受賞者紹介

平成15年度 社会貢献者表彰

第二部門/多年にわたる功労

うえでら としこ

上寺 利子

(昭 5. 1.15生/香川県 丸亀市)
上寺 利子
更生保護施設の住み込み調理員として37年間にわたり給食を担当し、同施設に保護されている犯罪や非行を犯した人々の自立更生のために黙々と尽くし、また彼らの相談に親身になって応じ、心の安らぎと励ましを与え続けている。
推薦者:全国更生保護法人連盟

受賞の言葉

この度の受賞は私の人生において、限りなく最大に晴れがましく、心おどる日でした。社会の片隅で、更生保護の仕事にひたすら励んでいた私に光をあてて頂いた関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。この栄誉を胸深く誇りとして生涯、更生保護の仕事を愛し美しく関わり続けていきたいと思っています。

上寺さんは昭和41年8月、更生保護施設「讃岐修斉会」に住み込みの調理員として採用され、以後36年間にわたり同施設に保護されている犯罪や非行を犯した者の自立更生の源泉ともいえる“給食”を担当した。この間、男性職員は15名が採用され、うち12名が退職するほどの厳しい条件の中で、上寺さんは、黙々と精魂を込めて同施設の台所を守り続けている。

若い頃、偶然に身の回りで犯罪を犯し刑務所に入る人たちを目にし、何とか更生の道を開いてあげたいと考え、更生保護施設の調理員の募集に応じて採用された。初めは、ただ何となく犯罪を犯した人たちに何かしてあげたいという気持だったが、彼らと接するようになって強い使命感が芽生え、この道に生涯をかけようと思うようになった。それがこの仕事を37年間も続ける原動力となった。彼等からの相談にも気軽に応じ、心のふれあいを重ね、家庭の安らぎを与えている。

定員20名の同施設は、昨年延べ6,854人を収容保護し、年間平均収容率も94%と高い。上寺さんは、自立更生のため仕事に出掛ける被保護者の健康管理を考え、毎朝4時に弁当作りを始め、栄養バランスに配慮した調理を心掛けている。今後も給食を通じて彼らとの人間関係と信頼を深めながら、心を癒し、健康を取り戻させ、日々更生に努力させることに強い情熱を燃やしている。