受賞者紹介

平成15年度 社会貢献者表彰

第一部門/緊急時の功績

あつみ たかし

熱海 孝

(昭45. 6.12生 /埼玉県 入間市)
熱海 孝
平成15年1月10日深夜、たまたま帰省先の妻の実家近くの出火に目を覚まし、パジャマ姿のまま現場に駆けつけ、黒煙で一寸先も見えず燃えさかる屋内に4度にわたり進入し、逃げ遅れた一家4名を独力で救出し尊い人命を救われた。
推薦者:(財)全国消防協会

受賞の言葉

自衛官としての自覚と誇りを持ち、与えられた任務の完遂に努めていきたいと思います。また、個人としても今後一層、社会へ貢献できる様に努力していきたいと思います。

平成15年1月10日午前2時15分頃、宮城県桃生郡河南町の木造平屋建住宅から出火した。たまたま、妻の実家に帰省していた熱海さんは、火元の主婦の助けを求める叫び声で目を覚まし外へ出たところ、向かいの住宅が炎上中で、中に老夫婦と父子が残されていることを知らされた。

熱海さんはパジャマ姿のまま現場に駆けつけ、玄関が施錠されていたため、素手でサッシ戸のガラスを割り屋内に進入、火勢が最盛期に達し黒煙で一寸先が見えない中を手探りで4人を探し、負傷して倒れていた3人を発見した。先ず老主人を抱きかかえて屋外に救出。再び進入して小学1年の孫と世帯主の長男を救出した後、さらに屋内に入り、既に火が回っていた奥座敷で倒れていた老夫人を発見し救出した。4人目を救出した直後、建物内部から一気に炎が噴出してきたため、熱海さんは救出した4人を妻と義父の協力で更に安全な場所に避難させた。救出された4人は火傷を負って集中治療を受けたが、熱海さんの適切な判断と勇猛果敢な救助活動により危うく一命をとり取り留めることができた。

熱海さんは、消防隊の援護注水もない状態で進入して救出に当たり、救出中に右手親指付け根を切創した。事後、熱海さんは「救助を終えたとたんに恐怖心が湧いてきて、震えが止まらなかった」と話している。