受賞者紹介

平成17年度 社会貢献者表彰

第二部門/多年にわたる功労

うちやま かおる

内山 馨

(大12.11.16生)大阪府大阪市
内山 馨
第二次大戦中のインドネシアで生まれたオランダ人日系二世の依頼に応えて、日本人父親探しに困難な努力を続け、多くの成果を挙げて彼等に心の平安と喜びを与え、わが国とオランダの親善にも尽くされている。
推薦者:難波 収 ローゼンダール弘子・寺本 綿貫 葉子

受賞の言葉

受賞日は82回目の誕生日、56回目の結婚記念日でした。
それで毎年のこの日は「はなまる記念日」になりました。式場には日本旅行中のオランダの子供たちもご招待いただき、祝賀会場では、それぞれから感謝の言葉があり握手を求められました。表彰は今後の日蘭親善運動へのご期待信号でもあると心得、続けます。まだ82歳ですから...。

訪日した日系二世とオランダ大使夫妻(中央)

第二次大戦中のインドネシア(蘭印)で日本人男性と蘭印系オランダ人女性の間に生まれた日系二世は、戦後の混乱期に父親と生き別れになり祖国に帰った。後年自らの隠されたルーツを知り、実父或いはその遺族と連絡を取りたいと願った。彼等は父親に関する情報を殆ど持たないまま、1990年頃から日本の諸団体・個人に捜索を依頼したが、不十分な手がかり、当事者達の高齢化、さらに微妙なプライバシー問題、複雑な社会情勢などが絡み、調査は極度の困難と緊張を伴い成果は乏しかった。

1995年、ジャワ島訪問の折、内山氏は同地在住の元日本軍人から日系オランダ人の父親探しを依頼された。大戦中、軍人として同国に駐留し、戦後は新聞社に勤務した氏は、その経験、知識、人脈を生かして日系二世オランダ人のために、日本での父親捜索活動を本格的に開始した。

氏は、大戦中の資料収集のため、官公私の関係諸機関に書類閲覧を請い、父親と思われる人物や当時の同僚などの氏名・所在を突き止めると、自らその地に赴き聞き取り調査を行った。2005年4月までに氏が手がけた捜索は約70件に達し、うち23名の父親の身元確認に成功した。その殆どは既に他界していたが、幸い生存が確認されたうちの3名には子供を認知させ面会を実現させた。また父親が死亡していたうちの10件については、遺族との接触を可能にさせた。氏の努力により父親ないし家族との交流が出来た二世達は、多年のトラウマから開放され心の平安と大きな喜びを得ることが出来た。氏がこれまで捜索に費やした時間と費用、精神的な労苦は計り知れないが、高齢の現在も氏の捜索への努力は続いている。

駐日オランダ大使(中央)と
交流が続く依頼者達
面接調査した日系二世達と(ハーグ市内)

Mr. Kaoru Uchiyama

(Born on November 16, 1922) Osaka Prefecture
Mr. Uchiyama has continued the difficult task of assisting second generation Hollanders of Japanese descent in finding their fathers, and his many successes brought tranquility and cheerfulness to them, and contributed to Japan-Netherlands relations.
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