受賞者紹介

第51回 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

とくていひえいりかつどうほうじん きっずどあ

特定非営利活動法人キッズドア

(東京都)
特定非営利活動法人キッズドア 理事長 渡辺 由美子
理事長 渡辺 由美子

豊かな日本の中で、7人に1人の子どもが貧困である。
特に一人親(特に母子家庭)家庭は、2人に1人が経済的に苦しく、一般家庭に比べると教育格差が生じ、貧困の連鎖に陥る。その連鎖を断ち切り、すべての子どもが夢や希望を持てる社会を目指し、2007年理事長である渡辺由美子氏が「キッズドア」を立上げ、2年後の2009年内閣府の認証を受け「特定非営利活動法人キッズドア」を設立。
経済的に苦しい家庭の子どもに向けて、無料学習会のほか、居場所作り、様々な体験活動、人材育成・教育開発、被災地の支援等を大学生、社会人になった若者、シニアの方々がボランティアで活動している。2017年度は33事業62拠点、登録生徒数2,064、登録ボランティア数1,085の活動規模となっている。
特に、無料学習会で将来に大きく関わる中学3年生向けの高校受験指導「タダゼミ」学習会は、設立以来高校進学率100%を達成している。
いち早く日本の子どもの貧困に取り組み、子ども達に明るい未来を作っていくための活動を続けている。

推薦者:内山 清一

この度は、NPO法人キッズドアに栄誉ある賞を頂きありがとうございました。懇談会や授賞式では、日本のみならず世界各国で活躍される受賞者の方々と接する機会をいただきました。法人を設立して10年目に入りましたが、諸先輩方の人生を通しての素晴らしい活動を知り、まだまだ頑張らなければと大変励まされました。

キッズドアの活動は、2007年に任意団体として開始しましたが、当時は、まだ一億総中流の意識が強く、まさか日本に貧困な子どもがいるとは誰も思っていませんでした。その後リーマンショックなどもあり日本の景気が悪くなる中で、子どもの貧困が少しずつ認知されてまいりました。同時に、全国学力テストの分析などから、親の所得と子どもの学力がひもづく「教育格差」も明らかになりました。

活動を始めた当初、「子どもの成績が低くて、このままでは公立高校に入れない。うちは母子家庭なので私立高校には行かせられない。高校受験の勉強を見て欲しい。」というお電話を何本もいただきました。

「貧困家庭にお金を配ることはできないけれど、無料で勉強を教えることはできる。」と大学生のボランティアを集めて、2010年夏に初めての無料学習会を始めました。おかげさまで、今では2,000名を超える子どもたちに無料の学習の場を提供しています。

また、2011年3月11日の東日本大震災以降は東北での活動も開始いたしました。現在も仙台市と南三陸町で子どもたちの支援を続けています。

「勉強に困っている子どもがいるなら」と始めた活動ですが、子どもを通して知った貧困家庭の状況は、想像以上に厳しいものでした。皆さん、パートの仕事を2つも3つも掛け持ちしても十分な収入が得られず、塾代はおろか、実は衣食住にも困っていらっしゃる家庭も少なくありません。子どもたちに食事も提供する安全な居場所型の学習会や、企業のご支援をいただいての体験活動などにも力を入れています。

最近は、キッズドアの無料学習会で学んだ子どもが、大学生になり、ボランティアとして参加してくれることも多くなってきました。先輩たちの姿を見て「自分も大学に行きたい」と新たな夢を持つ子どももいます。孤立し途方に暮れていたお母さんから「学習会に子どもが通うようになって家庭が明るくなりました。」と嬉しい言葉もいただいています。

キッズドアのビジョンは「すべての子どもが夢や希望の持てる社会の実現」です。今回の受賞を励みに、これからもビジョンの達成に向けて、ボランティアの皆さんとともに活動を続けてまいります。

理事長 渡辺 由美子

  • 芋掘り体験
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  • 英語に特化した学習会
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  • 自然体験
    自然体験
  • 生徒とのコミュニケーション重視の学習支援
    生徒とのコミュニケーション重視の学習支援
  • 被災地支援(南三陸町で公営塾を運営)
    被災地支援(南三陸町で公営塾を運営)
  • 無料学習会の風景(学生ボランティアによる寄り添い型)
    無料学習会の風景(学生ボランティアによる寄り添い型)
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」