受賞者紹介

第55回 社会貢献者表彰
えぬぴーおーほうじん 10だい・20だいのにんしんSOSしんじゅくーきっず&ふぁみりー

NPO法人 10代・20代の妊娠SOS新宿-キッズ&ファミリー

(東京都)
NPO法人 10代・20代の妊娠SOS新宿-キッズ&ファミリー 理事長 佐藤 初美
理事長 佐藤 初美

望まない妊娠や性被害等を受けた10代~20代前半の青少年少女や虐待、養育困難の中で育った中高生、年齢等により児童福祉法の対象から外れる等様々な理由で行政の支援につながりにくい子どもに寄り添うために2016年4月に開設。24時間年中無休で、メール相談、行政が対応できない夜間の電話相談、面接相談、病院の受診・警察・保健センター・福祉の行政窓口、法テラス等への同行支援を実施。
2019年にはシェルターを開設。その他、若年親子が孤立しないように乳幼児の親子の集い、繁華街(歌舞伎町)などを巡回して若者に相談窓口が書かれたSOSのチラシ、カードを配り周知啓発を行っている。
代表の佐藤初美さんは、新宿区で保育士と子ども家庭支援センターで40年以上子どもに関わる仕事に従事してきた中で、制度の狭間にいる子どもたちに継続して寄り添う重要性・必要性を感じて活動を始めた。地域密着の活動のため、様々な機関等との連携がある。個々が自立できるまで継続して寄り添う活動を続けている。

推薦者:東京ボランティア・市民活動センター

この度は、私どもに、社会貢献者賞を賜りまして深く感謝申し上げます。法人スタッフ一同、一層の励みになりました。

私たちの法人は、2016年4月にNPOを立ち上げ、9月にNPO法人格を取得して、同年12月からメール相談・電話相談の窓口を開設し、面談、訪問、警察や福祉行政窓口、保健センター、受診など同行支援等を24時間年中無休で行っています。それぞれに得意なこと、できることを発揮しあいながら、相談スタッフ及び法人業務を支えるスタッフ全員が無報酬、手弁当で24時間を支えています。

私たちの法人は、中高生を中心に10代の思春期と20代前半の青年期の若年者からの相談に特化して行っています。この年代が抱える悩みの中で、一番誰にも言えない、相談できない課題が「妊娠したかもしれない」「させたかもしれない」「妊娠したどうしよう」の「妊娠」に関する課題です。親はもちろん家族や学校の先生、友人に一番知られたくない課題です。また、経済的にも基盤を持たない年齢です。

だれにも相談できないまま悩みどうしたらよいかわからず、受診するお金も無いまま妊娠週数が進み、どうしようもなくなってやっとの思いで相談をしてくることが多く、すぐに受診同行して週数を確認すると30週を過ぎていたり妊娠後期になっていることも多くなります。

また、この年齢が、未受診のまま脱落分娩をしてどうしたらよいかわからず、思わず生まれたばかりの赤ちゃんの口を塞いでしまう児童虐待死亡事例の多くを占めています。私たちは、相談支援の主軸に、児童虐待死を予防し、将来のある若年者の人権と未来、生まれてくる赤ちゃんの命を守ることを一番大切に据えています。

たとえ中学生であっても、あらゆる場合の情報や支援制度等を年齢や理解力に応じてわかりやすく提供し、「産む・産まない」は本人が選択することを尊重しています。産んでも中絶しても、自分が結論を出すことで主体的に前に進みやすくなります。先日も、相談を受けた高校生が出産し育てることを決意して無事に出産をしました。その高校生から「相談して支えてもらい産んでよかった。春から高校に復学します」とのメールをいただきました。

私たちに相談してくる若年妊産婦の約8割が、幼少期から虐待を受けて育ったり、DVの環境で育ち、親や家族に愛された経験や実感を持っていません。中絶後の心や立ち直りに寄り添ってくれたり、出産後の育児を支えてくれる身内を持ちません。中には「愛されること=性行為」と思い込み、性依存になっていたり、複数の精神疾患を抱えています。

相談者に安心してもらい信頼関係を築きながら、個々の状況に応じて、行政の窓口に同行して保健センターや福祉の支援につなげていますが、行政支援を受けられるまでの受診費用や交通費等は法人が支払います。住まいを失くしている場合は、運営しているシェルター雨宿りで保護し、母体と胎児の安全安心を守っています。自分の気持ちや身体の不調を言語化する経験が少なく、受診時に自分の言葉で医師や助産師さんに伝えることができずに「大丈夫です」の一言で終わってしまいがちです。コロナ禍になるまでは、一緒に診察室の中に同行できましたが、感染拡大予防のために、診察室の中に同行できない病院がほとんどです。受診同行して診察の前に心や身体の状態を丁寧に聞き取り話してもらい、何を診察の時に話すとよいか整理をする必要があります。また、医師や助産師さんから言われたことが理解できていない場合も多くあります。行政支援につながった後も、妊婦健診をはじめ受診は必ず同行しています。

社会人として自信を持って自立して歩めるようになるまで、この年齢には、振り向いた時にうなづいて寄り添い伴走をしてくれる大人の存在が必要です。私たちは、「寄り添い伴走」を大切に、長く継続支援を行っています。必要な若年者に私たちの相談窓口が一人でも多く届くことを今後も目指していきます。

理事長 佐藤 初美

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