2010年、全国にはまだ存在しなかった学生服専門のリユース店を立ち上げ、現在では全国に80店舗まで拡大しました。私は3人の子供を育てるシングルマザーで、生活が厳しかったため、子供たちの学生服を新品の定価で買うことが難しかったです。特に長女が知的障害を抱えており、養護学校に通うことになったため、娘に時間をかける必要があり、そのために起業を決意しました。学生服が買えないという私自身の課題が、他の子育て中の家庭の問題でもあると感じたのです。

"そんなお店がほしかった"という声に応え、全国初の学生服専門リユース店は口コミで広まりました。前例がなかったため、手探りでスタートしましたが、ビジネスチャレンジコンペに挑戦し、最優秀賞と賞金を得て学生服のポスレジシステムを開発しました。お店には多くの母親たちが訪れ、友達感覚の接客がいつしか情報交換のコミュニティになっていきました。しかし、母親たちのコミュニティが希薄化し、孤立している人も多いことに気付きました。子供のいじめや不登校に悩む母親、身内のDVのために引っ越しを余儀なくされる母子家庭、ネグレクトを疑う親子など、さまざまな家庭の背景が見えました。社会福祉協議会や行政の支援機関からは貧困家庭の学生服問題で相談が寄せられ、目の前の課題に手を差し伸べるため、お店で母親の会を開催し、子供食堂や障がい者の居場所活動などを6年間続けました。地域の活動が認められ、2017年には内閣府の「子供の未来応援国民運動」に参画し、さくらや独自の学生服回収ボックスの仕組みは全国1000か所以上の企業、自治体、学校に広がりました。

学生服の回収が広がると、洗濯は障がい者就労支援施設に通う人の仕事に、体操服の名前の刺繍取りは高齢者、アイロンがけは引きこもりの人など、さくらや各地域の店舗では様々な取り組みが行われています。地域にはまだまだ活躍できる人たちがいるのです。

今年は学生服のデザイン変更が全国で700校以上で進行中で、ジェンダーレスの観点から学生服の見直しも始まっています。多様性への理解が必要ですが、学生服デザインの変更によりおさがりやリユースが難しくなる可能性があります。昔の私のように学生服を購入できない家庭もあるでしょう。そこで、入学準備に学生服購入が障壁とならない社会を目指し、NPO法人学生服リユース協会を設立しました。社会の大人たちが地域の子供たちを見守り、支える社会になることを願っています。

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  2010年夏 自宅を拠点に創業し2011年1月に店舗オープン時の様子と各店舗の地域活動
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  広報活動のために子どもたちと毎日ポスティングやブログを1日10回投稿するなど、できることがあれば即座に動き地域の人たちに知ってもらえるよう努力してきた
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  つながりのある子育てを応援
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  趣味や特技を活かして作品作り
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  子ども食堂
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  廃棄学生服で作ったハタキ