受賞者紹介

第55回 社会貢献者表彰
いわもと いさお

岩本 功

(山口県)
岩本 功

岩本さんは29歳の時、海外技術協力事業団の専門家としてエチオピアの研究所に赴任。その後JICA派遣専門家・家族の健康相談医としてアフリカ6か国を訪ねるなど海外の医療事業に深い関心があった。ある年ベトナムの医師が日本に内視鏡技術の研修に来たことをきっかけに、ベトナムでは内視鏡が普及していないことを知る。そこで岩本さんを中心に有志と「NGO国際医療協力山口の会 IMAYA」を発足し、日本でまだ十分に使える中古機器を集めベトナムのハノイやその近郊の病院へ持参する医療機器援助活動を始める。また、日本から技術指導者をハノイに送り研修なども行う。
こうした功績が認められベトナム政府から日本のNGOとして初めての医療功労賞を受けている。医療機器のみならず枯葉剤被害者のために、ベトナムの道路事情に合わせた特殊車いすを製作し贈る活動にも取り組み、これまでに400台以上もの車いすを供与している。また、奨学金寄付により既に11名の医師と3名の薬剤師が育ち、ベトナムの医療向上に貢献するなど精力的な支援活動を行っている。

推薦者:柚木 貴晴

この度は、社会貢献支援財団の社会貢献者表彰を賜りまして、安倍会長ならびにスタッフの皆様に深謝申し上げます。

今回は個人表彰でしたが、これまで内外の多くの方々にご支援頂いた賜物と感謝致しております。私は1941年に混乱期の旧満州で医師家庭の次男として生まれ、 多感な幼少期を異国の地で暮らしました。1946年に家族は日本への引揚者となり、生活は平坦ではなかったようでしたが、父親の背中は「人の命はどんな境遇にあっても平等」と教えてくれているようで、私の生き方での心強い羅針盤となりました。大学卒業後は「異国に開かれた出島」の地であったの長崎の大学院での熱帯医学を専攻し、大学院在籍の1971年から1年間は家族とともに海外協力事業団(JICA前身)よりアフリカのエチオピア国へ医療専門家として派遣されました。その頃の日本国内でも無医村がある時代でしたが、赴任国の医療状況を目のあたりにして「すべての人の命は平等でなければならない」という「医療の原点」を自問自答する日々でした。

大学院終了後は「医療の原点」を模索するためには診療現場からとの思いで、山口県内の地方病院での診療業務の傍ら「国際保健医療学」を学びました。

1992年3月にベトナムのハノイ市にある国立病院の女医さんを私の勤務する病院での胃内視鏡の6か月技術研修を受け入れました。聡明で学習意欲の盛んな彼女はたちまちすべての技術を習得され帰国しました。ベトナムでの医療貢献と学んだ 国際保健医療学を実践すべく中古の胃内視鏡1本を携えて1992年9月に初めて  ベトナムの地を踏みました。当時はベトナムを訪れる邦人の姿はなく、ベトナム戦争での疲弊、ソ連の支援  打ち切りやアメリカの経済制裁などによりで訪問した彼女が勤務する病院の医療は荒廃していました。「身近で出来る支援」をと数人の有志でNGO・IMAYA(国際医療協力山口の会)として支援を始めました。寄贈した1本の中古内視鏡から始まったNGO活動の成果はベトナム北部全体に波紋のように拡がって行きました。

その後のベトナムの医療環境は経済成長により飛躍的に発展していますが、グローバルな時代に求められる「弱者に対する福祉」には遅れている感がありますので、2016年からは幅広い活動をするためにNGOからNPOへの組織替えをして枯葉剤被害者などへのベトナム製車いす供与や奨学金寄付による医療人材の育成に努めています。

今回の表彰式で紹介された41件を拝見して、視点の違いによる多様性やSDGsとの向き合い方は今後の活動にとても参考になりました。これからも懸命に努力されている個人・団体に光を当てられるという社会貢献支援財団に期待致します。
ありがとうございました。

  • 1992年9月 1本の中古胃内視鏡から始まった医療支援
    1992年9月 1本の中古胃内視鏡から始まった医療支援
  • 2003年3月 ベトナム製特殊車いす寄贈開始(現在401台)
    2003年3月 ベトナム製特殊車いす寄贈開始(現在401台)
  • 2014年3月 枯葉剤被害者(2世)へのベトナム製特殊車いす寄贈
    2014年3月 枯葉剤被害者(2世)へのベトナム製特殊車いす寄贈
  • 2015年9月 先天性風疹症候群児へ補聴器供与
    2015年9月 先天性風疹症候群児へ補聴器供与
  • 2017年8月 フエ医科薬科大学生へ奨学金贈呈
    2017年8月 フエ医科薬科大学生へ奨学金贈呈
  • 2018年8月 ベトナム中部クエソン赤十字社にて
    2018年8月 ベトナム中部クエソン赤十字社にて
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」