トップページ > 受賞者について > 第49回 受賞者一覧 > NPO法人 日本ウミガメ協議会 付属 黒島研究所

受賞者

第49回

社会貢献の功績

えぬぴーおーほうじんにほんうみがめきょうぎかいふぞくくろしまけんきゅうじょ

NPO法人 日本ウミガメ協議会 付属 黒島研究所

(沖縄県)

沖縄県竹富町黒島にサンゴ礁生物の調査などを目的に1975年に設立された研究所で、島の自然と文化を調べている。近年では、啓発活動にも力を入れ研究所内に常設の展示施設を設け、博物館的な役割も担っている。また、全国の大学から研修や学芸員実習を受け入れる学びの場ともなっている。2011年の東日本大震災の影響で減少した観光客と伝統漁法の衰退問題を解決しようと、観光客に向けてウミガメの標識放流調査(標識札を付けて放流し、成長や回遊経路などを調査する)を「ウミガメ勉強会」として開催している。勉強会で放流するウミガメを伝統漁法「かーみーかけ」で確保することで、ウミガメ漁も継続されている。今では毎年約1,000人が勉強会に参加し、人口200人の離島における観光業や地域活性にも貢献している。

推薦者:早稲田大学環境総合研究センターW-BRIDGE
NPO法人 日本ウミガメ協議会 付属 黒島研究所 所長 若月 元樹
所長 若月 元樹
所長の若月が勉強会の意義を参加者に説明
所長の若月が勉強会の意義を参加者に説明

きっかけは東日本大震災でした。震災直後、沖縄の島や海を楽しむことは「不謹慎」だったのです。あれほどの大きな犠牲ですから当然です。

私たちが暮らす黒島は人口約200名に対し民宿が10軒、飲食店が5軒ありました。すべてが観光客相手の家族経営です。春休みやGWも観光客数は回復せず、一番にぎわう夏休みに見切りをつけ、島外へ出稼ぎに出る父親が現れ、ショックを受けました。なぜなら、その先には、島外での再出発があり、学校存続の危機や島の衰退があるからです。
窮状を打開すべく「うみがめ勉強会」を開催しました。これまで細々と続けてきた放流調査を夏休みに毎日公開で実施したのです。「かーみーかき」と呼ばれる漁法で漁師さんにウミガメを確保してもらい、伝統漁法の継続にも貢献しています。

店主から「今日のお客さんは勉強会の参加者だけだった」と聞く日もあり、夏休み以降も続けました。職員2名での実施は大変でしたが、参加者の笑顔や今回ご推薦を頂いたブリヂストン様や早稲田大学様をはじめとする様々な方の温かいご支援、学生たちの協力に支えられました。船会社様にも集客等でご協力頂き、みんなが応援してくれる「うみがめ勉強会」となりました。この度の受賞は今後も継続する上で大きな勇気となりました。

「授賞式にはぜひご家族で」というお言葉に甘え、幼児3名を連れて家族で参加しました。翌日には東京ディズニーランドへも足を伸ばしました。「上の子の小学校入学前には…」と心に秘めてはいたものの、入園式や運動会、おゆうぎ会ですら1度も参加したことがない、家族の犠牲の上に成り立った活動の現状では不可能でした。飼育生物も多数おり、職員2名で行くべきかすらも迷っていた所、「東京の授賞式に行くか迷っていると聞いたのですが…」と研修生として来た経験がある学生たちが名乗りを挙げ、留守を守ってくれました。

今回の受賞式参加をきっかけに「休まない」とか「365日働いている」と心配されていることを知りました。好きでやっていた活動とは言え、「幸せ」そうに見えていなかった点は大いに反省するところです。

内館審査委員長が最後に述べられた言葉が心に深く染み入っています。「うみがめ勉強会」の参加者から「子どもがずっとウミガメの話をしています」といった内容の手紙が届く度に「やって良かった」と感じます。授賞式から帰ってきた我が家では、子どもたちが目を輝かせ、ずっと東京の話をしています。「行って良かった」と感じられるご褒美をありがとうございました。会場で騒いでいた子どもたちは我が子です。お騒がせ致しまして失礼いたしました。

特定非営利活動法人日本ウミガメ協議会附属黒島研究所
所長 若月 元樹

  • 研修生が剥製を利用してウミガメについて解説
    研修生が剥製を利用してウミガメについて解説
  • 参加者とともに標識放流するウミガメを選ぶ
    参加者とともに標識放流するウミガメを選ぶ
  • 放流の前にウミガメの大きさを計測
    放流の前にウミガメの大きさを計測
  • ウミガメの放流。標識放流調査のスタート
    ウミガメの放流。標識放流調査のスタート
  • W-BRIDGEの支援により衛星追跡発信機による調査を実施
    W-BRIDGEの支援により衛星追跡発信機による調査を実施