受賞者紹介

平成15年度 社会貢献者表彰

第三分野/特定分野の功績

海の貢献賞
ひらえ たつとし

平江 達稔

(昭35.4.26生/鹿児島県 大島郡)
平江 達稔
平成13年12月に発生した不審船事件の際、わが国巡視船が攻撃を受ける極めて危険な状況下で、その模様を現場で冷静にビデオ撮影して不審船の犯罪行為を映像に残し、海上保安庁批判のマスコミ論調を一変させ、海からわが国に迫る危険を明らかにされた。
推薦者:社会貢献支援財団 事務局

受賞の言葉

私の乗船勤務している巡視船が、工作船から銃撃を受けるという重大な場面に遭遇し、その状況をビデオで撮影した映像がテレビで放映され反響が大きく、このような社会貢献者表彰を受賞できたと思います。この受賞に際し、お世話になった方々に感謝し、今後も一層の努めをしていきたいと思います。

平成13年12月22日の九州南西海域における不審船(北朝鮮工作船)事件において、逃走する不審船を停船させるため海上保安庁巡視船2隻により挟撃し、不審船から自動小銃や機銃等により攻撃を受ける極めて危険で過酷な状況下で、平江さんは弾が飛び交い巡視船外板のペイントが飛び散る生々しい被弾状況をビデオ撮影した。平江さんは、それまでの状況から船外で何かが起こりうると強く意識し、船橋後部に移動して、「撮影するのだ」という強い使命感で積極的に撮影を行った。その技術も直接カメラを覗いて被弾状況を撮影するのではなく、船橋船尾側に身を隠して安全を確保した上で、液晶モニターを覗きながら冷静に撮影したものである。

不審船は自沈し、乗組員は全員行方不明になった。当初マスメディアは、日本海海域で重大犯罪に関与し武器を使用した不審船の存在と、これに対する海上保安庁の適正な対処についての説明を理解せず、「対応には国際的な問題がある」との論調であった。

しかし、当日午後、平江さんが撮影した映像を観たマスメディアの論調は一変した。「映像により、任務の厳しさ、武器による攻撃という犯罪行為がよく分かった。よくぞ大変な任務を遂行した」との意見が主流となり、否定的コメントは姿を消した。報道における映像のインパクトは言語とは比較にならぬほど大きく、結果としてこの映像が海上保安庁組織の危機を救った。