受賞者紹介

平成19年度 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

おおたき しずお

大滝 靜男

(昭和4.1.11生 78歳/新潟県)
大滝 靜男
新潟県の朝日村(あさひむら)で、車椅子や高齢者などの通院や外出の手立てに、「朝日村にミニハンディキャブを走らせる会」を発足させて以来、25年にわたり30人の運転ボランティアとともに車椅子の送迎車を運行し、支え合いながら暮らせる村づくりに尽されている。
推薦者:社会福祉法人 朝日村社会福祉協議会

受賞の言葉

受賞を心より感謝申し上げます。移送ボランティアを理解し支援くださった地域の皆さん、ありがとうございました。支え合って生きていける社会の一員として、必要とされる限りより多くの方々とふれあいを続けさせてもらいたいと思います。この喜びを朝日村のボランティア仲間と、故鈴木勝見ミニハンディキャブ友の会初代会長に捧げたいと思います。

村民を運ぶミニハンディキャブ

朝日村は新潟県の北部に位置し、三方を山に囲まれた村である。村の面積は県内一、国内でも二番目という広大な面積を持つ。人口が11,000人、高齢化率は30%を超えている。老人の一人世帯も多く、かつての3世代が一緒の食事という風景も少なくなったという。

山間の集落が点在する朝日村は、特に冬になると雪で閉ざされ、唯一車が隣接の市部への移動手段になり、車いす利用者や高齢者は通院や外出の手だてさえおぼつかなくなる。村では気やすく集会や街に出られる機会を多くするために、車いすのままで乗車できる軽自動車の設置を呼びかけていた。しかし当時は、障害をもった家族を他人に世話してもらうことは恥ずかしいという風潮も残っていて、話が前に進まなかった。そこで大滝さんと10人ほどの仲間が、県内外で同様の支援を行っている先進地へ視察を行ない「朝日村にミニハンディキャブを走らせる会(友の会)」を設立し、車いすの送迎車の実現にむけて立ち上がった。昭和57年のことである。

大滝さんは「軍隊での経験から戦争でも生かされたという思いがあり、他人のためなどという大げさなことではなく、とにかく村や住民のためになんとかしたいと思った」と当時を振り返る。

車椅子の乗降

会は立ち上げたが、車の購入資金の調達、運転手ボランティアの募集、利用者の把握、会の運営など実現までに課題が山積していた。障害のあるなしにかかわらず、助け合い、支え合いながら暮らせる村づくりを訴え、お願いや説明をくり返し、住民の賛同を集めていった。

車の購入資金の不足分は自費で負担するなど、会の運営の目処をたて、昭和58年にようやく自動リフト付きで、車いすのまま乗車できるミニハンディキャブが走り出した。翌年には、運転者のボランティアも組織した。朝日村ではこれが最初のボランティア活動となり、現在の給食やお便りボランティアなど20グループの活動にもつながった。

以来25年、車も4台目、運転ボランティア30人、年間利用件数400件以上、事業を通じてお互いのふれあいから、福祉の村づくりを進めて行くことに賛同する会員270人(会費500円/年)の友の会になった。

現在、県と村で経費の8割を負担し運行されている路線バスは、隣接する市まで1日3往復。病院に行くにも1日がかり、しかも車いすの利用者は、自動リフト装置がないことから乗車できない。タクシーを利用すれば、往復で1万円も要する。しかもこのバス路線も廃止の方向にある。ミニハンディキャブは、燃料代などを実費として、村からの支援を受けているが、村で不可欠のサービスとなっている。

大滝さんは、現在も運転手としての稼働日数がボランティアの中で一番多い。「80歳までは頑張りたい」と意欲を見せている。

Mr. Shizuo Otaki

(born January 11, 1929 [78 years old] ; Niigata Prefecture)
Twenty-five years ago, Mr. Otaki launched the "Asahi-mura Mini Handicab wo Hashiraseru Kai" (association for operation of mini handicabs in Asahi Town; a "mini handicab" is a vehicle for shuttling wheelchairs) in Asahi Town, Niigata Prefecture, to help wheelchair-bound people and senior citizens visit hospitals or otherwise leave their homes. Such service is necessary as Asahi Town is a place where cars serve as the only means of transport available for travel to neighboring cities. Since then, Mr. Otaki has worked with 30 volunteer drivers to build a community in which residents support each other.
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