受賞者紹介

平成15年度 社会貢献者表彰

第二部門/多年にわたる功労

かとう しげる

加藤 茂

(昭.22.5.24生/東京都 新宿区)
加藤 茂
氏の研究が端緒となってタイ国南部沿岸域における日・タイ両国ボランティアによるマングローブ植林が始まり、そのリーダーとして計画を推進。沿岸域の環境改善、生態系の回復、村おこし等を通じて日タイ両国の友好関係を深め、地球環境改善に寄与されている。
推薦者:新田 義孝

受賞の言葉

本年で10回目の「日本-タイ:友好マングローブ植林」が終了し、100万本の植林を達成した。2004年から次の10年間の「100万本植林」を計画。まず、1.マングローブ植林はタイ国で実施するとともに、他のアジア諸国への友好植林活動を拡大。2.過去10年間植林をした地域での植林後の生育状況を植林参加者と現地協力者とともに調査を行い、報告書としてまとめ公表する計画です。

1994年,加藤さんは「タイにおけるマングローブ植林100万本作戦」を計画、リーダーとしてその推進に着手した。同年12月第1回「日・タイ友好マングローブ植林」を開始、以後毎年継続し、2003年は第10回目となる。日本全国から参加したボランティア(毎年約100名)がタイ国で現地住民・生徒と一緒にマングローブ苗を植林し、現地の人々と親しく交流するとともに、えび養殖の現場を見て、この地域の環境問題と私たちの日常生活の密接な結びつきを実体験する。

地球温暖化の問題が顕在化し、熱帯林の喪失、沙漠化の急速な進行に対する危機意識の世界的な広がりを受けて1991年に日本沙漠学会有志がバイオ技術をベースとした沙漠化の防止、持続可能な開発の研究会を発足させた。当時東京農業大学でマングローブの研究をしていた加藤さんが提案した「マングローブによる砂漠緑化への挑戦」が研究の柱に取り上げられ、実活動に向けた調査研究が続けられた。1994年に「マングローブを基軸として、荒廃した沿岸に植生を取り戻し、かつ産業を育成すること」を目指して「地球緑化行動研究会」が組織された。また加藤さんは、日本経団連・自然保護基金の支援を受け、2003~05年の3年計画で、タイ国ナコン・シ・タマラート地区のエビ養殖池跡地1,000haにマングローブ植林を行い、「緑の絨毯」として復活させる「緑の絨毯作戦」にも取り組んでいる。