受賞者紹介

平成21年度 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

あおき ようこ

青木 陽子

(47 歳/埼玉県さいたま市)
青木 陽子
もとは弱視だったが、小さい時に予防注射のあとに高熱が出て全盲になった。日本とアメリカの大学で学んだ後、帰国し中国語を学んだ。その後、中国に渡り、天津外国語学院で「教育によって得た知識を活かして、アジアの視覚障害者教育に貢献したい」との思いで中国語を学び、1994 年(平成 6 年)にアジア視覚障害者教育協会を設立、中国天津市のアパートに視覚障害者を対象とする、中国の社会福祉を担いうる人材を養成するための日本語学校を開設した。  
 以来 13 年間で 400 名を超える学生を受け入れ、日本への留学生も派遣されている。
推薦者/岡田 信子

受賞の言葉

今や「世界の中心」とも言われる中国で、視覚障害者教育支援活動を始めて、早 15 年。そんな節目の時に大変名誉ある賞をいただくことができ、光栄の極みでございます。
長期にわたる活動とはとかく、竜頭蛇尾に陥りやすいもの。しかし、どんなに苦しくとも、あきらめずに続けてさえいれば、奇跡は必ず起こるはずです。今回の受賞を、「さらに続けよ」との天命であると受け止め、「蛇尾」を「奇跡」に変えるべく、後世にまで語り継がれるような支援活動を続けて参ります。

学生が書いた作文の添削作業

現在中国には、およそ 8300 万人の障害者がおり、そのうちの 1233 万人が視覚に障害を持っているという。とりわけ視覚障害者を取り巻く社会的状況は厳しく、進学、就職、婚姻等においてかなりの制約を受けざるを得ない。

中国における視覚障害者の「完全参加と平等」を実現すべく、天津市視覚障害者日本語訓練学校を設立したのは、1994 年の6月である。60 坪程度の小さな私学ながら、障害者と健常者がともに学びあう仲で、お互いを「一人の人間」として受け入れ理解し、助け合い励ましあいながら、各人の能力と人格の向上を目指すという、心をつなぐ教育がもっとうだ。以来、視覚障害受講生 83 名、同通信生142 名、肢体不自由 13 名、健常学生 209 名、計 445 名の学生を受け入れてきた。しかも、経済的負担になりうる授業料は徴収していない。したがって、運営資金は、アジア視覚障害者教育協会に寄せられる会費や寄付金で賄っている。

本校ではこれまで、

  1. 中心添削及びスクーリングによる日本語学習指導
  2. 後進の指導に当たりうる有能な盲学生の日本留学(8名)
  3. 理療業以外の職種開拓(日系企業事務職2名)
  4. 点字及び拡大文字による日本語能力試験の実施(合格者:1級6名、2級9名、3級23名、4級21名)
  5. 日本語学習指導員の養成(10名)
  6. ボランティアの育成(60名)
  7. フロアーバレーやサウンドテーブルテニスなどといった視覚障害者向けスポーツを通しての国際交流推進
など、さまざまな支援活動に取り組んできた。

初めの頃は、「障害者に学問はいらぬ」などと主張する障害者やその父母、盲学校教師達の冷淡な対応に随分泣かされたものである。が今では、自暴自棄に陥っていた視覚障害学生の間にも、日本語を習得することで自己実現を図り、差別や偏見に基づく社会的バリアを徐々に取り除いていこうという、意欲が芽生え始めている。健常の学生達もまた、一子同心の精神を身に着けつつある。

今後は、日本語教授機関から中国語教授機関への転換を図ろうと考えている。そのためには、更なる人材開発が不可欠となるだろう。

いずれにせよ、現地のニーズに即した支援活動を続けていきたい。

中国・千手観音の監督(中央)と
視覚障害者支援セミナーにて講演(ベトナム)
日本語能力試験前日の教室(中国)
ベトナムの子ども達用の点訳づくり(ベトナム)

Ms. Yoko Aoki

(47 years old, Saitama, Japan)
Visually handicapped herself, Ms. Aoki studied Chinese, wanting to put to use the knowledge obtained through her own education for the benefit of those similarly handicapped overseas. In 1994 she established an Association for the Education of Visually Handicapped Persons in Asia and set up a Japanese language school in an apartment in Tianjin, China to nurture leaders who would undertake social welfare services in their country. Since then, in the last thirteen years, she has supported 401 students including graduates and those still studying, 107 students by correspondence, and some she has brought to Japan.
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