組んだ。個人情報保護条例という壁の中、1,593人の障害者を直接対話し、必要な支援に応えた。避難所への相談窓口告知から、行政に対し、障がい者が必要な仮設住宅設備の要望提出にまで及び後回しになりがちな被災弱者の救護活動にあたっている。

推薦者:公益財団法人 社会貢献支援財団

3月センター開所以来、JDF傘下の多くの団体から実人数で800名以上の支援員が全国各地から来県して頂きました。又、多くの法人から資金や車両提供など物心両面にわたり支援を頂きました。心から感謝申し上げます。

「被災障害者を支援するみやぎの会」発足と同時にJDFみやぎ支援センターを仙台ワークキャンパスに設立以来、4月末、登米市に北部支援センター、8月に涌谷町に東部支援センターを開設し、エリアを分担し対応致しました。

現在は、新設した「JDF宮城」に事務局を置き、JDFみやぎ支援センターの取り組みを継続し、被災障害者の支援活動を継続しています。

活動は大きく分けて、被災障害者支援事業所の調査と個別ニーズへの支援を行いました。

北部支援センター(気仙沼市・南三陸町)では、交通アクセスの不便さ、移動手段がない等による移送支援が大変多く、見守り支援や福祉作業所の日中活動支援で農作業なども多くありました。南三陸町においては、意見交換を行う場と移送・就労・住まいの状況と課題の共有を目的に、行政を含め、障害者関係団体懇談会を昨年7月から毎月開催しました。この懇談会は、南三陸町自立支援協議会に引き継がれています。

東部支援センター(石巻市・女川町)では、「相談支援」が特に最も多く、続いて「物資支援」でした。女川町では身障の方からの相談が多く、入浴困難や手すりの設置の要望が寄せられましたし、石巻市では、花の苗・種や土の依頼などもありました。又、私営福祉施設における手すりの設置の要望も寄せられました。

女川町においても隔週水曜日を定例として「ミーティング」を設け、12月までに10回開催致しました。海辺にあって事業所が流失し、利用者も犠牲になった「きらら女川」の再興や細かな個別支援についての意見交換を行いました。

次に、見えてきた課題ですが、特に強調したいことは、「被災障害者の正確な実態把握」に関することです。宮城県沿岸部だけを見ると障害者数は手帳保持者のみで5万3千人以上です。この内、支援センターの確認対話人数は、1,593人でした。全国から延べ6,000名以上の支援員の活動があった割には、壁が厚かったことを示しております。

その第一の壁は「個人情報保護条例の問題」がありました。第二の壁は「一般人も障害者も支援は平等にという行政側の姿勢」が見受けられました。障害者だけを対象にした支援活動には協力できないという行政担当者がおりました。

今後の大震災に備えるためには、「支援体制の仕組み」を平常時から構築しておくべきです。支援を受ける側と支援する側との調整が必要です。支援団体が同じ所に多数入り込み、混乱を招き、逆に負担をかける結果を招きました。

今後は、98%の障害者の安否未確認を含め生活実態の掌握と流失してしまった事業所の再興支援が喫緊(きっきん)の課題です。

(支援センター責任者 株木孝尚)