受賞者紹介

第60回 社会貢献者表彰
えぬぴーおーほうじん かごしまほーむれすせいかつしゃささえあうかい

NPO法人 かごしまホームレス生活者支えあう会

(鹿児島県)
NPO法人 かごしまホームレス生活者支えあう会 理事長 堀之内洋一
理事長 堀之内 洋一

2002年にホームレス自立支援法が施行されたことを受けて、鹿児島市内の路上生活者の生活や自立に何かできることはないかと法律や福祉に携わる有志が集まり、2005年から任意団体「鹿児島野宿生活者支えあう会」として、寒い冬に毛布の配布や、週1回のおにぎりの提供、月1回の夜回り巡回をするようになった。その後2007年に「かごしまホームレス生活者支えあう会」を設立し、週3回のおにぎりの提供と炊き出し、月1回の夜回り巡回、医療相談、シャワーの提供、生活保護申請同行支援をはじめ、緊急一時宿泊施設、自立準備ホームの運営も行っている。居宅に移った人たちには、月に1回、料理会を実施、調理習慣を身につけてもらい、食や料理を楽しみながら、コミュニケーションする場を設け、SNSでの相談対応も随時行い、社会で孤独にならないよう、細く長い寄り添い支援を継続している。

推薦者:NPO法人 やどかりサポート鹿児島

この度は、栄誉ある社会貢献者表彰を賜りまして、誠にありがとうございます。

鹿児島での市民有志によるホームレス生活者支援の活動は、遡れば、当地ではめずらしい程の2004年の大雪の時からでした。その大雪の中で「公園のおじちゃんはどうしているのだろう?」という幼い子どもの発した、ホームレス生活者を心配し気遣う言葉がありました。それを受けて「大人も何かしら出来る事をはじめなければ」と思い至った人々の文字通りの自発的な手探りの活動が始まったのでした。

その活動から翌年、任意団体「鹿児島野宿生活者支えあう会」が発足し、定期的な炊き出しや夜回りでの声掛け活動が意識的に継続され、同時に「畳に上がった」元ホームレス生活当事者自身からも、この活動を担う人々が現れました。そうした当事者自身と市民有志や活動の中で出会った法や福祉の専門職が手を携えて、2007年には当NPO法人の設立に至ったのでした。

それからもう16年余りの活動で経験したのは、ホームレス問題と地続きのDVや「孤独死」等の数々でした。その時々の必要に迫られ、交流機会の充実や、事業としての「緊急シェルター」・「自立準備ホーム」の開設運営に努め継続してきました。更には「居住支援法人」化を展望するなど、当NPO法人の事業の幅を広げてまいりました。とはいえ、今回の受賞で、先の活動の原点にあった「想い」を忘れてはならないと改めて思う次第です。

加えて当会は当初から、ホームレス生活者の切迫した事態に、毎週3回の炊き出しや月一回の夜回りを継続してまいりました。しかし切迫対処の必要の一方では(ホームレス生活者等の)「社会的排除から、その社会的包摂へ(ソーシャルインクルージョン)」という「地域づくりを描く」必要も強く感じ続けておりました。

そのためもあり、かつこれもまた「孤立・孤独」の防止の必要に迫られてでもありましたが、数年前から元ホームレス生活者の互助会も形成されて交流機会の充実など多彩に展開されています。こうした互助会や当NPOという社会的資源は、人々にとって言わば入会地(共有地=コモンズ)とも言えます。

今後、NPOやボランティア、互助会、更には協同組合などの非営利セクターが育んできた自治の能力・領域はその社会的比重を増していくだろうと思います。

末永く見守り育てていただければ幸いです。

  • 2013年のおにぎり配りの様子(鹿児島市中央公園)
    2013年のおにぎり配りの様子(鹿児島市中央公園)
  • 現在のおにぎり配りの様子(甲突川緑地公園)
    現在のおにぎり配りの様子(甲突川緑地公園)
  • 現在のおにぎり配りの様子(甲突川緑地公園)
    現在のおにぎり配りの様子(甲突川緑地公園)
  • 料理会の様子
    料理会の様子
  • 個室利用できるシェルター
    個室利用できるシェルター
  • 共同生活型シェルター 家族単位での利用も可
    共同生活型シェルター 家族単位での利用も可
  • 緊急一時宿泊施設 個室利用できるシェルターを3室運営
    緊急一時宿泊施設 個室利用できるシェルターを3室運営
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