受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

なとりしやくしょ アマチュアむせんクラブ

名取市役所アマチュア無線クラブ

(宮城県名取市)
名取市役所アマチュア無線クラブ 中澤哲朗
中澤哲朗

3月11日15時25分から名取市役所アマチュア無線クラブは同市災害対策本部内にアマチュァ無線機を設置し、メンバー各自の無線機を使用して災害情報収集をから開始し、数人が沿岸部・閑上地区へ出向き、被災状況を確認、安否確認、避難所との連絡、災害救助活動など、極めて緊急を要する情報授受を迅速・的確に行った。連絡手段の無くなった沿岸部避難所とはハンディ無線機にて通信手段を確保し、災害対策本部からの指示を迅速に伝達可能にすることで避難所内の混乱を防いだ。さらに市役所庁舎屋上にはボランティア団体が設置したアマチュア無線中継局が非常電源で稼働し始め、同市内全域と交信可能であるアマチュア無線中継局を使い、同市内のアマチュア無線家に通信支援協力を依頼し、市内の被害状況確認、及び負傷者の有無など確認を行なうなど、停電が復旧し、公衆通信網が使えるまでの3日間は通信手段として大きな役割を担った。

推薦者:高橋 勇悦

2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とする観測史上最大の東北地方太平洋沖地震(M9.0)が発生、それに伴い発生した大津波により沿岸部は壊滅的被害となり「東日本大震災」として歴史的にその名を刻む事となります。

沿岸部閖上地区

名取市は震度6強を記録。地震発生直後、停電になり固定電話が不通、携帯電話がつながりにくい状態になり(その後携帯基地局バッテリー切れにより不通となる)。当初、通信手段として避難所に設置していた防災行政無線を利用したが沿岸部避難所では津波で無線設備が流されしまい通信手段が寸断されてしまいました。

名取市役所アマチュア無線クラブは名取市災害対策本部内にアマチュア無線機を設置し、アマチュア無線を使用して情報収集を主に無線通信を開始しました。同時に沿岸部へメンバー数人が行き被災状況確認、安否確認、避難所との連絡、災害救助活動など、津波で流された防災行政無線の補助的役割でありましたが極めて緊急を要する情報伝達を迅速に行いました。

連絡手段の無い沿岸部避難所とアマチュア無線にて通信手段を確保し、災害対策本部からの指示や情報を伝達可能にすることで避難所内の混乱を防ぎました。
さらに市役所庁舎屋上には名取市内全域から交信可能であるアマチュア無線中継局をボランティア団体(名取市役所アマチュア無線クラブが中心)が設置運用しており、市内のアマチュア無線愛好家で組織する非常通信協力会に協力依頼し、市内の被災状況確認、及び負傷者の有無など確認を行いました。

公衆通信網が途絶していた4日間は有効かつ機動性に優れた唯一の通信手段としての機能を発揮し、名取市災害対策本部の通信手段として大きな役割を担いました。

震災後、落ち着き始めた頃には多方面から「情報伝達」の重要性が話題になり新聞にも掲載されました。迅速な対応が可能だった要因は市災害対策本部内において市職員が非常時における通信手段の確保を行ったこと、地域住民と非常通信ネットワークを構築しており統制局として連携していたことであります。防災行政無線は同じ自治体同士の連絡しか出来ませんがアマチュア無線は不特定多数の市民から様々な情報を得ることが可能な通信手段であります。

今後はアマチュア無線の有効性、そして「最後の砦となる通信手段」を市民や各自治体等に伝える活動をしていきたいと考えております。

  • 災害対策本部
  • 使用した無線機
  • 仙台空港周辺
  • 中澤さん
  • 閖上中学校