受賞者紹介

第55回 社会貢献者表彰
いしざかさんぎょう かぶしきがいしゃ

石坂産業 株式会社

(埼玉県)
石坂産業 株式会社 石坂 知子
専務取締役 石坂 知子

石坂産業株式会社は1967年に埼玉県入間郡で産業廃棄物処理業社として創業した。1999年、後に誤報と判明するが、農産物がダイオキシンに汚染されているという報道をきっかけに、地域住民からの反対運動が勃発し同社は窮地に追い込まれた。創設者の長女石坂典子さんが社長に就任し、2001年に焼却事業から完全撤退して建設系廃棄物の資源化に事業転換を図る。同社は「ごみにしない技術」を探求し、廃棄物を100%再資源化する先端技術の確立を目指すとともに地域社会に必要とされる会社づくりを開始。社員による近隣道路の清掃ボランティアに始まり、地域の荒廃した雑木林を再生する里山再生プロジェクトをスタートさせた。「三富今昔村(さんとめこんじゃくむら)」と呼ばれるその里山は、年に4万人が訪れ、誰もが豊かな自然を楽しめ、五感で学べるサスティナブルフィールドとなり、同社が運営する環境活動の学校「くぬぎの森環境塾」の活動の場となっている。毎年小学校から大学生まで約5,000人を受け入れ、体験型環境教育を無償で実施しており、埼玉県から「体験機会の場」第一号に認定されている。また生物多様性保全への取り組みは公益財団法人日本生態系協会が国内最高ランクの”AAA”に認証した。

推薦者:株式会社 パン・アキモト

このたびは、社会貢献者表彰を賜りまして、誠にありがとうございます。大変光栄に思います。財団の皆様、ご推薦頂いた秋元様へ深く感謝を申し上げます。

弊社は、埼玉県三芳町で建設廃棄物の資源化事業を営んでいます。弊社の経営ビジョンを多くの方々に共感していただき、メディア等に取り上げられる機会が増えたことから、「ゴミ・産廃屋」の看板が外れ「再資源化産業」と、一般の人々に徐々に認知されるようになりました。

ここまでの道のりは険しく、紆余曲折の連続でした。創業者は、資源を使い捨てるのではなく、これからはリサイクルをしなければならないと考え、1967年に「石坂組」、のちの石坂産業株式会社を起業しました。

しかし、1999年、埼玉県所沢の農産物がダイオキシンに汚染されているという報道(のちに誤報と判明)をきっかけに、地域の産業廃棄物処理会社は住民からの反対運動に遭いました。当時弊社の焼却炉はダイオキシン対策炉でしたが、住民からの理解を得ることは難しく、会社は窮地に追い込まれました。

父である創業者の、会社にかける強い志を知った私(現代表である石坂典子)は、その意志を継ぎたいと父に直談判し、代表に就任しました。

地域に愛され、必要とされる会社にしたい。そこで働く社員が自分の仕事に誇りをもてる職場を創りたい。その一心で、脱産廃宣言し廃棄物を燃やして縮減する“処理事業”から、“再資源化する事業”に業態転換を図りました。地域住民や農家の皆さまと共生する環境配慮型の先進式資源化施設を建設しました。

江戸時代から続く会社周辺の雑木林(里山)が荒廃していました。美しい里山を取り戻す、保全再生に取組みました。生物多様性保全の管理を行い、(公財)日本生態系協会のJHEP認証制度では、最高評価の「AAA」認証を取得。絶滅危惧種の植物が、毎年株を増やしています。

保全再生した里山と資源化施設全体を、「三富今昔村(さんとめこんじゃくむら)」と名付け、環境教育等促進法に基づく「体験の機会の場」の認定を取得しました。環境の大切さやリサイクルについて五感で学べる、サステナブルフィールドとして一般に公開、国内外から年間4万人を超える人々が訪れる場所になりました。

現在、産学官連携によるDX(デジタルトランスフォーメーション)による、オープンイノベーションを展開しています。「廃域物を全て資源に変える Zero Waste Design」を創出する企業として、資源循環型社会の実現に貢献してまいります。今回は、本当にありがとうございました。

代表取締役 石坂 典子

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