受賞者紹介

平成15年度 社会貢献者表彰

第一部門/緊急時の功績

いとが はるみつ

故.糸賀 春光

(享年70歳/島根県 益田市)
糸賀 春光
日毎深みが移動する複雑な海底地形のため、単独の救助活動は危険な場所であることを、地元育ちで熟知しながら、沖合で児童が溺れていることを知るや高齢の身で直ちに救助に向かい、児童を助け自らは亡くなられた。
推薦者:(財)警察協会

平成14年6月8日午後4時40分頃、島根県益田市の益田川河口付近の海岸で、海に入り遊んでいた小学二年生の児童2名のうち1名が沖合50メートル付近で溺れた。もう一人の児童が、すぐに海岸付近にいた中学生達に助けを求め、中学生達は付近を散歩中の糸賀さんに知らせた。糸賀さんは、直ぐさま履き物を脱ぎ、Tシャツと半ズボンのまま海中に入って沖合に向かい、溺れている児童を救助し、海岸に向かって泳いでいたが、その姿が途中で急に見えなくなった。糸賀さんが波打ち際近くまで連れて来ていた児童は、自力で海岸にたどり着いた。近くでサーフィンをしていた青年が異変に気づき、直ちに救助に向かい、海中にうつぶせの状態で浮いていた糸賀さんを浜辺に引き上げ、人工呼吸、心臓マッサージを行った。糸賀さんは、その後救急車により病院へ搬送されたが、午後5時50分、「溺水吸飲による窒息」により亡くなった。

現場付近の潮流は複雑で、益田川の水流の影響により日毎深みが移動する複雑な海底地形になっており、単独で救助に向かうには危険な場所である。幼時から現場近くに住み、その危険を熟知していた糸賀さんは、70歳の高齢を押して、児童を救うため、身の危険をも顧みず救助に向かったものである。